報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“魔女エレーナの日常” 「ポーリン組+αの晩餐会」

2019-08-22 21:43:07 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月5日20:00.天候:雲 東京都江東区森下 某焼肉店]

 エレーナ:「焼肉奢ってもらえて功徳だぜ!ヒック!」
 鈴木:「そうだろそうだろォ?顕正会よりも充実してるんだぜよォ!」
 リリィ:「フヒヒヒヒ……。2人とも、飲み過ぎ……です……」
 鈴木:「まあ、そう言いなさんなって。今度、登用試験があるんだろ?五級?」
 エレーナ:「クラス分けは無いって。要は見習解除試験だな。マスターになる為の試験を受ける資格を得る為の試験みたいなものだ」
 鈴木:「正に、中学校の全国統一模試の魔女版だな。この模試の結果如何によって、どこの高校を受けるか、受けられるかが決まって来るという……」
 エレーナ:「鈴木はどうなんだ?」
 鈴木:「俺は埼玉の高校クビになったからな。顕正会活動のせいで。まあ、別の高校に入り直して何とか卒業したけど、何か社会に出る気が無くなっちまってさぁ……。この時、エレーナから勧誘受けてたら入ってたよ」
 エレーナ:「だから勧誘しないって。アンタには才能が無いんだから……」

