報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「東京最初の夜」

2019-11-22 22:38:50 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月19日22:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル]

 稲生達を乗せたタクシーがワンスターホテルの前に到着する。
 今回のタクシー代はイリーナがカードで払ってくれた。
 後部に積んだ荷物を降ろすのに、運転手が降りてハッチを開けた。

 運転手:「ありがとうございました」
 稲生:「お世話さまでした」

 そしてホテルの中に入る。

 エレーナ:「らっしゃいせー!何名様ですか!?」
 稲生:「ラーメン屋か!」
 イリーナ:「日本じゃ深夜労働時間が始まるというのに、随分と元気だねぇ……」
 エレーナ:「冗談っスよ。それより稲生氏、早くこちらに記入を」
 稲生:「あ、ああ」

 稲生が宿泊者カードに必要事項を記入する。

 イリーナ:「随分と繁盛するようになったのね」
 エレーナ:「おかげさまで。あ、因みに鈴木は今夜はいないので。ご安心を」
 稲生:「どこか行ってるの?」
 エレーナ:「顕正会のかつての上長がムショから出所するんで、ボコしに行くとか言ってたぜ?」
 稲生:「松本支隊長か……。まあ、口でボコしに行くんだろうな」
 エレーナ:「で、向こうをファビョらせてまた暴力事件を起こさせ、再びムショ送りにしてやるのが目的なんだと」
 稲生:「鈴木君ならやりかねん」

 稲生は苦笑しながら必要事項を記入した。

 稲生:「わざと殴らせて1日入院するくらいのケガを負って、被害者枠を分捕るとか前に言ってたような……?」
 エレーナ:「あいつも賠償金ふんだくるのが得意なクチか?少しサービスしてやらないとな」
 稲生:「はいはい」
 エレーナ:「支払いは?」
 イリーナ:「はいよ。アタシのカード使って」
 エレーナ:「さすがイリーナ先生、プラチナカードの白金が眩しいっス」
 イリーナ:「それは良かった」
 エレーナ:「それじゃ、部屋割りどうします?稲生氏とマリアンナ、2人一緒にします?」
 イリーナ:「うーん……。そうしてあげたいんだけど、他の組に誤解されると面倒臭いから、アタシとマリアンナにして」
 エレーナ:「了解でヤンス!マリアンナ、稲生氏の部屋のスペアキーが欲しかったら応相談な?」
 マリア:「ざっけんな!(絶対、カネ要求する気だろ、こいつ!)」
 イリーナ:「それじゃ、早速部屋で休ませてもらおうかねぇ……」
 エレーナ:「ごゆっくりどうぞ!」

 稲生はシングルルーム、マリアとイリーナはツインルームの鍵を受け取った。
 もっとも、フロア自体は同じである。

 イリーナ:「それじゃ稲生君、明日は最初にダンテ先生がお泊りになられるホテルの下見に行くからね?」
 稲生:「分かりました。きっと気に入ると思いますよ」
 イリーナ:「それは良かったわ」

 エレベーターを降りると、そこで2部屋に分かれた。

 イリーナ:「やぁーっと着いたねぇ。これで朝までゆっくり寝れるよ〜」
 マリア:「バスや新幹線の中で寝たのに、まだ寝足りないんですか?」
 イリーナ:「あれはほんのうたた寝だよ。やっぱり熟睡はベッドに限るね」
 マリア:「そうですか」
 イリーナ:「私が寝たら稲生君の部屋に遊びに行っていいからね。もっとも、明日の朝までには部屋に戻っているように……」
 マリア:「大師匠様が御来日されるというのに、そんな気持ちにはなれませんよ。バスルームにお湯を張ってきます」
 イリーナ:「またまたぁ……」

 イリーナは目を細めて言ったが、マリアはさっさとバスルームに行った。
 その際、着ていたローブやブレザーはハンガーに掛けておく。

 イリーナ:「そういえば、入浴剤は持って来た?」
 マリア:「それは大丈夫です」
 イリーナ:「さすがマリアだね」
 マリア:「少し高いホテルに行けば入浴剤を置いていることがありますが、このホテルにはありませんね」
 イリーナ:「まあ、そういうもんだよ」
 マリア:「明日は何時に起きますか?」
 イリーナ:「ここは朝食サービスが無いし、ダンテ先生のお泊りになるホテルの下見しか予定が入っていないから、あんまり早く起きる必要は無いんじゃない?」
 マリア:「そうですか。連泊とはいえ、このホテルのチェックアウトは10時のようです」
 イリーナ:「それなら、9時くらいでいいんじゃないかねぇ……」
 マリア:「分かりました。勇太にも伝えておきます」

 マリアは部屋の電話機を取った。
 それで起床時間を伝えておいた。

 イリーナ:「どれ、ちょっと着替えようかねぇ」
 マリア:「そこに寝巻があるようです」
 イリーナ:「あ、これね。こういうのはね、着替えてナンボでしょ。寛いでナンボってヤツね」
 マリア:「それは否定しませんが……」

 イリーナは着ているローブを脱ぎ、その下の紫色のワンピースも脱いだ。
 ローブを着ているから分からないが、イリーナもイリーナでなかなかセクシーなドレスを身に纏っているのである。
 裾の長いロングスカートのように見えて、実は結構両脇に深いスリットが入っていたりとか……。
 下着は高級ランジェリー。

 マリア:「どうですか?」
 イリーナ:「うーん……ちょっとムネが苦しいかねぇ……」
 マリア:「くっ!……エレーナに言って、サイズ交換させます」
 イリーナ:「いや、いいよ。今夜はこれで」
 マリア:「私の場合は少しスカスカなんですけどね!」
 イリーナ:「悪魔との契約上、しょうがないよ。そのうち体もオッパイも大きくなるさー」
 マリア:「それはいつですか?いい加減、いつまでも18歳でいるのにも飽きてきました」
 イリーナ:「私が思うに、勇太君と結婚したらだと思うんだ。その時には、勇太君も結構ダンディになっていたりしてね」
 マリア:「……勇太のダディみたいにですか?」
 イリーナ:「あー、イメージ的にはそうかもね」

 しばらくして人形達がバスタブの湯を止めに行った。

 マリア:「どうやらお湯張りが終わったようです」
 イリーナ:「じゃ、悪いけど私から入らせてもらうわね。上がったらマリア、好きに入ってていいから。お風呂から出たら、私ゃとっとと寝るからね」
 マリア:「分かりました」

 イリーナはバスルームに行くまでの間、全裸になった。

 マリア:「歩きながら脱がないでください!ストリッパーじゃあるまいし!」

 当然、服とか下着とかはその辺に脱ぎ捨てて行くので、弟子のマリアが回収するのだった。

 マリア:(いっそのこと、この人もポーリン先生みたいに普段は婆さんの姿をしていてくれたら逆にいいのかもしれない)

 介護や介助が大変ではないかと思うかもしれないが、マリアは自作の人形を魔法の糸で自由自在に操れる。
 老婆の1人くらいの介護、その人形達を駆使すれば簡単にできるような気がした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする