報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「一夜明けて」

2019-11-09 22:06:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日08:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家]

 メイド:「おはようございます。御起床の時間でございます」

 朝になり、メイドが恭しく部屋に入って来た。

 リサ:「ん……」

 カーテンが開けられたので、朝の陽ざしが室内に振り注いでくる。

 メイド:「おはようございます。リサ様」
 リサ:「おはよう……」

 リサはボーッとした状態で上半身だけ起こした。

 メイド:「おはようございます、御嬢様。もう朝ですよ」
 斉藤絵恋:「うーん……」

 突然、リサにフラッシュバックが起きる。
 それは白黒映像である。

 看守:「4番、起きろ」
 研究員:「ひひひ……実験の時間だよぉ……」

 リサ:「…………」
 絵恋:「おはよう……リサさん……」
 リサ:「……おはよう」
 メイド:「朝食の準備を整えてございますので、朝の支度をお願いします」
 絵恋:「分かったわよぉ……。行こ、リサさん」
 リサ:「ん」

 2人して部屋を出る。

 リサ:「サイトー。昨夜はごめん」
 絵恋:「わ、私こそ、取り乱したりしてごめんなさい」
 リサ:「さすがに正体を曝け出すのはマズかった。愛原先生にバレたら怒られる……」
 絵恋:「もちろん、内緒にしておくよ。このことは、私とリサさん2人だけの秘密だよ?」
 リサ:「ん、ありがとう」

 顔を洗ったり歯を磨いたり、着替えたりしているうちに、リサはふと自分のスマホに着信があったのに気づいた。
 それを見るとメッセージが着信しており、相手は愛原だった。

 愛原:「BSAAから『さいたま市中央区内にて、0時過ぎ頃、BOWの強い反応あり!何かお心当たりは!?』という質問が来たんだけど、何かした?」

 とのこと。

 リサ:「……ごめんなさい。それ私です」

 リサは素直にそう返信した。
 やはり、天網恢恢疎にして漏らさずとはよく言ったものである。
 愛原がすぐにそれはリサだと答えたので大事にならなくて済んだのだろうが、もしそうでなければ、BSAAの武装ヘリが斉藤家上空を旋回していたことだろう。

 愛原:「誰にもバレてないだろうな!?」

 というレスが来たので、リサは『はい』とウソをついた。

 絵恋:「リサさーん、もう朝ご飯できてるって。早く行きましょ」
 リサ:「うん」
 絵恋:「誰とやり取りしてるの?」
 リサ:「愛原先生。私のこと心配してるみたい」
 絵恋:「愛原先生も心配性なんだね」
 リサ:「そりゃ、探偵さんだから」
 絵恋:「それもそっか」

 朝食会場たるダイニングに行くと、既に斉藤秀樹が朝食を終えていた。

 秀樹:「やあ、おはよう。よく眠れたかい?」
 絵恋:「ま、まあね」
 リサ:「お、おかげさまで……」

 そそくさと席に座る2人のJC。

 絵恋:「もう出掛けるの?」
 秀樹:「ああ。飛行機に遅れちゃうからね」
 新庄:「旦那様。お車の用意ができてございます」
 秀樹:「分かった。すぐ行く。これから成田まで行くから、リサさんを送るのはその後だな。昼頃になると思うけど、それでいいかい?」
 リサ:「はい。ありがとうございます」
 秀樹:「それまではゆっくりしてていいからね」
 リサ:「はい」
 秀樹:「ああ、それと……」
 リサ:「?」
 秀樹:「運転手の新庄に愛原さんへの手紙を預けておくから、帰ったらその手紙を愛原さんに渡してくれるかい?」
 リサ:「分かりました」
 秀樹:「それじゃ」
 絵恋:「行ってらっしゃい」

 秀樹が出て行くと、リサは朝食に手を付けた。

 絵恋:「今日は御飯と……」
 メイド:「大根のお味噌汁に鮭の塩焼きと鯖の塩焼き、そして玉子焼きと牛皿でございます」

 完全に和食である。

 リサ:「いただきます」
 絵恋:「今日は和食なのね」
 メイド:「旦那様が海外へ出張される前日は、いつもそのようにさせて頂いております」
 リサ:「どういうこと?」
 絵恋:「お父さん、海外に行くと日本食が食べられなくなるから、今のうちに食べておくのよ」
 リサ:「昨日はフランス料理だった……?」
 絵恋:「昨日は愛原先生とか来られたから別。それに、どうせ飛行機はファーストクラスにでも乗るんだろうから、そこで日本食の機内食でも頼めばいいのにね」
 メイド:「マイレージの為に、ビジネスクラスに乗られることもあるようでございますよ?」
 絵恋:「ビジネスクラスでも、機内食は洋食とか和食とか選べるって聞いたけどね」
 リサ:「私は魚好きだから、いただきます」