 エレーナはグイッとビールを口に流し込んだ。

 エレーナ:「おかわりいい?」
 鈴木:「いいよ。飲み放題だし。リリィもこの際、アルコール飲んじゃったら?」
 リリィ:「フヒヒ……。いいんですか?」
 エレーナ:「鈴木の前では飲まない方がいいな。こいつに酒飲ませたら、『流血の惨を見る事、必至であります』だぜ?」
 鈴木:「そんなに酒癖悪いのかい?」
 エレーナ:「まあ……厳密に言えばそういうわけじゃねーんだが……。まあ、説明するのも面倒だから、勝手にそう思っててくれていいぜ。なあ、リリィ?」
 リリィ:「フヒヒ……。エレーナ先輩にお任せします……。じゃあ、私はオレンジジュースで」
 鈴木:「すいません、ビール中生1つとハイボール1つとオレンジジュース追加お願いします」
 店員:「かしこまりました。空いているグラス、お下げします!」
 鈴木:「俺達にスポット当ててくれるのは嬉しいんだけど、いきなりどうしたんだろうな?」
 エレーナ:「おおかた今頃、本編じゃエロシーンの撮影中だから、その繋ぎじゃね?」
 鈴木:「エロシーン!?」
 エレーナ:「今頃、稲生氏の家は稲生氏とマリアンナの2人っきりだぜ。相思相愛の男女が2人っきりの場所でやることと言ったら1つだろ?あぁ?」
 鈴木:「でも稲生先輩は、長野でもマリアさんと2人っきりなんでしょ?」
 エレーナ:「いつセンセーが帰って来るか分かんないし、そもそもあの屋敷自体、センセーの肝煎りで造られたヤツだから、いつどこで監視されてるか分かったもんじゃない。そんな所じゃ起つモンも起たないし、濡れるモンも濡れないってことさ」
 鈴木:「なるほどなぁ……」
 リリィ:「フフフ……。(よ、よく分かんないけど、きっと先輩、下ネタを言ってるんだ……)」
 鈴木:「じゃあ、エレーナ。そろそろ俺達もエロシーンの撮影に入ろうか?」
 エレーナ:「冗談じゃねぇ、バーカ」
 鈴木:「……一蹴された」
 エレーナ:「こればっかりはいくら積まれても譲らねーぜ」
 鈴木:「え、でもエレーナ、処女なんでしょ?」
 エレーナ:「この体はな。だけど、それまで使ってた体は非処女ばかりだったから、別に経験なしってわけじゃねーぜ」
 鈴木:「そうか。エレーナがやりたくないってんなら仕方ない。……どうだい、リリィ?この際だから、キミと18禁シーンを……」
 リリィ:「フヒッ!?」
 エレーナ:「おい、性犯罪者!」
 鈴木:「冗談だって」
 店員:「お待たせしました。ビール中生とハイボールとオレンジジュースです」
 鈴木:「どうも」
 エレーナ:「気を取り直して飲み直すぜ。今度はハイボールだ」
 鈴木:「どうぞ。俺が言いたいのは、もしもリリィが試験に合格したら、ゲームでも買ってあげようかと思って」
 リリィ:「フヒッ!?ほほ、本当ですか!?」
 鈴木:「ああ。親父の知り合いの社長に卸売業がいるから、その社長に頼めば卸売価格で譲ってもらえるはずだ」
 エレーナ:「凄い人脈だな。御両親とは仲直りしたのか?」
 鈴木:「俺が顕正会を辞めて、真面目に学校に行くようになったのが確認できた途端、急に優しくなったよ。これも本物の仏法の功徳かな」
 エレーナ:「それについてはノーコメントだが、『仲良き事は美しき哉』だぜ」
 リリィ:「フヒヒヒ……。ダンテ一門の綱領……です……」
 鈴木:「まあ、親父としては大学に行って欲しかったんだろうが、今さら入れる大学なんて無いしな。かといって高卒じゃ、潰しが効かないし。専門学校を卒業したら、IT企業かゲームメーカーに入ってクリエイターになるって夢も見つかったし」
 エレーナ:「まあ、私も無職の男と知り合いよりは、学生の男と知り合いの方がマシだと思ってるよ」
 鈴木:「やはり彼氏には何かしらの肩書きを持っていてほしいと……」
 エレーナ:「何か話を変な方向に持って行きそうだから、これ以上この話は止めるぜ。で、リリィにはどんなゲームを買ってくれるんだ?」
 鈴木:「そりゃリリィの好きなもの買ってあげるさ。PS4でもXboxでもPSVitaでもいいよ」
 リリィ:「おー!わ、わわ、私……がが、頑張ります!」
 鈴木:「ていうか、魔界にテレビなんてあるの?」
 エレーナ:「無いけどアルカディアシティは一応電化されてるから、こっちからテレビでも持って行けばいいんだぜ」
 鈴木:「まあ、一番無難なのは据置型よりは携帯型かな」
 リリィ:「フフ……どっちも欲しい……です」
 エレーナ:「それはさすがに贅沢ってもんだ。どれか1つにしろ。さもないと、ただでさえズタズタにされた貞操が完全に救い無しになってしまうぞ?」
 リリィ:「ヒィッ!?……は、はは、はい……!」
 鈴木:「俺達の感覚じゃ、魔界ってのは地獄界の類義語みたいな場所だと思っていたが……」
 リリィ:「いや実際そうだぜ。ただ、ほんのごく一部には例外な地域があるんだ。だから正に、アルカディア(理想郷)なんだぜ」
 鈴木:「ふーん……。人間界じゃ、魔界の穴を塞ぐのに伝説の剣とか探し回って大変な思いをしてるのねぇ……」
 エレーナ:「魔界じゃ『何か地面が陥没してる』程度の騒ぎだぜ」
 鈴木:「何だそりゃ……。あ、肉とか追加する?」
 リリィ:「も、もうお腹一杯です……。あ、でも最後にデザート食べたい……です……」
 鈴木:「いいよ。デザートも食べ放題のうちに入ってるし」
 エレーナ:「また今夜もうちのホテルに泊まるのか?何か、予約入ってたぞ?」
 鈴木:「もちろんだとも。夏休みで部屋が満室なんだって?大変だね」
 エレーナ:「お陰様で、経営は順調みたいだぜ」
 鈴木:「あ、普通のシングルルームでいいからね?」
 エレーナ:「当たり前だろ。お1人様でツインやダブルの部屋通せるか」
 リリィ:「帰ったらゲームの続きやりたい……です……」
 エレーナ:「明日になったら、ちゃんと勉強しろよ」
 リリィ:「はい」
 鈴木:「稲生先輩も見習解除試験っての受けるの?」
 エレーナ:「いや、稲生氏は免除だぜ」
 鈴木:「ええっ!?」
 エレーナ:「稲生氏は才能豊かだし、あと門内のゴタゴタを色々と解決に導いたことが評価されたんで、免除決定だ」
 鈴木:「何気に先輩、スーパーマンなんだな……」
 エレーナ:「ま、そういうことだな」
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“魔女エレーナの日常” 「ゲリラ豪雨」

