報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤家へようこそ」

2019-11-04 19:36:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月2日15:45.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 私達を乗せた路線バスは、斉藤家の最寄りのバス停に到着した。
 そこでバスを降りて、住宅街の中に入る。
 そこをしばらく歩くと、斉藤家が見えて来た。

 斉藤絵恋:「アンタはお呼びじゃないのよ!帰れーっ!!」
 ボコボコにされたNHK集金員:「ごご、ごめんなさーい!!」
 愛原:「ぅおっと!?」

 何だ何だ?
 いきなりハードボイルドな展開だぞ?

 件のNHK集金員:「た、たた、助けてください!殺されます!」

 NHKの集金員が私にすがりつくように助けを求めて来た。

 愛原:「え、えっと……」
 高橋:「キサマ……汚い手で先生に触るんじゃねぇーっ!!」
 NHK集金員:「ふぐぉーっ!?」

 NHK集金員、カワイソス。
 高橋に最後は拳でトドメを刺されてしまった。

 高橋:「誰がNHK料金払うか、ヴォケ!!」
 愛原:「まあまあ」

 絵恋さんとナイス連携プレー。
 何だかんだ言って、そこはLGBT同士だな。

 リサ:「サイトー、元気?」
 絵恋:「ようこそようこそ、リサさーん!……と、愛原先生とリサさんのお兄さんとリサさんのお姉さん……」
 高野:「こんにちは。さすがBOWをピヨらせるほどの実力者だね」
 高橋:「そこだけは俺も認めてやるぜ」
 リサ:「さーさー、歓迎しますわよ!どうぞ中へー!」
 愛原:「お邪魔します……」

 私達は早速家の中に入らせて頂く事にした。

 斉藤秀樹:「ああ、愛原さん、今日は御足労ありがとうございます」
 愛原:「お招き頂きまして、大変恐縮です。あ、これ、手土産になります。つまらないものですが……」
 秀樹:「あ、こりゃどうも。却って気を使って頂いて……」
 高橋:「エキュートで買ったとは言えねーよな?」
 高野:「シッ、黙ってな」
 愛原:「それにしても、一段と御嬢さんはパンチを利かせるようになりまして」
 秀樹:「お恥ずかしい限りです。リサさんに会えるのが楽しみで、チャイムが鳴る度に玄関に走って行ったんですよ」
 高橋:「犬かよ……」
 高野:「シッ!」
 秀樹:「で、違うと分かると烈火の如く怒り出して……」
 高橋:「なにファビョってんだよ。朝鮮人か」
 高野:「だから、シッ!」
 秀樹:「NHKの集金の前は顕正会やエホバの証人、それに【ぴー】新聞の勧誘員を悉く追い返してくれまして……」
 愛原:「この辺り、勧誘が多いんですなぁ……」
 高橋:「てか何で、新聞だけ伏せ字なんだよ」
 高野:「それは私も同感」
 秀樹:「今、うちのコックが腕によりをかけて夕食を作っておりますので、応接室でしばらくお待ちください」
 愛原:「ありがとうございます」
 秀樹:「是非とも東北旅行の武勇伝をお聞かせ願いたいものですな。報告書でも手に取るように分かるのですが、やはり直接お話を伺うのが1番だと思いますので」
 愛原:「なるほど。私は話下手なんですが、それでもよろしければ……」
 秀樹:「構いませんよ。よろしかったら、愛原さんの部下の方達にも一緒に参加して頂いて……」
 愛原:「その方がいいですね」
 絵恋:「お父さん、お父さん」

 絵恋さんがバンバンと秀樹社長の背中を叩く。

 秀樹:「ん?」
 絵恋:「私はリサさんと一緒に遊びたいわ。いいでしょ?」
 秀樹:「もちろんだとも。行っといで。夕食会は18時からだ」
 絵恋:「分かった。リサさん、行きましょ!」
 リサ:「うん」

