報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「ロイドの泣き声」

2015-07-29 19:30:18 | アンドロイドマスターシリーズ
[7月21日06:50.〜06:55.天候:晴 東北新幹線“はやぶさ”2号・9号車内 敷島孝夫]

『只今、福島 付近を通過中です』『只今、320km/hで運転中です』
 デッキに出るドアの上に設置されている電光表示版。
 右から左にそれらの文字が流れている頃、敷島は自分のスマホを手に10号車との境のデッキに出た。
 井辺から着信があったからである。
「もしもし?」
{「あっ、社長。おはようございます。こんな朝早くから、申し訳ありません」}
「いや、何かあったのか?」
{「実は昨夜遅く、レイチェルから電話がありまして……」}
「レイチェルから!?キミのケータイに!?」
{「……はい」}
「何で、キミの電話番号知ってるんだ?」
{「話せば長くなりますが、どうやら私が大学生時代、アメリカ旅行中に会ったアメリカ人女性……レイチェルが、正にそのレイチェルだったようです。彼女には確かに私の電話番号を教えたような気がします」}
「な、何だって!……そのレイチェルが、キミに何の電話だ?事務所に爆弾仕掛けたとか、そういう話か?」
{「いえ、違います。その……泣きながら、『人を殺してしまった』と……」}
「はあ?冗談だろ?仮にそうだとしても、テロ用アンドロイドだ。人殺しなんて何とも思っていないだろう?」
{「ですが、本当なんです!証拠に、録音もしてあります」}
「最近のスマホは便利だな。通話の内容が録音できる」
{「ええ」}
「で、誰を殺したってんだ?」
{「『妹の大切な人間だ』としか……。マルチタイプは7号機までしかないのに、妹ってのも変ですよね?」}
「……!……!」
 敷島の脳裏に、ある人物が浮かんだ。
{「社長?」}
「井辺君、レイチェルはその後、どうするって言ってた?」
{「いえ、それが何も……。切れてしまって……。あ、ただその直前、『偽の5号機には気をつけて』とだけ言ってましたが、社長、5号機とやらも復活したんですか?」}
「いや、そこまでは確認していない。キミは今日の予定は?」
{「MEGAbyteに付いて、ラジオの収録です。その後、夕刊紙の取材が入っています」}
「すると、都内からは出ないわけか」
{「はい。今のところは。都内も都内。23区から出る予定もありません」}
「分かった」
 敷島は電話を切った。
(おいおい、何かヤバくないか!?レイチェルが殺した人間って……!)

[同日08:07.天候:曇 JR東京駅 敷島孝夫、シンディ、アルエット、巡音ルカ]

 東北地方は晴れていたが、関東に入ると曇って来た。
 今日は西の方から天候が不安定になるという。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線は14番線から19番線。東海道線は9番線、10番線。中央線、新宿、立川方面は1番線、2番線。……〕

 車窓には見慣れた高層ビルや、通勤客を満載した国電(古っ!)が並走している。
 ここで敷島達は中央線に乗り換え、ルカは駅を出て事務所に戻ることになる。

〔「おはようございます。ご乗車ありがとうございました。東京、東京です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。23番線到着の電車は折り返し、8時20分発、東北新幹線“はやぶさ”5号、新青森行きとなります。……」〕

 列車がホームに降りると、ここまでの乗客が一斉に降りる。
 敷島達もその流れに乗るが、新幹線改札口を出た後ですぐ中央線ではなく、八重洲中央口改札まで行く。
「じゃあルカ、お疲れさん。気をつけて帰れよ。これ、タクシーチケットな」
「はい。ありがとうございます」
「あなたも事務所の稼ぎ手なんだから頑張ってよ」
 シンディがポンとルカの背中を叩いた。
「うん。……てか、痛いって」
 ルカは叩かれた背中をさすった。
「あの……サインありがとうございました」
 アルエットも前に出て、ルカに礼を言った。
 ルカも売れっ子ボーカロイド。
 何でも、セキュリティロボットの間では、ボディにボーカロイドのサインをもらうことが流行っているという。
 アルエットはマルチタイプなので、普通にルカのCDジャケットにサインをもらった。
「いえ。こちらこそ、応援ありがとう。これからも、よろしくね」
 ルカは微笑を浮かべると、
「では、失礼します」
 改札口を出ていった。
 八重洲中央口ならこのまま真っ直ぐ駅を出れば、すぐにタクシー乗り場である。
「よし。それじゃ、俺達も移動しよう」
「しばらく、大月行きは無いね。高尾で乗り換えないとダメよ」
「もちろん、そうするさ」
 残った3人は中央線ホームに向かった。