2019-08-22 17:13:47 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月5日18:30.天候:雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル]

 まるで滝のような雨が降る森下地区。
 その上空をずぶ濡れになってホウキで飛行する魔女がいた。

 エレーナ:「あーっ、もう!サイアク!」

 スーッとホテルの屋上に着陸する。

 エレーナ:「あともうちょっとだったのに!」

 ずぶ濡れになったとんがり帽子を取ると、その下のウェーブの掛かったセミロングの金髪はそれほど濡れていなかった。

 エレーナ:「早く着替えないと風邪引いちまうぜ」

 エレベーターに乗り込み、鍵を差し込んで地下階まで行けるようにする。
 エレベーターのドアが閉まる直前、外で雷鳴が響いた。

 エレーナ:「雷が落ちる前で良かったぜ。飛行すらできなくなるところだった」

 スーッとエレベーターは下階へ下りて行く。
 が、それが1階で止まった。

 エレーナ:「誰よ?下のボタン押したの?STAFF ONLYだっつの」

 ドアが開くと……。

 鈴木:「ぬーん」
 エレーナ:「って、なにアンタしれっと乗って来てんの!?外からは鍵が無いとエレベーター止まんないはずだぜ!?」
 鈴木:「んん?うちのマンションのエレベーターが、このホテルのそれと同じメーカーなもんで、鍵なら持ってるよ」
 エレーナ:「何で一般人がエレベーター鍵持ってるの!?おかしいでしょ、常識的に考えて!」
 鈴木:「そこは親の財力と権力で。フフフ……」
 エレーナ:「オマエなぁ……」
 鈴木:「というわけでお邪魔します」
 エレーナ:「邪魔だから帰れ!……ックシュ!」
 鈴木:「ほらほら、早く着替えないと風邪引くよ」
 エレーナ:「うるっさい!アタシの部屋に来んな!」

 しかしエレベーターのドアが閉まり、再び降下する。

 鈴木:「御土産あるから。ハワイ旅行の」
 エレーナ:「マカデミアナッツならいらないぜ」

 エレベーターが地下階に到着する。

 鈴木:「まあまあ。箱の下に付加価値も入ってるから」

 底には諭吉先生が隠れていた。

 エレーナ:「ちっ、しょーがねーな。茶くらい出してやるぜ」
 鈴木:「そうこなくちゃ!」

 地下は機械室になっているのだが、そこの一画にエレーナの部屋があった。

 鈴木:「地下室に住むってどうなの?」
 エレーナ:「魔女が日の当たる所に住むもんじゃないってことさ」

 部屋のドアをエレーナが開けると……。

 リリィ:「フヒヒヒ……。エレーナ先輩、お帰りなさい」
 エレーナ:「おう、ただいまだぜ」
 鈴木:「こんにちは」
 リリィ:「フヒッ!?……よ、ようこそいらっしゃいませ……
 鈴木:「全然歓迎してないね」
 リリィ:「先輩、ずぶ濡れ……です……」
 エレーナ:「ああ。配達からの帰り、ゲリラ豪雨に遭っちまった。私の予知能力も大したことないなー」
 鈴木:「スマホの天気予報でさえ、雨が降り出してから雨マークに変わる有り様だからな」
 エレーナ:「私は着替えて来る。変な気起こしたら、妹分からの……」
 リリィ:「フヒヒヒ……!りゅ、流血の惨を見る事、必至であります……フフフ……!」

 リリアンヌ、ローブの中から大型のアーミーナイフを取り出し、その刃をペロッと舐めた。

 鈴木:「ダメだよ。JCがそんな物騒なもの持ってちゃ」
 エレーナ:「何か、土産でも無いのか?」
 鈴木:「ゲームで良かったらあるよ?」
 リリィ:「フヒッ?やります!」

