報恩坊の怪しい偽作家!

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“ユタと愉快な仲間たち” 「合宿最終日」

2014-12-27 15:20:47 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月21日07:30.神奈川県相模原市緑区某所 合宿所1F・食堂 ユタ、威吹、カンジ、マリア、キノ、江蓮、イリーナ]

「あー……」
 ユタは半分放心状態で、朝食を取っていた。
「何やってんだ、コイツ?」
 キノは変な顔をして威吹らに聞いた。
「今日は正証寺の最後の支部登山だったのに……!」
 申し込みもしていたのだが、両親の慟哭と憤怒により強制脱講させられたユタであった。
「けっ、ざまぁみろ。一代法華の哀しさを呪うんだな。なぁ、江蓮?」
 キノの言動に冷やかな目を向ける江蓮。
「あ?何だよ?」
「アタシもアンタのせいで御登山できないんだけどねっ」
「あ……!」
 江蓮もユタと同じ支部だった。
「帰ったら、両親から『大御本尊様よりオトコを取った』って、ブッ飛ばされそうだよ!」
「わ、分かった。オレが責任取るから……」
「どうやって取るつもりだ?」
 威吹、やや嘲笑めいた顔になる。
「ついでに体の責任も取らせてもらおう!」
 江蓮に抱きつこうとするキノだが、
「この無責任軟弱野郎!!」
 江蓮の木刀に引っ叩かれてしまった。
「……別の日に添書で行こう」
「そ、その方がいいよ……」
(両親が猛反対して泣きを見たユウタ君と、逆に熱心で泣きを見る栗原さん。果たして、どちらがいいのだろう……?)
 マリアはズズズと味噌汁を啜り、今のやり取りを見てそう思った。

[同日09:00.合宿所の近所 タチアナ・イシンバエワの家 イリーナ、マリア、ユタ]

「まだ刀の修理なら先だよ。午後4時前後にでも来てくれ」
 店を訪れると、ゴーグルを着けたタチアナが工房から出て来た。
「分かってるよー。何か掘り出し物が無いかどうか見に来たんだよー」
 イリーナは目を細くして言った。
「魔法使いの初心者が色々道具を揃えに来ることはあるけどね、イリーナみたいなベテランが欲しがる物があるか?」
「初心者向けでも、カスタマイズ次第で強くできるんだよー」
「それがさらっとできるのは、イリーナとポーリンくらいだっつの。さり気に全員できるような言い方するなよ」
 タチアナは両手を腰に当てて呆れた顔になった。
手先の器用なスカーレットを弟子にしたのも、それ繋がりだろ?」
「バレた?」
「ウチらの間じゃ、有名だよ。だいたいさー……」
 2人のベテラン魔法使いが話をしている間、ユタは落ち着きが無かった。
「どうしたの?」
 マリアが聞いた。
「いえ……。その……何だろう?この感じ……」
 とはいえ、この何とも言えない感覚自体は初めてではなかった。
「頭の中に、何か……外国語の歌……キリスト教辺りで歌われるような……そんなのがループしてて……」
 ユタがその感覚の正体に気づいたのは、倒れた直後だった。