 そこでもまたリサのBOWとしての悪食性が発揮される。

 リサ:「うん、美味しい」

 バリボリと骨ごと食べるリサ。

 絵恋:「え、えっと……。ちょっと、リサさんは大食らいなんだから、もっと持って来てよ」
 メイド:「か、かしこまりました!」
 リサ:「サイトーはいつもこういう美味しいの食べてるの?」
 絵恋:「ま、まあ、食事はいつもメイドが作ってくれるから」
 リサ:「高橋兄ちゃんの食事も美味しいけど、愛原先生に合わせてるから、ちょっと味付けが薄いの」
 絵恋:「あー、オジさんって大体そうだよね。うちのお父さんもそうだから」

 それでも食後はコーヒーが出た。

 絵恋:「えーと……これから何しようかなぁ……?」
 リサ:「プールは?」
 絵恋:「そうだったね。確か頼んでたから、すぐに入れるはずよ」
 メイド:「準備運動はしっかりされるのですよ?」
 絵恋:「分かってるよ。リサさん、来年になったら新しい水着、買いに行きましょうね」
 リサ:「学校の?」
 絵恋:「ビキニよ。リサさんに似合うビキニ」
 リサ:「私に似合うかなぁ……?」
 絵恋:「もちろん!リサさんなら何でも似合うって!」
 メイド:「御嬢様は体操服を新調された方が良いかもしれませんね?」
 リサ:「どうしたの?」
 絵恋:「な、何でもない!」
 メイド:「御嬢様、お体が成長されたので、ワンサイズアップする必要があると思うのです」
 絵恋:「べ、別に太ったわけじゃないからねっ!」
 リサ:「おー!そういえばサイトー、短パンきつそうだった」
 絵恋:「い、言わないでよっ!」
 リサ:「私は……」

 リサはそもそも体の成長の仕方が普通の人間とは違うのであった。
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“愛原リサの日常” 「Bedroom」

2019-11-09 14:38:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日00:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家3F・斉藤絵恋の部屋]

 就寝時間になり、リサと絵恋は同じベッドに同衾した。
 ベッドのサイズはダブルであり、大の大人が1人で使っても余裕があるのに、ましてやそこに寝るのは10代前半の少女達だ。

 斉藤絵恋:「リサさんと一緒に寝れるなんて幸せ……
 リサ:「この前の旅行の時は、BOWの襲撃でそれどころじゃなかった。……あ、でも、夏休み前の野外活動の時は一緒の部屋だったでしょ?」
 絵恋:「あれは部屋が一緒だったというだけで、一緒のベッドには入れなかったでしょ」
 リサ:「それは当たり前」
 絵恋:「でも、ここでは違うからね。……リサさん、いい匂い」
 リサ:「泊めてくれた御礼に、今度は私の家に泊まるといい」
 絵恋:「も、萌えっ!?」
 リサ:「後で愛原先生に頼んでみるけど、多分いいと思う。高橋兄ちゃんは……まあ、愛原先生から言っといてもらう。高橋兄ちゃんは、愛原先生の言う事なら何でも聞くから」
 絵恋:「し、幸せーっ!」

 絵恋はリサを抱きしめた。

 リサ:「サイトー、きつい」
 絵恋:「ご、ごめんなさい!」

 パッと放す絵恋。

 リサ:「サイトーの家より狭いし、ベッドも狭いけど、それで良ければ」
 絵恋:「いいのよ!むしろ狭い方が密着できて幸せだわ!」
 リサ:「ふーん……」
 絵恋:「それよりさっきからいい匂いがするんだけど、何か使ってるの?」
 リサ:「別に。多分これは私の体臭」
 絵恋:「えっ?」
 リサ:「獲物を捕まえる時、いい匂いを放ってそれを引き寄せるんだって」
 絵恋:「わ、私、獲物!?」
 リサ:「あいにくと体臭までは自分で調整できないから……。あ、それって私もサイトーが好きだってことだね。こういう匂いを出すってことは」
 絵恋:「(リ、リサさんがついに私に告白!?)も、萌えぇぇぇぇぇぇっ!!」
 リサ:「嫌いな相手にはこんな体臭は出さない」
 絵恋:「り、リサさん、私が獲物ってことは、私を食べてくれるの!?」
 リサ:「食べていいの?」
 絵恋:「食べて食べてーっ!」

