報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「合宿終了」

2014-12-27 21:23:53 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月21日16:00.神奈川県相模原市緑区某所 タチアナ・イシンバエワの家 ユタ、威吹、カンジ、マリア、キノ、江蓮、イリーナ]

 約束の時間に魔法機講技師であるタチアナの住宅兼工房を訪れたユタ達。
「刃が変わってやがる……」
 刀の修理・強化を依頼した2人の剣客は、その出来栄えに目を疑った。
 刃が変わったとキノは言ったが、形が変わったわけではない。
 見た目に変わったのは色。
 威吹の刃は青み掛かった色になり、キノの刃は赤茶色になっていた。
「何か、錆びてるように見えるんだが、どうしてこうなった?」
「錆びてなんかいないよ。むしろ10年はどんな激戦を潜った後でも、全くのノーメンテでいいくらいだ」
 タチアナは自信満々に言った。
「のーめんて?」
「何の手入れもしなくて良いということです、先生」
 カンジがタチアナの横文字を翻訳した。
「でもまあ、確かに帯びている妖気が強くなったような感じはするな……。試し斬りをしたいのだが、何かいいものは無いか?」
「そういうことならお任せ」
 イリーナが魔道師の杖を高く掲げて、何か魔法を唱えた。
 すると地面の中から、異形のモンスターが現れる。
(ドラ◯エの“つちわらし”に似てるな……)
 と、ユタはとある有名RPGを思い出した。
「こりゃ、東北辺りの土着妖怪“土童(つちわらし)”じゃねーか?」
 と、キノの言葉にズッコケるユタ。
「あ、実在の妖怪だったの……」
 そういえば、童という漢字、東北では『わらし』と呼ぶのが一般的だ。
「関東では『わっぱ』、関西では『わらべ』でしょうか?」
 と、カンジ。
「いや、知らん」
 威吹は新しい刀を構えた。
 そこでユタ、ふと気づく。
(確か、このつちわらしって、分裂するんじゃ……)
 ユタはゲームの内容を思い出した。
「うわっ、分裂した!?」
「アメーバか、こいつらは!?」
 威吹とキノは、つちわらし達に向かって行った。
「ったく!江戸時代なら、侍のフリして辻斬りできたのによォ!」
「知るか!」
 江戸時代の辻斬りは、新人の侍が人を斬ることに慣れるため、もしくはベテランであっても、新しい刀を手にした際、それに慣れる為に横行したそうである。当然、治安の悪化を招くため、幕府は幾度と無く禁令を出したのこと。

 で……。
「刃から、何か飛ばなかったか!?」
「う、うん……」
「魔力……まあ、妖怪だと妖力か。それが刀にある程度の量たまると、刃からビーム出るから」
「それ、とある有名SF映画の光る棒ちゃいます?」
 ユタは変な顔をして突っ込んだ。
「だが、遠くの敵を斬る為の飛び道具代わりにはなるな」
 と、キノ。
「慣れるまで大変そうだが、なぁに、実戦で慣れるだろう。せっかくだから、この機能も有効活用させてもらう」
 キノは懐の中から、
「ありがとよ」
 バンと何十枚もの札束を置いた。
「ふむ。キノがそう言うのなら、オレも新機能とやら、しばらく使ってみよう。刃自体は直ったわけだからな。今の魍魎を倒した時点で、刃こぼれ1つ無いというだけでも素晴らしい」
 威吹も懐から小判の束を出して置いた。
「毎度ありー」
「じゃあ、帰ろうか。今から藤野駅に行けば、中央特快に乗れるかも……」
「だが、またあの急な坂を登り下りするのは、ボク達はともかく、ユタが大変そうだ」
 そんなことを話しながら工房を出ると、
「帰りはあれに乗ったら?」
 と、タチアナがある物を指さした。
 そこにあるのはバス停。
 で、

〔「名倉循環、藤野駅行きです」〕

 バスが到着した。
「でーっ!お世話さまでしたーっ!」
 ユタはバタバタと時間調整で停車中のバスに向かって走り出した。
「むぅわってーっ!!」
 体力不足のユタを楽々追い越す江蓮。
 体育会系とはいえ女子高生より身体能力の劣る、文科系男子大学生のユタだった。
「じゃあね、タチアナ。また来るからね」
「今度は何か手土産持って来いよ」
「あいよ」

