報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「帰省3日目」 3

2018-09-12 19:28:25 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月28日11:30.天候:晴 東京都千代田区外神田 某ステーキ店]

 稲生:「少し早いですけど、タイミングもいいんで、お昼にしましょう」
 マリア:「それがここなんだ」
 稲生:「何だかね、食べログで評判が良かったんですよ。もう1つ御徒町にも支店があるんですが、同じ人が同じ評判を書き込んでいるので……」
 マリア:「誰だ、それ?」
 稲生:「えー……『新生法華の星』?何だこりゃ?まあ、いいか。まだ空いてる時間だから、並ばずに入れますね」

 稲生とマリアは店内に入った。

 店員:「いらっしゃいませ!」
 稲生:「2名です」
 店員:「2名様!こちらへどうぞ!」

 店内はカウンター席しかない。
 稲生とマリアは並んで座った。

 マリア:「ステーキか」
 稲生:「そうです」

 場所柄、外国人の姿も多い。
 近くの席には英語圏の国の客が2人いて、その2人の外国人観光客も英語で何か言っていた。

 外国人A:「日本じゃ、なかなか美味いステーキに当たらなくてね。でも、ここのは当たりだ」
 外国人B:「なるほど。確かにな」

 字幕を付けるとしたら、こんな感じ。
 マリアの場合は自動通訳魔法を使っているので、日本語吹き替えだ。

 稲生:「今日のランチメニューはハンバーグみたいですね」
 マリア:「お、いいじゃない。これにしよう」
 稲生:「いいですか?じゃ、僕も……」

 稲生は店員を呼んで、ランチを注文した。
 先に来たのは、セットのライスとオニオンスープとサラダ。

 稲生:「お目当ての物も手に入りましたし、マリアさんにとっては旅行の目的を果たしましたね?」
 マリア:「そういうことになるな。でも、まだ休暇は続くんでしょ?」
 稲生:「先生からは、今週一杯まで休んでいいということでした」
 マリア:「じゃあ、まだ時間あるわけだ」
 稲生:「まあ、そうです。ま、学生はまだ夏休みですからね。違和感は無いんですが……」

 先にスープとサラダを平らげてしまうと、そこで注文したハンバーグがやってくる。

 マリア:「“魔の者”に1つだけ感謝することがある」
 稲生:「何ですか?」
 マリア:「取りあえず、食べ物がマズいイギリスから出るきっかけを作ってくれてありがとう」
 稲生:「イヤミですね。フィシュ&チップスとローストビーフは美味いと思いますけどね」
 マリア:「それだけだよ」

 マリアはナイフとフォークを取った。

 稲生:「お、さすが専門店のは美味しいですね」
 マリア:「さっきのアメリカ人達を唸らせるわけだ」
 稲生:「よく分かりましたね。アメリカ人って」
 マリア:「あの男達の英語、向こうの訛りがあったからね」
 稲生:「聞き取りにくい英語ではありましたが……」
 マリア:「だろうね」

 映画でも字幕スーパー版で見ると、俳優によっては聞き取りにくい英語で喋っていることが多い。
 ネイティブには分かるみたいだが……。

 稲生:「午後はどうします?もうメインのミッションは終了してしまいましたが……」
 マリア:「そうねぇ……。せっかくここまで来たんだから」
 稲生:「?」

[同日15:25.天候:晴 秋葉原電気街某所]

 エレーナ:「毎度〜!魔女の宅急便でーす」
 稲生:「おおっ!もう来た!」
 エレーナ:「そりゃもう、稲生氏の頼みなら迅速だよ」
 マリア:「調子のいいことばかり言いやがって」
 エレーナ:「ありゃりゃ?だいぶ荷物あるねぇ……」
 稲生:「そうなんだ。これは精密機器だから、気をつけて運んでよ」
 マリア:「壊したら弁償だぞ?」
 エレーナ:「分かってるよ」

 エレーナに輸送を頼んだのは、ヨドバシカメラで買った家庭用プロジェクターだけでは無かった。
 昼食後に向かったのはゲームセンターだったのだが、そこで稲生が思いの外ハッスルしてしまい、大きなぬいぐるみやフィギュアを取ってしまった。
 他にもミク人形やハク人形に迫られて、お菓子を大量に取ったり。
 で、持ち切れなくなってしまったので、止む無くこの場でエレーナを呼んだ次第。

 エレーナ:「それじゃ、運賃の方は……」
 稲生:「今払うよ」
 エレーナ:「さすが稲生氏!太っ腹〜!」
 マリア:「後払いにしたら、取り立てが闇金並みだからな」
 エレーナ:「あったり前じゃん。金払わないヤツは殺す」
 マリア:「守銭奴魔女」
 エレーナ:「怠け者魔女」
 稲生:「はいはい、ブレイクブレイク!」