 絵恋はガバッとリサの上に覆いかぶさった。
 まるで絵恋の方がリサを捕食するみたいだ。

 リサ:「それじゃあ……」

 リサはカプッと絵恋の腕に噛みついた。
 そして、ペロペロと舐める。

 絵恋:「も、萌えぇぇぇぇぇぇっ!!」
 リサ:「うん、確かにサイトーは美味しそう。私の第1候補にピッタリ」
 絵恋:「だ、ダメっ!」
 リサ:「ん?」
 絵恋:「第2候補なんか選ばないで!私だけ選んで!」
 リサ:「非常食は用意しなきゃ」
 絵恋:「ダメなの!私だけにしてくれなきゃ嫌!!」
 リサ:「……もしかして、勘違いしてる?」
 絵恋:「な、何が?」
 リサ:「サイトーは私の『人肉』の御馳走第一候補」
 絵恋:「しょ、食欲!?」
 リサ:「そういうこと。いいでしょ?」
 絵恋:「そ、そんなにお腹が空いたら、私が御馳走してあげるよ」
 リサ:「サイトーの肉を?」
 絵恋:「う、うん。もしかして、今お腹空いてる?」
 リサ:「少し空いてる。でも、今は食べない」
 絵恋:「ど、どうして?」
 リサ:「1番好きな物は1番後に取っておく主義だから」
 絵恋:「そ、そういえば給食もリサさんはそうだったね。で、でも、まさか、リサさんにそういう趣味があったなんて……」
 リサ:「趣味?」

 リサは目を見開いた。
 いつまでも誤解し続ける絵恋にイラッと来たのかもしれない。

 リサ:「趣味かどうか、私の正体を見てから判断して」

 リサはバッと掛け布団を頭から被った。
 元から消灯して暗い部屋だったが、それで真っ暗になる。

 リサ:「私の目を見て」
 絵恋:「ひっ……!」

 暗闇の中にリサの瞳が金色に光る。
 そして、グググとリサは変化していった。
 完全に人間に化けた第0形態から、鬼娘となる第1形態へ。
 体色は赤鬼のように赤銅色になり、額と前頭部の間の所には一本の角が生えた。
 耳はいわゆる『エルフ耳』と呼ばれる、長く尖った形となり、手足の爪は鋭く伸びる。
 歯も人間形態の時は八重歯に見える牙も、鋭く伸びた。

 絵恋:「お、鬼……!?」
 リサ:「これが私の正体。愛原先生達以外では、サイトーにだけしか見せてないよ」
 絵恋:「あ、愛原先生も知ってるの?」
 リサ:「知ってる。知っていて、私の面倒を看てくれているいい人なの。本当は第2形態、第3形態もあるんだけど、それはもっと恐ろしい化け物の姿になるから、ここではやめておく。愛原先生からは、『この家の人達に迷惑を掛けるな』と言われてるから」
 絵恋:「あ、あ、あ……!」
 リサ:「この姿だけでも怖いでしょ?……もう一度、味見させてね?」

 リサはそう言うと絵恋の手を取った。

 絵恋:「か、かわいい!」

 絵恋はリサに抱きついた。

 リサ:「!? 怖くないの?」
 絵恋:「変身する時はちょっと怖かったけど、その姿、かわいい!」
 リサ:「……今、私はサイトーを味見しようとしてるの。つまり、食べようとしてるんだよ?逃げないの?」
 絵恋:「食べて食べてーっ!」
 リサ:「…………」

 リサは再び第0形態に戻った。

 絵恋:「えっ、どうして戻るの!?」
 リサ:「この後、サイトーが恐怖でこの家を逃げ回る中、私が追い回すというホラー展開になるはずだったんだけど、肝心のサイトーが怖がらないのと、あと字数の都合」
 絵恋:「字数!?」
 リサ:「とにかく、私の言ってることは本当だって分かったでしょ?サイトーは私の『食料』の第1候補。これからもよろしく」
 絵恋:「よ、よろしく、リサさん!」
 リサ:「おやすみ」

 リサは絵恋に背中を向けた。

 リサ:(変わった人間もいるものね。学校に通わせてもらって、本当に良かった……)
 絵恋:「ねえ、リサさん?」
 リサ:「……眠い。もう寝よう」
 絵恋:「う、うん」

 絵恋はそれ以上言わなかった。

 絵恋:(何だろう?昔、リサさんみたいなコと会ったことがあるような気がする……)
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