〔「藤野駅行き、発車します」〕
〔発車します。お掴まりください〕

 イリーナを最後に乗せると、バスがすぐに走り出した。

〔次は園芸ランド事務所前、園芸ランド事務所前。……〕

「これで、あの急坂を登り下りしなくていいぞ」
「確かに」
 因みに刀は日本国内の法令を守る為、威吹は長い髪の中に隠して帯刀せず、キノは江戸扇子に化けさせて、袴の左腰に付けている。
「ふふふふ……。得したぜ」
 キノは見た目以上に良くなった刀の使い勝手を気に入った様子だ。
「オレはまだ調整が必要かもな」
「新機能を使いこなせてこその強化だぜ?」
「まあ、それもあるけどな」

 ※尚、富士急山梨バス・名倉循環線は平日・土曜のみの運転で、実際には日曜・祝日は運転しません。

[同日16:11.JR藤野駅 上記メンバー]

「むぅわってーっ!!」

 プシュー、ガラガラ……バン。(←無情にも江蓮の目の前でドアが閉まる115系)
 ………ガタンタタン、ガタン………タタンタタン、ガタン………。(←走り去って行く115系6両編成)

「あー、ちょっとタイミング悪かったねぃ……」
 後から来たイリーナが目を細くして言った。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の列車は、16時44分発、中央特快、東京行きです。この列車は、10両です〕

「あ、でも、次の電車は東京行きだってよ」
「なるほど」
 ポンと手を叩くユタ。
 だが、
「で、その中央特快とやら、何分後だ?」
「33分後」
「は!?」
「まあ、こんなもんだよ。ハハハ……」
「しゃあねぇ。高崎線の高崎から上とかよりはマシだろ」
「そうそう」
 江蓮は空いているベンチに座った。
「とはいえ、少し寒いな……」
「改札横の待合室にでも行きます?」
「あー、そうしよう」
「また階段を昇り下り……」
「エレベーター使う?」

 待合室内はさすがに暖房が効いていた。
「地獄界に戻るのか?」
「ああ。明日、帰ることにする。まだ油断ならねぇ」
「……だろうな」
 カンジがポーカーフェイスで眺めているタブレット。
 異世界通信社のオンライン記事が映っているが、反政府ゲリラ達の活動は止まず、正規軍達が躍起になって押さえ込みに走っているという内容だった。
 新しく結成した正規軍と、取りあえず攻撃力だけはあった反政府ゲリラとでは、前者の方が不利だったりする。
 だから、戦い慣れている人間界在住の妖怪や地獄界の鬼族にもお鉢が回ろうとしているのだ。
「新年……迎えられるといいけど……」
 ユタは不安そうな顔をした。
「まあ、ユタに関しては心配しなくいいよ。ボクがいるから」
「私もな」
「お、お手柔らかに……」

 先行の特急列車が轟音を立てて通過していった。
コメント (4)
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“ユタと愉快な仲間たち” 「合宿最終日」

2014-12-27 15:20:47 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月21日07:30.神奈川県相模原市緑区某所 合宿所1F・食堂 ユタ、威吹、カンジ、マリア、キノ、江蓮、イリーナ]

「あー……」
 ユタは半分放心状態で、朝食を取っていた。
「何やってんだ、コイツ?」
 キノは変な顔をして威吹らに聞いた。
「今日は正証寺の最後の支部登山だったのに……!」
 申し込みもしていたのだが、両親の慟哭と憤怒により強制脱講させられたユタであった。
「けっ、ざまぁみろ。一代法華の哀しさを呪うんだな。なぁ、江蓮?」
 キノの言動に冷やかな目を向ける江蓮。
「あ?何だよ?」
「アタシもアンタのせいで御登山できないんだけどねっ」
「あ……!」
 江蓮もユタと同じ支部だった。
「帰ったら、両親から『大御本尊様よりオトコを取った』って、ブッ飛ばされそうだよ!」
「わ、分かった。オレが責任取るから……」
「どうやって取るつもりだ?」
 威吹、やや嘲笑めいた顔になる。
「ついでに体の責任も取らせてもらおう!」
 江蓮に抱きつこうとするキノだが、
「この無責任軟弱野郎!!」
 江蓮の木刀に引っ叩かれてしまった。
「……別の日に添書で行こう」
「そ、その方がいいよ……」
(両親が猛反対して泣きを見たユウタ君と、逆に熱心で泣きを見る栗原さん。果たして、どちらがいいのだろう……?)
 マリアはズズズと味噌汁を啜り、今のやり取りを見てそう思った。