 鈴木、鞄の中を開けるとPS4が出てきた。
 早速それをテレビに繋いで行く。

 鈴木:「こういうのに夢中になっているのを見ると、普通のJCのようなんだけどなぁ……」
 エレーナ:「リリィだって、虐待さえ受けなければ妖気なフランス人だったはずなんだぜ」

 エレーナは自分の着替えを用意すると、それでシャワールームに入って行った。

 リリィ:「おー!」

 リリィ、早速コントローラーを握る。

 リリィ:「フヒヒヒ……!血しぶきこそ、パラダーイス……」
 鈴木:「怖い怖い」

 というか、血しぶきの出るゲームを持って来る鈴木も鈴木だと思うが。
 しばらくして、着替えたエレーナがシャワールームから出てきた。

 鈴木:「Tシャツにジーンズ……随分ラフな格好だね?」
 エレーナ:「ああ?部屋に閉じこもる時は、だいたいこんなもんだぜ。とんがり帽子とかは仕事用だぜ」
 鈴木:「仕事用……」
 エレーナ:「ああ、もちろん魔女の宅急便な」
 鈴木:「ホテルの仕事をしている時も、普通にブラウスにスカート、ベストを着てるよな?」
 エレーナ:「だから、仕事用だぜ。リリィ、鈴木からの土産のマカデミアナッツだ」
 リリィ:「フヒッ?い、いただきます……」
 エレーナ:「おっ、約束の茶だな。リリィ、日東紅茶のティーバッグ、どこに入れてたっけ?」
 リリィ:「そ、そこの棚の……中です……」
 エレーナ:「おっ、そうか」
 鈴木:「魔女の出してくるお茶が日東紅茶……。もっとこう、薬草を煎じた、飲むだけでHPが回復するようなお茶とか無いの?」
 エレーナ:「あぁ?そんなもんタダで飲ますわけ……って、まあ……何だ。諭吉先生をもらったんだから、サービスしてやるか」
 鈴木:「よっ!そうこなくちゃ!」
 リリィ:「み、ミスター鈴木!あ、あの宝箱。どど、どっちがミミックだ?」
 鈴木:「あれは左だな」
 リリィ:「なるほど。ま、魔界でもミミックは超危険……」
 鈴木:「ミミックってガチでいたのか……」
 エレーナ:「ああ。確か、マリアンナの家にもあったぜ」
 鈴木:「マジで!?」
 エレーナ:「うちでも防犯用に置こうかなんてオーナーに言ってるんだけど、全然許可もらえないんだ」
 鈴木:「そりゃ、人喰い箱なんか設置したら過剰防衛上等だもんな」
 エレーナ:「魔界じゃゴミ処理に使うんだけどな。人間のゴミとかな」
 鈴木:「ゴミ扱いされないよう気をつけます」
 リリィ:「ファフニール!ファフニール出た!」
 鈴木:「おー、もうボスの所まで行ったか。さすがリリィだ。ファフニールは洞窟の奥で宝物を守っているドラゴンなんだけど、その宝物を気にするあまり、気が削がれる傾向があるから……」
 リリィ:「な、なるほど」
 鈴木:「稲生先輩やマリアさんとは会ってる?」
 エレーナ:「用が無きゃ互いに合わねーぜ。それに今日はあの2人、取込み中だ」
 鈴木:「ん?どういうこと?」
 エレーナ:「マリアンナのヤツ、今日は稲生氏の実家に泊まるんだけど、稲生氏以外に誰も今夜はいないみたいだぜ。鈴木ならその意味、分かるよな?」
 鈴木:「マジか!?」
 エレーナ:「あの2人もゲリラ豪雨に当たってずぶ濡れになっちまったみたいだから、取りあえず一緒に風呂に入る所からヤるんじゃないか?」
 鈴木:「稲生パイセンもスミに置けないなぁ……」
 リリィ:「み、ミスター鈴木!ファフニールが降参の意思表示してる!」
 鈴木:「ああ、それは罠だから許しちゃダメ。もっと徹底的に」
 リリィ:「わわ、分かった!」

 何気に鈴木も魔女達と仲良くやっているのだった。
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