 足に力が入らなくなり、まるで地球の引力が逆転したかのような錯覚に陥る。
 目はちゃんと開けてるはずなのに、周囲が真っ暗になる。
 それは貧血の症状に似ていた。

 1時間後……。

「……!」
 目が覚めると、そこは見覚えのある部屋だった。
「ああ、ユウタ君。体は大丈夫?」
「マリアさん……。えーと……」
「まあ、簡単に言えば貧血と似た症状があって倒れた。それだけだ」
「何でいきなり……?」
 タチアナの家の中。
 応接間のソファの上。
「あそこ、魔法具が並んでいたでしょ?普通の人間にはアンティーク品同然だけど、知っての通り、タチアナ師が実際製作した魔法具だからね。魔力の素質のある者には、少なからず影響がある。その影響を受けただけだってさ」
「えーっ?何で今更?」
「それまではユウタ君も、曲がりなりに守護されるものがあった。仏の加護だね。でも今はそれが無くなった。そのせいだって師匠は言ってたね」
「やっぱり勧誡しないとダメだ……」
「今は体も慣れただろうから、もう大丈夫だって言ってたよ。それに、数珠の代用品もある」
「代用品?」
 マリアが自分のローブの中から指輪を出した。
 全体的に黒い色をしている。
 特に装飾品が付いているということはない。
「これを着ければ、魔法具から発せられる障害がカットされるんだってさ。私もまあ、最初は悩まされたものだから、師匠にもらった」
 よく見ると、マリアの右手の人差し指にも同じ物が着いている。
「そうなんですか」
 ユタは早速、自分もそれを同じ場所に嵌めた。
(さすがに左手の薬指ではないんだな……)
 とは思ったが。
 しかし、好きな人と同じ物を着けられるのはいいことだ。
 嵌めた感じは特に何も無い。
 何か感覚に変化があるだとか、そういうことは一切無い。ただ単に指輪をはめたというだけの感覚だ。
「これ、宗教は関係無いですよね?」
「当たり前だ。だからこそ、イギリス以外のヨーロッパ大陸ではクリスチャンに追い回された歴史がある」
(イギリス以外の……?)
 イギリスの魔法使いの話と言えば、“ハリー・ポッター”や“魔女の宅急便”が有名だが……。
 イギリスは寛容なのか。

[同日12:00.合宿所1F・食堂 ユタ、威吹、カンジ、マリア、キノ、江蓮、イリーナ]

 合宿所での最後の食事。
 カツカレーが出た。
 魔界の敵に勝つというゲン担ぎなのか、それとも、カレーだけに『早よ、帰ぇれ』という意味なのか……。
「ユタ、貧血で倒れたんだって!?」
 威吹が驚いた顔をしていた。
「ま、まあ……ちょっとね。あ、もう大丈夫だから」
「魔女達がユタの精気を吸い取ったんじゃないのか?」
 威吹はイリーナを睨むように見た。
「妖怪じゃあるまいし!言い掛かりはやめろ!」
 マリアが言い返した。
「そうだよ、威吹。少し疲れが出ただけさ。それと……やっぱり、脱講した罰がそろそろ出始めてるってことかな……」
「そんなことないさ。仏の加護とやら、ただの幻想だってことに気づくいい機会だ」
「ユタもガリガリの虚弱体質だからよー。そのカレー、ちゃんと完食しろよ?おめーには食う肉の量が足りねぇってことだよ」
 キノが言った。
「まるで幽霊に取り憑かれたみてーにガリガリだからよー。今までは仏の加護で不良亡者(獄卒から見た、堕獄を拒んで人間界に留まる幽霊のこと)の干渉は無かったが、それも辞めたんだから、油断するなよ」
「だから、ユタはオレが守るって」
「それが本当ならな」
 と、マリア。
「ああ!?」
「記録では、ばっかん鬼に一撃でやられて、ユウタ君に多大なる不安を与えた、とあるが?」
「ああ。漢字変換不能の、不良鬼の1人だな。懐かしい名前が出て来たぜ。なに?イブキのくせに、そいつ相手にしたのか?バッカじゃねぇの。あいつぁ、刀で倒れるタマじゃねーよ」
「くっ……」
「ばっかん鬼とは?」
 カンジが目を丸くした。
「見た目は山みてぇにでっかい鬼だ。人間共の間で有名な桃太郎も、最後に相手したのはそいつだって話だぜ。人間共は都合のいいように脚色して、やれKO勝ちだの、やれギブアップさせただのと書いているみてーだが、実際は判定勝ちってところだな。まあ、人間の分際であいつに判定勝ちしたのは凄ェと思うよ」
「それで、その鬼は今どこに?」
「判定負けとはいえ、人間に負けたからにはもう人間界にはいられねぇってんで、魔界のどこかにいるんじゃねーの?まあ、地獄界に来たかったみてーだけど、あんな無駄飯食い、オレんとこだっていらねーよ」
「ドサグサに紛れて、地獄界に攻めて込んで来たとか?」
 と、威吹。
「いや。オレもそう思ったんだけどよ、そんな情報は全く無ェ。まあ、後で来るかもしれねーが、今んところはまだ来てねーよ」
「なるほど……」