[同日09:00.合宿所の近所 タチアナ・イシンバエワの家 イリーナ、マリア、ユタ]

「まだ刀の修理なら先だよ。午後4時前後にでも来てくれ」
 店を訪れると、ゴーグルを着けたタチアナが工房から出て来た。
「分かってるよー。何か掘り出し物が無いかどうか見に来たんだよー」
 イリーナは目を細くして言った。
「魔法使いの初心者が色々道具を揃えに来ることはあるけどね、イリーナみたいなベテランが欲しがる物があるか?」
「初心者向けでも、カスタマイズ次第で強くできるんだよー」
「それがさらっとできるのは、イリーナとポーリンくらいだっつの。さり気に全員できるような言い方するなよ」
 タチアナは両手を腰に当てて呆れた顔になった。
手先の器用なスカーレットを弟子にしたのも、それ繋がりだろ?」
「バレた?」
「ウチらの間じゃ、有名だよ。だいたいさー……」
 2人のベテラン魔法使いが話をしている間、ユタは落ち着きが無かった。
「どうしたの?」
 マリアが聞いた。
「いえ……。その……何だろう?この感じ……」
 とはいえ、この何とも言えない感覚自体は初めてではなかった。
「頭の中に、何か……外国語の歌……キリスト教辺りで歌われるような……そんなのがループしてて……」
 ユタがその感覚の正体に気づいたのは、倒れた直後だった。

 足に力が入らなくなり、まるで地球の引力が逆転したかのような錯覚に陥る。
 目はちゃんと開けてるはずなのに、周囲が真っ暗になる。
 それは貧血の症状に似ていた。

 1時間後……。

「……!」
 目が覚めると、そこは見覚えのある部屋だった。
「ああ、ユウタ君。体は大丈夫?」
「マリアさん……。えーと……」
「まあ、簡単に言えば貧血と似た症状があって倒れた。それだけだ」
「何でいきなり……?」
 タチアナの家の中。
 応接間のソファの上。
「あそこ、魔法具が並んでいたでしょ?普通の人間にはアンティーク品同然だけど、知っての通り、タチアナ師が実際製作した魔法具だからね。魔力の素質のある者には、少なからず影響がある。その影響を受けただけだってさ」
「えーっ?何で今更?」
「それまではユウタ君も、曲がりなりに守護されるものがあった。仏の加護だね。でも今はそれが無くなった。そのせいだって師匠は言ってたね」
「やっぱり勧誡しないとダメだ……」
「今は体も慣れただろうから、もう大丈夫だって言ってたよ。それに、数珠の代用品もある」
「代用品?」
 マリアが自分のローブの中から指輪を出した。
 全体的に黒い色をしている。
 特に装飾品が付いているということはない。
「これを着ければ、魔法具から発せられる障害がカットされるんだってさ。私もまあ、最初は悩まされたものだから、師匠にもらった」
 よく見ると、マリアの右手の人差し指にも同じ物が着いている。
「そうなんですか」
 ユタは早速、自分もそれを同じ場所に嵌めた。
(さすがに左手の薬指ではないんだな……)
 とは思ったが。
 しかし、好きな人と同じ物を着けられるのはいいことだ。
 嵌めた感じは特に何も無い。
 何か感覚に変化があるだとか、そういうことは一切無い。ただ単に指輪をはめたというだけの感覚だ。
「これ、宗教は関係無いですよね?」
「当たり前だ。だからこそ、イギリス以外のヨーロッパ大陸ではクリスチャンに追い回された歴史がある」
(イギリス以外の……?)
 イギリスの魔法使いの話と言えば、“ハリー・ポッター”や“魔女の宅急便”が有名だが……。
 イギリスは寛容なのか。

[同日12:00.合宿所1F・食堂 ユタ、威吹、カンジ、マリア、キノ、江蓮、イリーナ]

