報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「東京駅から上野駅へ」

2019-08-18 19:27:50 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月5日17:16.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、上野東京ライン、東北・上越・北陸新幹線、総武快速線、横須賀線と京葉線はお乗り換えです。お降りの時は、足元にご注意ください。今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 品川駅を出た“こだま”号は、在来線電車と並走している。
 そろそろ夕方ラッシュも始まったばかりの通勤電車には、混雑の様相が見え始めた。

〔「まもなく終点、東京、東京です。14番線に入ります。お出口は、右側です。……」〕

 第7ホームと呼ばれるホームに列車が入線する。
 元々東海道新幹線ホームは狭い用地に長い有効長を確保する為にホームが曲がっているが、第7ホームは更に曲がっている。
 特に北側が東北新幹線の上野方向を向くように。
 それもそのはず。
 旧国鉄時代、このホームは東北新幹線用として用意されたものだったからだ。
 東海道新幹線の本数が増えて行くに当たり、輸送量逼迫の為、苦肉の策として東北新幹線用の第7ホームを東海道新幹線用に転用した歴史がある。
 東海道新幹線も東北新幹線も、同じ日本国有鉄道が運営していたからこそできた策である。
 それぞれ別のJRが運営している昨今、その策は絶対に使えないだろう。

〔東京、東京です。東京、東京です。ご乗車、ありがとうございました。……〕

 列車がそんな歴史のあるホームに停車し、ドアが開く。
 ぞろぞろと乗客が降りて来て、稲生達もそれに混じっている。
 今はJR東海の意匠が散りばめられたホームであり、かつては東北新幹線が発着していた名残は少なくともホーム上では見受けられない。
 尚、ホーム下の業務通路を作者は仕事で何度か通ったことがあるが、ホーム下であっても名残は見受けられなかった。
 但し、ホーム下の更に下にあるバックヤードは【警備上の機密により削除】。

 稲生:「ふぅ……ホームは暑いなぁ……」
 マリア:「そうだな」
 稲生:「ロンドンもこんなに暑いんでしたっけ?」
 マリア:「最悪40度まで上がることはある。但し、湿度は低いので日陰に入れば涼しいし、日が暮れれば一気に気温は下がるよ」
 稲生:「羨ましいですねぇ……」

 暑いホームからエスカレーターでコンコースに下りる。

 マリア:「この後は?」
 稲生:「まずは電車で上野に移動して、それからまた高崎線に乗り換えます」
 マリア:「分かった」
 稲生:「東京から上野まで夕方ラッシュで混んでいると思いますが、7〜8分だけ辛抱してください」
 マリア:「まあ、しょうがない」

 八重洲南口改札を出て、八重洲南口改札からまた入る。
 何を言っているのか分からないかもしれないが、前者はJR東海の八重洲南口、後者はJR東日本の八重洲南口というわけだ。
 一応、改札口は色分けされている。
 JR東日本はその会社のコーポレートカラーで緑色に塗られているのだから、JR東海はオレンジ色に……塗られていないんだなw
 東海道新幹線の色ということで、青色に塗られている。
 ま、稲生みたいなヤツについて行けってことだ。

〔まもなく4番線に、上野、池袋方面行きが参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください。次は、神田に止まります〕

 夕方ラッシュでごった返す在来線コンコースを山手線のホームに移動する。

 稲生:「父さんの手術は成功したそうです」
 マリア:「良かったね。祈りが通じたということだろう」
 稲生:「ええ。また後で、御礼参りをさせて頂くことになるかと思います」
 マリア:「明日のタイミングで師匠が来るということは、つまりそういうことさ。丸く収まるということ」
 稲生:「ああ、なるほど」

 新型のE235系と呼ばれる電車がやってきた。

〔とうきょう〜、東京〜。ご乗車、ありがとうございます。次は、神田に止まります〕

 東京駅の山手線ホームにはまだホームドアが無い。
 改修工事中の為、それどころではないのだそうだ。
 ここまで降りて来る乗客は多かったが、乗り込む乗客も多い。
 最後尾の乗務員室の前に立ったが、メチャクチャ混むってわけでもない。
 上野東京ラインが開通したことで、少しずつ通勤電車の混雑が緩和されてきたということだ。

〔4番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 テンションの高い発車メロディが2コーラスくらい鳴ってドアが閉まる。
 駆け込み乗車があったせいか、何回か再開閉することとなる。
 それからようやく発車した。

〔この電車は山手線内回り、上野、池袋方面行きです。次は神田、神田。お出口は、左側です。中央線と地下鉄銀座線はお乗り換えです〕
〔This is the Yamanote line train bound for Ueno and Ikebukuro.The next station is Kanda(JY02).Please change here for the Cyuo line and the Ginza subway line.〕

 内回りと外回りの意味、お分かりだろうか。
 大阪環状線も含めてJRでは環状線内をグルグル回る電車にあっては、内回り・外回りと称しているわけだ。
 だが、英語放送では全く英訳していない。
 尚、山手線の列車番号は末尾にアルファベットのGが使われているが、これはグラウンド(Ground)のGである。
 名古屋市地下鉄名城線では、右回りとか左回りとか称する。
 ロンドンの地下鉄にも環状線はあって、こちらは内回りを『Inner Circle』、外回りを『Outer Circle』と称する。
 JR山手線ではそう言わない理由は不明である。

 稲生:「上野で始発の特急に乗り換えて、それで大宮まで帰れます」
 マリア:「前にも似たようなルートを通ったような気がする」
 稲生:「まあ、そうですね。これからどんどん混んでくるので、上野までちょっと我慢ですけど……」
 マリア:「別にいいよ。ロンドンの地下鉄も混んでるし」

 ゲリラ豪雨のフラグが立つこともなく、夕方の眩しい西日が車内に降り注ぐ中、まずは上野を目指す魔道士2人。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする