報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「戦闘ロボとの戦い」

2015-07-04 21:44:41 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月21日11:15.天候:晴 埼玉県秩父市・和名倉山中 ツキノワグマのジャンピエールさん(♂ 4歳・独身)]

 ツキノワグマのジャンピエールが仲間内に語った内容を再現しよう。

「ヤツを追う前に言っておくッ!オレは今、ヤツのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した。い……いや……体験したというよりは全く理解を超えていたのだが……。あ……ありのまま……ありのまま……今、起こった事を話すぜ!オレは人間の女を襲ったと思ったら、いつの間にか素手で投げ飛ばされていた。な、何を言ってるのか分からねーと思うが、オレも何をされたのか分からなかった……。頭がどうにかなりそうだった……。Dr.スランプだとか、ゴーストスイーパーだとか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねぇ!もっと恐ろしい者の片鱗を味わったぜ……」
 これに対し、話を聞いた仲間のツキノワグマは、
「また女にフラれたんだ、きっと」
 と、思ったという。

 尚、和名倉山中に熊が本当にいるかは【お察しください】。

[同日11:30.同場所 シンディ]

「投げ飛ばしちゃったクマさん、無事だといいなぁ……」
 シンディは藪の中から突然現れたツキノワグマのジャンピエール(シンディが勝手に名前をつけた)を模擬弾で威嚇したが、それでも鋭い爪と牙で襲われた。
 しかし生身の人間なら一たまりも無い攻撃に、シンディは傷1つ付かなかった。
 ジャンピエールが不思議そうな顔をしていたのだが、驚かせるつもりでヒョイと持ち上げ、そのままポイッと投げ飛ばしたのだった。
 ジャンピエールは茫然としていたが、すぐにその場を去って行ってしまった。
「!?」
 そこへ、シンディのスキャンに掛かる者がいた。

 直後、ショットガンを発砲する音が聞こえた。
 バージョン4.0が装備しているタイプ(ウィンダム)だ。
 それに対し、シンディが付けているのはM3を改造したもの。
 そのままではロボットに搭載できないため。
 ショットガンは遠距離には不利であるため、明らかにシンディに向かって発砲したそいつは近くにいるはずだ。
「でやあーっ!」
 目の前に現れたバージョン4.0が数機。
 シンディは茂みの中から飛び出すと、右ストレートで4.0の頭部を殴り壊す。
 衝撃でその後ろにいた2個体も、巻き添えで爆発した。
「アンタ達!無駄な抵抗はやめな!!アタシが誰だか知ってるだろ!?」
 シンディが、かつて使役していたシリーズに恫喝した。
 4.0達の動きが止まる。
「分かったら、アンタ達のマスターに会わせてもらおうじゃないか!いるんだろ?この近くに!」
 だが、
「!?」
 シンディに向かってグレネードランチャーが放たれた。
 それを避けるシンディ。
「こんなものを搭載しているヤツは……400か!?」
 その通り。
 身の丈3メートル以上あるバージョン・シリーズの大型機、バージョン400だった。
 バージョン4.0が“バイオハザード・シリーズ”のハンターくらいだとすると、400はタイラントクラスである。
 しかしシンディとて、かつては大ボスとして敷島達の前に現れていた身。
 大ボス同士のバトルか?
「アンタにも用は無いよ!アンタを更に操ってるマスターの……ん?」
 その時、シンディは違和感を覚えた。
 あの400、シンディの知ってる400と見た目は同じなのだが……。

〔「このスカポンタン!何ボーッとしてるの!!早いとこ、やーっておしまいっ!!」〕

「しゃ、喋ったーっ!?」
 シンディは思いっ切り驚いた。
 確かに4.0の中には、片言の“ロボット喋り”で話す個体もいる。
 だが、400はその図体のデカさから、そこまでの機能は搭載されていないはずだ。
「アラホラサッサー!」
「ホラサッサー!」
 400のどこかで聞いた号令を合図に、それまでフリーズしていた4.0の軍団が一気にシンディに銃口を向ける。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
 ある個体はショットガン、ある個体はライフル、ある個体はマシンガンをシンディに浴びせて来た。
「ひいぃぃっ!」
 さすがの集中砲火に一時退却のシンディ。
「400がいくら隊長だからって、それよりもっと上のアタシがいるのに……!ああッ?」
 そこでシンディ、更に気づく。
 あのバージョン400、少女の声で、かなり滑らかな口調で号令を掛けていた。
 いくら何でも、それはおかしい。
「も、もしかしてだけど……もしかしてだけど……あの400、誰か乗っているんじゃないの?」
 シンディは体勢を立て直し、わざと狭い岩場に入った。
 4.0は1度追跡を決めた相手は、とにかく執拗に追いまくり、追い詰めて追い詰めて追い詰める。
 シンディも似たことをしてきたわけだから、かつての配下ロボット達の動きは手に取るように分かっている。
 狭い通路などでは、きちんと1列に並んで向かってくるのである。
「あーっはっはっはっはっ!相変わらずバカね!!」
 シンディは高笑いして、バージョン4.0を1機ずつ倒していった。

「さあ!配下は全部倒したよ!いい加減に……あれ?」
 忽然と消えた400。
 どうやら、シンディが戦っている隙に逃げたらしい。
「逃げられると思ってんの!?」
 シンディはブースターを吹かして400の後を追った。
{「シンディ、聞こえる?」}
 そこへアリスから通信が入る。
「はい、聞こえます。ドクター」
{「あなたの追ってるバージョン400なんだけどね、多分中に誰かいる」}
「ドクターもそう思いますか」
{「乗っているヤツの特定はできないけど、人間かもしれない。戦う時は慎重にね?」}
「了解です。もし人間だったら、何とか中身だけ出して……発見しました!」
 シンディの視線の先に、400が見えた。
「待ちなさい!逃げ切れると思ってんの!?」
 まもなくシンディの手の届く所まで追い付こうとした時、視界から400が消えた。
 で、ついでに足元の地面も消えた。
「でーっ!?崖!?」
 無論、シンディには非常用のジェットエンジンがあって、それを吹かして転落は免れたが、400は数十メートルもの崖下に転落。
「……に、逃げられました」
{「逃げられましたじゃない!追えっ!追えっ!崖下まで!」}
 今度は敷島の怒鳴り声が聞こえて来た。
 シンディの視線は、そのまま敷島達の持参している端末にリアルタイムで送信されている。
「死体の回収でもいいですか?」
{「鷲田警視にイヤミ言われそうだ……」}
(それより、8号機のアルエットはどこに行ったんだろう?)
 と、シンディは首を傾げた。
コメント (15)
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