 合宿所での最後の食事。
 カツカレーが出た。
 魔界の敵に勝つというゲン担ぎなのか、それとも、カレーだけに『早よ、帰ぇれ』という意味なのか……。
「ユタ、貧血で倒れたんだって!?」
 威吹が驚いた顔をしていた。
「ま、まあ……ちょっとね。あ、もう大丈夫だから」
「魔女達がユタの精気を吸い取ったんじゃないのか?」
 威吹はイリーナを睨むように見た。
「妖怪じゃあるまいし!言い掛かりはやめろ!」
 マリアが言い返した。
「そうだよ、威吹。少し疲れが出ただけさ。それと……やっぱり、脱講した罰がそろそろ出始めてるってことかな……」
「そんなことないさ。仏の加護とやら、ただの幻想だってことに気づくいい機会だ」
「ユタもガリガリの虚弱体質だからよー。そのカレー、ちゃんと完食しろよ?おめーには食う肉の量が足りねぇってことだよ」
 キノが言った。
「まるで幽霊に取り憑かれたみてーにガリガリだからよー。今までは仏の加護で不良亡者(獄卒から見た、堕獄を拒んで人間界に留まる幽霊のこと)の干渉は無かったが、それも辞めたんだから、油断するなよ」
「だから、ユタはオレが守るって」
「それが本当ならな」
 と、マリア。
「ああ!?」
「記録では、ばっかん鬼に一撃でやられて、ユウタ君に多大なる不安を与えた、とあるが?」
「ああ。漢字変換不能の、不良鬼の1人だな。懐かしい名前が出て来たぜ。なに?イブキのくせに、そいつ相手にしたのか?バッカじゃねぇの。あいつぁ、刀で倒れるタマじゃねーよ」
「くっ……」
「ばっかん鬼とは?」
 カンジが目を丸くした。
「見た目は山みてぇにでっかい鬼だ。人間共の間で有名な桃太郎も、最後に相手したのはそいつだって話だぜ。人間共は都合のいいように脚色して、やれKO勝ちだの、やれギブアップさせただのと書いているみてーだが、実際は判定勝ちってところだな。まあ、人間の分際であいつに判定勝ちしたのは凄ェと思うよ」
「それで、その鬼は今どこに?」
「判定負けとはいえ、人間に負けたからにはもう人間界にはいられねぇってんで、魔界のどこかにいるんじゃねーの?まあ、地獄界に来たかったみてーだけど、あんな無駄飯食い、オレんとこだっていらねーよ」
「ドサグサに紛れて、地獄界に攻めて込んで来たとか?」
 と、威吹。
「いや。オレもそう思ったんだけどよ、そんな情報は全く無ェ。まあ、後で来るかもしれねーが、今んところはまだ来てねーよ」
「なるほど……」
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小説の途中ですが、ここで普通の日記をお送りします。

2014-12-27 02:25:18 | 日記
 元々は日勤の帰りの遅いシフトの現場にいたため、更新すると夜中になり、そこでブログタイトルを今のものにしていた。
 法律関係の矛盾について指摘する新聞記事があり、それについて感想をUPするということで、新聞のコラムみたいな名前になったわけだ。
 華やかさを演出する“慧妙”と違い、顕正新聞は浅井昭衛会長の講話内容とそれを賛嘆するだけの腰巾着幹部達の似たような話、それに殆どが構成する真偽不明の体験発表で占めている。
 はたして、顕正新聞が一般紙の代わりになるかといえば、そうは思えない。一般紙を見られると困る何かがある、つまりそれは、たかが新聞で和を乱す恐れがあるというくだらない理由なのである。
 田浦という駅がJR横須賀線にあって、その近くに元顕の友人が住んでいるのだが、私と同様、未だに新聞が送付されて困っているという。
 健康問題を抱えている為に、顕正会から復帰を打診されているらしい。
 作品でその辺も取り上げたいと思うが、流れ的にちょっと難しいかもしれない。
 オチが思いつかないと、却って話の流れがおかしくなるからだ。
 前の作品を読み返してみると、やはりそこは所詮素人が書いたものだと分かるツメの甘い終わり方になっていて、そこは私としても反省すべき点があると思う。
 御本尊がまるで別の存在であるかのような描写はやめておくべきだったかな。
 未投稿だったら直せたかもしれないが、もうアップしている状態ならしょうがない。
 毒を食らわば皿までというし、なるべく不敬にならないように考えておこう。
 魔道師についても伏線を放置してしまったことだし。
 障害が多くなるのが、回収しきれない伏線なので。大師匠って誰なの?とかね。

 正体は明らかになっているぞ。
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