[同日10:08.JR藤野駅 敷島孝夫、シンディ、アルエット]

 高尾までは10両編成の通勤電車で向かう。
 高尾から先は、いかにもといった感じの3ドアの中距離電車(211系)に乗り換えて藤野に向かった。
 3両編成を2台繋いだ6両編成で、これがこの付近で分相応の編成なのだろう。

〔「まもなく藤野、藤野です。お出口は、右側です」〕

 高尾から先は別世界みたいにトンネルが断続的に続く山岳路線となり、その途中に藤野駅がある。

〔ふじの〜、藤野〜。ご乗車、ありがとうございます〕

 敷島達はやっと最後の駅に到着することができた。
「ここからどうするの?」
「心配要らんよ。高尾駅でどこに電話してたと思う?地元のタクシー会社に電話して、予約を入れておいた」
「さすが、社長!」
「褒めても何も出ないぞ」
 駅を出て予約していたタクシーに乗り込み、達夫の家に向かう。
 駅前広場を出て公道に出、最初の丁字路交差点で青信号で行こうとすると、サイレンを鳴らしたパトカーが左からやってきた。

〔「はい、緊急車両通過します!緊急車両通過します!」〕

 タクシーは少し強めのブレーキで、交差点に少し頭をツッコんだ形で止まる。
 パトカーは1台だけではなかった。
 赤色灯を点けて、ヘッドライトをハイビームにしたパトカーが数台、同じ方向に向かって行った。
「何かあったのかな?」
 パトカーが通過し終えた時には黄色から赤に変ろうとしていたので、運転手は急いで右折した。

 それから15分くらいして、そのパトカーらは正に敷島達の目的地に向かっていたことを知る。

[同日10:30.神奈川県相模原市緑区(旧・藤野町) 十条達夫の家 上記メンバー]

「これは一体……!?」
 タクシーを飛び降りた敷島達。
「あ、ちょっと!勝手に入らないで!」
 規制線の中に入ろうとしたら、制服の警察官に止められた。
「待て!その人達はいい!」
 奥から出て来たのは、
「鷲田警視と村中課長!」
 KR団を追う警視庁特別捜査本部の鷲田警視と村中課長だった。
「鷲田警視、これは一体!?」
 敷島の質問に答えたのは村中課長だった。
「KR団のことについてここの家主、十条達夫博士に事情を聞きに来たんですよ。そしたら……。ちょっと、確認してもらいたいものがあるんですがね?」
「……!」

「いやああああああああっ!!」
 家中にアルエットの泣き声が響き渡った。
 シンディが抱き寄せてアルエットを慰める。
「マジかよ……!」
「ああ、マジだとも。あの仏さん、間違い無く十条達夫博士でよろしいか?」
 鷲田警視の質問にシンディが頷いた。
「アルもアタシも、どうスキャンしてもそこにいるのは十条達夫博士としか……出ない」
「敷島社長はどうですかな?」
「……頭を吹き飛ばされていて、何をどう確認しろと?まあ、その血染めのズボンは、前に昼食会をやった時に穿いていたものとよく似てますがね」
「死因は……まあ、言うまでも無いが、頭部を銃火器で銃撃されたものによるものだろう。他にも、数発の銃弾が体に撃ちこまれているようだ。敷島社長は、犯人に心当たりは?」
「無いと言ったらウソになります」
「レイチェル……!」
 シンディが両目をギラッと光らせた。
「レイチェルがやったのね……!」
「レイチェルとは、マルチタイプ7号機のことだね?」
 と、村中課長。
「ええ」
「あなた達がここに来た用件といい、ちょっと話を聞かせてもらってもいいですかね?」
「はい」
「まあ、その様子ではアリバイはあるだろうがな。一応、その辺も含めて聞かせてくれ」
「いいですよ。早いとこ、ここから離れた方がいいかもしれません」
「ん?」
「レイチェル……!とうとうやってくれたわね……!絶対に許さないからな……!!」
「うちの秘書兼護衛ロイドが暴走しそうなんで……」
「それはそれで、危険なロボットを1機減らす口実になってくれるがな」
 鷲田警視は冷たく言い放った。
コメント (9)
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“新アンドロイドマスター” 「はやぶさ2号」