 絵恋さんはリサの手を取って、奥の階段へ向かった。

 秀樹:「絵恋も仲の良い友達ができて良かったですなぁ……」
 愛原:「それはリサも同じことなんですが……」

 もちろんただの親友というならそれで良い。
 リサとしてもそれを望んでいるはずなのだが、絵恋さんはそれ以上の関係を望んでいる。
 この父親は、娘のそんな性癖を知らないのだろうか。
 それとも知っていて、あえてノータッチというだけか。

 秀樹:「それではどうぞ応接間へ。お茶を御用意させましょう」
 愛原:「ああ、どうもありがとうございます。どうぞお構いなく……」

 私達は応接室へと足を運んだ。

 秀樹:「まあ、どうぞ、お掛けください。それにしても……ん?」

 と、そこへ電話が掛かって来た。
 どうやら内線電話のようだ。

 秀樹:「どうしたかね?」

 電話に出ると、相手は執事のようだった。

 執事:「旦那様、いま問い合わせの電話が来ておりまして……」
 秀樹:「問い合わせ?何の?」
 執事:「愛原様方の視点ではなくて、御嬢様方視点のストーリー展開にできないものかという内容で、回線がパンク状態です」
 秀樹:「そんなこと私に言われても困る」
 愛原:「この作品だけ、私の一人称で進むことになっているので、そう簡単に視点を変えることができないらしいですよ」

 その為、“愛原リサの日常”というスピンオフがあるのだが……。

 愛原:「しょうがないですね。まだ規定の字数には足りませんが、御要望多数とあらば、特別にここで切りましょうか」
 秀樹:「さすがは主人公」

 秀樹社長は内線を切った。

 秀樹:「それでは私は通常通り、愛原さん達から東北旅行についての話を伺ってもよろしいのですな?」
 愛原:「そういうことになります」
 秀樹:「それは良かった。私の立場が危うくなるところでした」
 愛原:「すいませんねェ……」

 私達はこれから夕食時まで斉藤社長と会談を行い、次回はリサ視点での展開に切り替えるとしよう。
 “バイオハザード3”や“バイオハザードリベレーションズ2”なんかは簡単に操作キャラの切り換えができたものだが、ノベルではそうはいかない。
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“私立探偵 愛原学” 「さいたま市へ到着」

2019-11-04 10:26:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月2日15:11.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はうちの事務所の大口顧客の1人である斉藤社長に招かれ、夕食会に向かうところである。
 新宿で行われた探偵協会の懇親会に参加した後、リサと合流して埼京線に乗り込んだ。

〔まもなく終点、大宮、大宮。お出口は、左側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、京浜東北線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔The next station is Omiya,terminal.The doors on the left side wil open.Please change here for the Shinkansen,the Takasaki line,the Utsunomiya line,the Keihin-Tohoku line,the Kawagoe line,the Tobu Urban park line and the New Shuttle...〕

 埼京線はダイヤ通りに運行した。
 台風の影響で未だに止まっている線区があり、それを伝える運行情報が車内に流れる度にどこの路線が止まったのか気になったが、少なくとも東京近辺は今のところ大丈夫のようだ。

〔「19番線到着、お出口は左側です。ホーム進入の際、電車が大きく揺れる恐れがあります。お立ちの際はご注意ください」〕

 電車が上り副線ホームに入る為、ポイントを2回渡る。

 高橋:「先生、駅に迎えは来るんスか?」
 愛原:「いや、来ない来ない。ここからバスに乗り換えて向かうさ」
 高橋:「先生をナメてますね」
 愛原:「しつこい。ていうか、俺達がカネをもらう側なんだからな」

〔おおみや、大宮。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 ドアが開いて私達は電車を降りた。
 埼京線ホームの端にある階段は、本当に階段だけだ。
 そこにエスカレーターは無い。
 私はエッサ、ホイサと階段を登る。
 リサや高橋は10代、20代の若さで階段を駆け登って行くが、アラフォーの私は……。

 高野:「何言ってるんですか、先生!お爺ちゃんじゃないんですから」
 愛原:「ここ最近腰が……」
 高橋:「先生、俺が後で先生の腰を揉んであげますよ」
 愛原:「いや、いいよ」
 リサ:「先生、私が腰を揉んであげる」
 愛原:「ああ……リサにはお願いしようかな」
 高橋:「何でですか!?」
 愛原:「オマエのは力が強過ぎて却って傷めるの!」