 2人の魔女が胸倉を掴み合うのと同時に、稲生が割って入った。

 稲生:「じゃ、取りあえずこれが着手金」
 エレーナ:「あざーす!屋敷の人形達に必ず受け取るように伝えといて」
 稲生:「了解。それじゃ、よろしく」

 エレーナはホウキの先端に纏めた荷物を括りつけると、それで舞い上がった。

 稲生:「あれで大騒ぎにならないんだから凄いよ」
 マリア:「空飛ぶ魔女の殆どはあんな感じさ」

 マリアは空を仰いで言った。
 因みにホウキで空を飛ぶ魔法は、少なくともダンテ一門においては専科扱いになっている為、イリーナ組で習得することはない。

 稲生:「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
 マリア:「そうだな。師匠も、いつ帰って来るか分からないし……」
 稲生:「そうですね」

 身軽になった稲生達は秋葉原駅に向かった。

[同日15:37.天候:晴 JR秋葉原駅→京浜東北線快速電車10号車内]

〔まもなく1番線に、快速、大宮行きが参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください。次は、上野に止まります。御徒町へは、山手線をご利用ください〕

 今日最後の快速電車がやってくる。
 この後は終電まで各駅停車となる。

〔あきはばら〜、秋葉原〜。ご乗車、ありがとうございます。次は、上野に止まります〕

 到着放送は日本語のみだが、接近放送や発車放送では英語も流れるようになった。

 稲生:「次の上野で、上野始発の中距離電車でも乗ろうかなぁ……」

 まだ夕方のラッシュが始まる前なので、そんなに混んではいなかった。
 ただ、着席はできなかったので、そんなことを考える稲生だった。

〔1番線の京浜東北線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車が午後の日差しを浴びながら出発する。

〔次は上野、上野。お出口は、右側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、常磐線、地下鉄銀座線、地下鉄日比谷線と京成線はお乗り換えです。上野の次は、田端に止まります。鶯谷、日暮里、西日暮里へおいでのお客様は、山手線をご利用ください〕

 この辺りは駅間距離が短く、放送で喋っている間に御徒町駅を通過してしまう。

 マリア:「この辺りも人が多いな」
 稲生:「アメ横もそうですし、御徒町駅の北側から上野駅の南側へ至る商店街も賑わってますからね。この辺も外国人が多いですよ」
 マリア:「そうか」

 その為か、京浜東北線が快速運転を始めるに当たり、御徒町駅が通過扱いとなることに対して、地元商店街関係者から反対運動が起きたほどである。
 対応策としてアメ横が最も賑わう年末年始は快速運転そのものを行わないこと、休日ダイヤは停車することとなった。
 その代わり神田駅は通過……することもないので、段々と快速が遅くなっていく。
 終いには京浜東北線の快速運転そのものが廃止になるのではないかと作者は見ている(末期には上野〜田端間しか通過しなくなったりしてな。日暮里駅だけは京成に客を流さないよう、最後まで意地でも止めないw)。

 マリア:「まだまだ見所はあるんだな」
 稲生:「ありますよ、そりゃ。まだ、約束は実行していませんしね」
 マリア:「?」
 稲生:「ほら、この前、有紗絡みで松島に行ったことがあったでしょう?威吹が遊覧船で船酔いしたヤツ」
 マリア:「ああ!」
 稲生:「僕にとってのメインは、その約束の実行です」
 マリア:「分かった。期待してるよ」

 マリアは口角を上げて頷いた。
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“大魔道師の弟子” 「帰省3日目」 2

2018-09-12 10:18:20 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月28日10:30.天候:晴 東京都千代田区外神田→神田花岡町 JR秋葉原駅→ヨドバシカメラ]

 稲生達を乗せた京浜東北線快速電車が秋葉原駅のホームに滑り込む。
 並行する山手線と違い、まるでポイントで副線に入るかのように前後がカーブしている為、ホーム出入の際は大きく揺れる。

〔あきはばら〜、秋葉原〜。ご乗車、ありがとうございます。次は、神田に止まります〕

 ドアが開くと大勢の乗客達がホームに降りて行く。
 稲生とマリアもそれに続いた。

 稲生:「ヨドバシなら、さいたま新都心にもあるだろうというツッコミが来そうですが……」
 マリア:「作者の都合だろ、どうせ」

 そうそう。……って、おい!
 かくいう作者は横着して、大宮ビックカメラに……おや、会社から電話?何だろう?

 稲生:「取りあえず、買う候補は決まっているので、そこへ直行しましょう」
 マリア:「ああ、分かった」

〔まあるい緑の山手線♪真ん中通るは中央線♪新宿西口駅前と〜♪アキバのヨドバシカ・メ・ラ♪〕

 多摩:「カットカット!雲羽、上の歌詞間違うとる!」
 雲羽:「え?どこですか?」
 多摩:「ここ、ここ!点が抜けてる!」
 雲羽:「ああ、なるほど。顕正会版と日蓮正宗版の御経本で、1ヶ所マルの位置が違うのと同じですね」
 多摩:「そんなの知らん!」
 雲羽:「正解は、こう↓」

〔まあるい緑の山手線♪真ん中通るは中央線♪新宿西口、駅前と〜♪アキバのヨドバシカ・メ・ラ♪〕

 多分これ、意味を知らない人には思いっ切り些事だと思う。
 顕正会版と日蓮正宗版の御経本、『止舎利弗』と『止。舎利弗』の違いの意味を知らないと些事に見えるのと同じ。