2015-07-29 15:30:29 | アンドロイドマスターシリーズ
[7月21日06:00.天候:晴 仙台市青葉区・ホテル法華クラブ仙台 敷島孝夫、シンディ、アルエット、巡音ルカ]

 冬ならまだ真っ暗という時間、ホテルのフロントでチェックアウトの手続きをしている敷島の姿があった。
 宿泊代は経費で落とすが、マルチタイプよりも、むしろ連れて来たボーカロイドのイベントの方で黒字を出したようだ。
 既に強い夏の太陽が顔を覗かせている愛宕上杉通りに出て、仙台駅を目指す。
「それじゃ、これから俺とシンディはアルエットを藤野まで送って行くから。ルカは東京駅からそのままタクシーで事務所まで戻ってくれ」
「分かりました」

[同日06:20.JR仙台駅3F→新幹線ホーム 上記メンバー]

 朝が早くて食事の取れなかった敷島、ここで駅弁を買っていく。
「紐を引っ張ると、温かくなるってのがまたいいんだ。……おっと、爆発はしないぞ」
 敷島は弁当箱から導火線のように覗かせた黄色い紐をシンディに見せた。
「昔のバージョン1.0みたいね」
 シンディはクスッと笑った。
「え?」
「旧ソ連でアタシ達の下にいたバージョン達は、今からすれば信じられないくらい頭が悪くて、アタシ達の言う事をなかなか聞かなかったものだから、燃料タンクの紐引っ張って、自爆テロさせてやってたくらいよ」
「危ねぇな!じゃ、今のバージョン4.0は喋れるだけマシか!」
「まあ、そうね」
「最新モデルの5.0なんかコントやってるぞ?」
 アリスが製作し、現在使用人ロボットとして稼働しているバージョン・シリーズの最新モデル。
 4.0がずんぐりむっくりした体型なのに対し、5.0になってからはかなりスマートな体型になった。
 その分、動きも人間の健常者並みに速い。
 燃料も4.0のLPガスから燃料電池に変わった。
 つまり、駆動部に関してはエミリーやシンディよりも優れているのである。

 新幹線ホームに上がると、先発の“やまびこ”204号が発車していったところだった。
 これから敷島達が乗る“はやぶさ”2号は、途中の駅でその“やまびこ”204号を追い抜いて行く。

〔14番線に6時36分発、“はやぶさ”2号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、大宮に止まります。まもなく14番線に、“はやぶさ”2号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕

「今度のヤツは電源コンセントが付いてるからな、自由に使っていいぞ」
「充電したばっかりで、乗ってる間は使う機会が無さそうだねぃ……」
 敷島の言葉にシンディが答えた。
 下り方向から、青白いヘッドライトを光らせて“はやぶさ”2号が入線してきた。
 利府の総合車両基地から来たのだろう。
 折り返し運転ではなく、既に整備済みであるようだ。
 側面の大きなフルカラーLEDには、『はやぶさ 2 東京 For Tokyo 停車駅:大宮』と、表示されていた。

 ドアが開くと、乗客達は粛々と乗り込んだ。
 そこは全車指定席の“はやぶさ”号ならでは。
 9号車に乗り込むと、シンディが敷島達の荷物をヒョイと抱えて荷棚に乗せる。
 そこは力自慢のマルチタイプだ。
 座席に座ると、敷島は背面テーブルを出して、そこに弁当を置く。
「もう食べるの?」
 ビニール袋から弁当を出して紐を引っ張る敷島。
「ああ。腹減った」
 紐をグイッと引っ張ると、すぐに弁当箱から何かが沸点に達した音が聞こえる。
「……爆発はしないみたいね」
「当たり前だろうが」

〔「ご案内致します。この電車は6時36分発、“はやぶさ”2号、東京行きです。途中の停車駅は、大宮です。この電車は10両編成で、全ての車両が座席指定です。お手持ちの特急券の座席番号をお確かめの上、指定の席にお掛けください。9号車はグリーン車、10号車はグランクラスです。6時36分の発車です。発車までご乗車になり、お待ちください」〕

[同日06:36.東北新幹線“はやぶさ”2号・9号車内 上記メンバー]

 仙台駅オリジナルの発車メロディの後、列車は定刻通りに発車した。
 進行方向右側に座っている敷島達はそのままだったが、左側に座っている乗客達は差し込んで来た強い夏の日差しに、殆どがブラインドを下ろした。

〔♪♪(発車メロディ)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は東北新幹線“はやぶさ”号、東京行きです。次は、大宮に止まります。……〕