 途中にはエスカレーターがあるので、それに乗って更に上に向かう。
 大宮駅の構造は分類上は『橋上駅舎』ということになり、改札口もコンコースも2階にあるからだ。
 しかし私達はすぐには改札を出ない。
 それは埼京線乗り場のすぐ横にあるショッピングモールに立ち寄る為だ。

 愛原:「斉藤社長の所に手土産を持っていかないと」
 高野:「大企業の社長さんですから、ヘタな物は持っていけないですね」
 愛原:「まあ、そうだな。だけど、手土産無しってのも失礼だろ」
 高野:「まあ、それは確かに……」
 リサ:「おー……!」

 リサは1つの店のショーケースに入ったホールケーキを見て目を輝かせた。
 さすがにそれは持っていけないな。
 誕生日パーティーというわけでも、クリスマスパーティーというわけでもないもんな。
 結局私は洋菓子を買って行くと、それを手に東口を出た。
 手軽なお土産ではあるが、手軽すぎたかな。

[同日15:30.天候:晴 さいたま市大宮区 JR大宮駅東口→西武バス大38系統車内]

 駅の外に出た私達はロータリー内のバス停でバスを待った。

 高橋:「あ、先生。高島屋がありました。高島屋なら、もっと高級なお菓子が売ってたかもですね」
 愛原:「あ、そうか。しまったなぁ……」
 高橋:「どうします?」
 愛原:「もう既に買ったものはしょうがない。それに、もうすぐバスが来る」

 一本前の別のバス会社のバスが発車して行くと、すぐ私達の乗るバスがやってきた。

〔「大宮駅西口行き、市内循環です」〕

 大型の路線バスがやってくるが、乗客数は私達の他に2〜3人だけであり、とても寂しい。
 ほぼ満席の状態で発車して行った自治医大医療センター行きとは対照的である。

〔発車します。お掴まり下さい。発車します〕

 都営バスでもお馴染みのノンステップバスはすぐに発車した。
 先ほどのバスを追うようにロータリーをぐるりと回る。
 タクシー乗り場と一緒になっている為、タクシーを交わしながら進む。

〔ピンポンパーン♪ 大変お待たせ致しました。ご乗車、ありがとうございます。このバスは住宅前、中並木、上小町経由、大宮駅西口行きです。次は仲町、仲町。……〕

 ロータリーを出て最初の十字路交差点で、一本前のバスに追いつく。
 それは直進するが、私達のバスは右折である。
 赤信号で止まった時に、リサが話し掛けた。

 リサ:「先生。今バスに乗ったって連絡したら、すぐにサイトーからレス来た」
 愛原:「今度は何だって?」
 リサ:「『仲町バス停を出たらLINEちょうだい』『吉敷一丁目バス停を出たら連絡ちょうだい』『上落合九丁目バス停を出たら……』」
 愛原:「おい、高橋。良かったな?仲間がいたぞ?ああ?」

 私は高橋に嗜虐的な顔で言ってやった。

 高橋:「レズ女と一緒にされるのは心外です、先生」

 高橋は真顔で返して来た。

 高野:「ノーマルな先生から言わせると、『五十歩百歩だ』って言ってんのよ。先生の御心をちゃんと理解しなさい」
 高橋:「うっせ!」

 高橋が反抗すると、ダンッ!と高野君は高橋の足を踏みつけ、胸倉を掴んだ・

 高野:「あァ?今何つった、コラ?」
 高橋:「さ、サーセン……」

 それにしても、LGBT同士が仲が良いとは限らないということだな。
 Gの高橋から見ればLの斉藤絵恋さんの気持ちは理解できても、やはり生理的には嫌悪感が先に出てしまうのだろう。
 高橋は分かりやすいが、分からないのは高野君だな。
 もちろん彼女はノーマルなんだろうが……。
 いやね、昼間の懇親会の時なんだが、他の探偵事務所の探偵の何人かから言われたんだよ。
 『エイダ・ウォン(https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%B3)に似てますね』って。
 私もそうは思うのだが、多分他人の空似だよ、きっと。
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