 稲生:「それじゃ4階に行きましょう」
 マリア:「4階ね」

 稲生とマリアはエスカレーターで上に上がり……。

 警備隊長:「おい、雲羽!」
 雲羽:「あれ、隊長!?」
 警備隊長:「オメ何やってんだ、ここで!?」
 雲羽:「いや、ちょっと映画の撮影を……」
 警備隊長:「撮影!?オマエ、なに無断で撮影してんだ!ちょっとこっちへ来い!」
 雲羽:「いや、カンベンしてくださいよ、こっちは休み……!」

 ガシッとかつての同僚に両腕を掴まれる作者。

 警備隊長:「ヨドバシ警備隊が今デスマーチ中と知っての嫌味か、あぁっ!?」
 班長A:「ヒマヒマ部隊の隊長さんには分からないでしょうけどね、こっちは1週間休みナシなんスよ?」
 雲羽:「いや、それは知ってる!」
 班長B:「取りあえず、防災センターまで来てもらいまひょーか」

 店内無断撮影の廉でズールズールと地下の防災センターに連行される作者の図。

 マリア:「? 何か下の階が騒がしいな」
 稲生:「だから、無理して都内に出ること無かったのに……」

[同日11:00.天候:晴 ヨドバシAkiba4F AV売り場]

 店員:「このホームシアターでしたら、割とお安く……」
 稲生:「ホントだ。確かに安い。これならイリーナ先生も御納得して頂けるでしょう。どうですか、マリアさん?」
 マリア:「うーん……。正直、どれも大差無いなぁ……」
 店員:「因みにこちらの商品ですと、更にこういった機能が……」
 稲生:「あ、それは凄いですね。それじゃあ、つまり……こういうことで?」
 店員:「そうなんです。あと、こちらの方になりますと……こういったこともできます」
 稲生:「ほおほお。すると、こっちは……」
 店員:「こちらはですね……」

 段々とマリアには付いていけない話に進んで行く。

 マリア:(師匠の講義より難しい……)

 稲生と店員の間で専門用語が飛び交う。

 マリア:(段々とこの説明書が呪文の羅列に見えてきた……)

 マリアが蚊帳の外に立たされていると、どうやら商談が纏まったようだ。

 稲生:「それじゃ、これでお願いします」
 店員:「よろしいですか?ありがとうございます。それでは、レジまでご案内させて頂きます」
 稲生:「あ、マリアさん、大丈夫ですか?」
 マリア:「あ、ああ」
 稲生:「多分あれでいいと思います」
 マリア:「う、うん。そこは勇太に任せる」

 マリアはダンテやイリーナが言っていた、『男手も必要だ』の意味が少し分かったような気がした。

 マリア:「欲しいと言い出した私が言うのも何だが、設置とか大丈夫なのか?」
 稲生:「今の話を聞いていて、何とかなりそうです。ただ、1つ問題が……」
 マリア:「輸送ならエレーナにやらせるよ」
 稲生:「いえ、そういうことじゃなく、ポイントを全部使用して、ギリギリ予算内かどうかの瀬戸際なんです。もし予算オーバーしたら……」
 マリア:「そこは私から師匠に言っておくよ。勇太は設置と設定お願い」
 稲生:「分かりました。助かります」

 これが男性と女性の役割分担だと思われますが、皆さん如何でしょう?

 横田:「クフフフフフ……最近のカメラの性能の向上は、顕正会の弘通並みでありますなぁ……」
 別の店員:「この超小型レンズでしたら……あの、お客様、あくまでも防犯用ですからね?悪用はいけませんよ?」
 横田:「クフフフフフ……。靴の中に仕掛ける時代は終わりました。今はこの眼鏡に仕掛け……店舗前で『風のいたずら』を狙うのです」←店員の話を全く聞いていない。

 レジ店員:「ありがとうございまーす!」
 稲生:「どうも」
 マリア:「それじゃ、次に行こうか」
 稲生:「はい」

 もちろん稲生が持つ。
 そして、戻りはエレベーターに乗った。

 稲生:「さっき、横田理事みたいな人がいたような気がしたんですが……」
 マリア:「気のせいだろう」
 稲生:「最近の女子制服のスカートは、強風でも簡単に捲れない構造になっているとのことです」
 マリア:「それは素晴らしい。それじゃ『風のいたずら』を待ったところで……って、何で勇太が知ってるんだ!?」
 稲生:「あ、いや、その……。この前、エレーナがそんなこと言ってたもんで……」
 マリア:「あいつ、また余計なことを……。他に何か言ってた?」
 稲生:「『マリアンナのスカートは学校制服の規格じゃないから安心しな』だそうです」
 マリア:「あのバカ……!」

 こうして魔道師の買い物は終了した。
 尚、作者は警備隊の皆に一杯奢るという保釈金を確約して保釈された。
 因みに店舗側には内緒である。
 当たり前だ。
コメント (1)
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