 敷島が弁当を食べ、車内放送が流れている間、アテンダントがおしぼりとウェルカムドリンクを持って来た。
 “はやぶさ”で行われているサービスで、E5系を使用した“なすの”や“やまびこ”では行われない。
 飲み物を買い忘れた敷島には、ありがたいことだ。
 因みにロイド達は水しか飲めないので、一斉にそれを頼む。
 ラジエーターに使う水代わりだろう。
 もっとも、補給する専用水が無い場合の措置であり、普段から人間用の飲み水を使用することは推奨されていない。
 すると、アルエットが席を立った。
「どうしたの?」
「ちょっと、博士に電話してきます」
 アルエットはそう言って、デッキに出た。
「何だかんだ言って、心配なんだなぁ……」
 敷島はウェルカムドリンクのお茶を飲みながら言った。
「そりゃそうよ。アタシの製作者はもういないけど、正直、オーナーより大事な人間かもね」
「なるほど……」
「それより、電気信号音楽なんだけど……」
「ん?」
「アリス博士から、『レイチェルは“Chinese Tea.”じゃない』ってよ?」
「ウソぉ?“上海紅茶館”だろう?」
「“明日ハレの日、ケの昨日”だって」
「ええっ?いや、違うと思うけどなぁ……」
「ヘタに電気信号送ったりして、暴走しないといいけど……」
「おいおい、縁起でも無いこと言うなよ……」
 因みにマルチタイプ演奏会で、最後は“未知の花、魅知の旅”で締めた。

 しばらくしてアルエットが戻って来たが、人間で言う青ざめた顔をしていた。
「博士が電話に出ないの……。ずっと留守電になってて……」
「おおかた、切り替え忘れなんじゃないの?」
 と、敷島。
「そうよ。ドクターはかなりのお歳だしね」
 その時、敷島のケータイが震えた。
 見ると、井辺からだった。
「井辺君からだ」
 敷島はスマホを片手に、シンディの足を跨いでデッキに向かった。
(井辺プロデューサーから?こんな朝早くに珍しいものね)

 敷島は井辺から不思議な話を聞かされた。
 それが何なのかは……次回へ続きます。以上!
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小説の途中ですが、ここで本日の雑感をお送りします。 0728

2015-07-29 02:44:27 | 日記
 大石寺第26世日寛上人について、顕正会では『にっかん上人』と呼び、宗門では『にちかん上人』と呼ぶ違いについてコメントを頂戴した。
 私は漢字変換できれば、どちらでも良いような気がする。
 その人の喋り方、訛りや滑舌によって変わってくるだろう。
 そもそも、我が国の呼び名も二通り(『にほん』『にっぽん』)あるぞ。
 『東海林』と書いて、「とうかいりん」と呼ぶか、「しょうじ」と呼ぶかよりマシだと思う。

 第二祖日興上人だって、もしかしたら、『にちこう』と呼んでいたかもしれないぞ?
 何か、チラッと小耳に挟んだのだが、
「日興コーディアル証券など、勝手に第二祖のお名前を使うとは何事だ!謗法だ!」
 と主張した人がどこかの掲示板にいたとかいないとか……。
 では、私が実際に末寺参詣の時に乗車した東京無線タクシー協同組合所属、日興自動車㈱も謗法ということになるな~。

 

 ……なワケないだろー?
 第三祖日目上人も、『にち上人』と、御遷化前は呼ばれていたかもしれない。
 無論、他の日蓮宗各派も、『にっこう』『にちもく』と呼んでいるからそれで良いということなのかもしれないが。
 実は時代のどこかで読み方が間違えられ、それが現代まで続いている可能性だってあるわけだ。

 だから、顕正会が消え行く異流儀団体であるのなら、第26世への呼び方が宗門と違ったところで、そうそう目くじら立てる必要は無いと思う。
 せいぜい、
「宗門では『にちかん』上人とお呼びしているよ」
 程度でよろしいかと。
 これなら一応指摘しているわけだし、予同罪にはならない。
 あまり強く言うと、ムーディさんみたいに、
「ならば文証を出せ!」
 となるだろうからね。

 尚、私も顕正会時代は、『にっかん上人』とお呼びしていた。
 今は『にちかん上人』だけどね。
 不良信徒であっても、一応ちゃんと宗規や御指南には従わないといかんと思っている。

 さて、小説も俄か宗教色が出てきたけども、本物の日寛上人の御本尊を巡る話の元ネタは、【お察しください】。
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