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8 コメント

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つぶやき (作者)
2014-12-27 18:51:28
 明日はいよいよコミック・マーケットが開催される。
 パラパラ茜さんがどんなコスプレで来るかは知らないが、見つけたら声を掛けてあげよう。
「私も矢◯真◯は嫌いです」
 なんて。
「素晴らしいブログです。感動しました!」
 と、持ち上げて持ち上げて持ち上げて……最後にはズドンと奈落の底に突き落とす。
 顕正会員時代、怨嫉者によくやっていた手口だ。
 無論、法を下げる行為なので現在は封印だが、まあ、茜さんは例外で目を瞑ってくれるだろう。
 多分……あわよくば。
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つぶやき 2 (作者)
2014-12-27 21:23:17
 ポリ銀さんが朝鮮人についての記事を持って更新された。
 至極、素晴らしいことを書いておられる。
 我々、生粋の大和民族は卑劣な朝鮮民族に対し、断固とした態度で接さなければならない。
 高速太郎さんにも、是非ご覧になって頂きたいものだ。
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Unknown (本堂)
2014-12-28 20:33:45
管理人さん、今晩は。

>パラパラ茜さんがどんなコスプレで来るかは知らないが、見つけたら声を掛けてあげよう。
「私も矢◯真◯は嫌いです」

おおーと!(古館スタイルで) その矢◯真◯ってもしや元モー娘の・・・ですか? 

声を掛けてあげよう・・・お顔はご存知ですか?・・・あ、例のサブブログの写メで御確認済みですか?なるほど・・・

それでは、流石のパラパラ茜嬢も管理人さんにはタジタジでしょうね?
もし管理人さんの悪口ブログ書いたら、それを小説のネタにされますからね?(笑)

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本堂さんへ (作者)
2014-12-28 21:32:21
 こんばんは。

 サブブログの顔が、そもそも素顔なのかも怪しいですがねw
 さすがに1日10万人は軽く超える人出のコミケで、そう簡単に見つかるものではありませんよ。

>もし管理人さんの悪口ブログ書いたら、それを小説のネタにされますからね?(笑)

 実験的にポテンヒットさんの御協力の元、それをやってみたら、かなり面白い話が書けたので、その暁にはまたやってみましょう。
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Unknown (通りすがり)
2014-12-29 15:28:34
管理人さん、こんにちは。

そう言えば、管理人さんはアラサー(30代)でしたよね?
確か高校時代はモー娘世代でしたか?
高校時代はおニャンコはパラパラ茜氏の方ですよね?

あのサブブログの写メは疑いありますか?
うーん・・・某ディスコスレだと、テレ東京の女子アナM原嬢に似ているらしい?のですが・・・実際はどうですかね? 美人アナよりあのディスコ(R本木Mハラジャ)
の写メが実物っぽい?ような?

パラパラ茜氏はAKB、モー娘と来ていますので、もし
ジャ○ーズのあ○し叩きの大悪態ブログやったらすごいでしょうね? ファンの熱さはAKBより凄い?らしいので・・・



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通りすがりさんへ (作者)
2014-12-29 20:34:33
 プロフィールにも書いてありますが、私は33歳のR35世代です。
 茜さんは聞く所によると、私より約10歳上だそうです。
 未婚の彼氏ナシということで、もし彼女が私と同い年か、それ以下の年齢なら折伏しに行ったのに残念です。
 結婚を考えるなら、あまり年上は……と思っていますので。
 30歳前後以下なら、罪障消滅も、見込みがありますからね。
 あの写真は修整している恐れが高いです。
 私も婚活市場に出入りしていた友人から、それ系の情報は仕入れていますので。
 悪い意味で、「美魔女」とやらでしょう。
 
 それはさておき、私も東京ドームで嵐のライブ警備に行ったことがありますが、通りすがりさんの仰る通りです。
 宝塚のファンクラブ並みですよ、あれは……。
 
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Unknown (通りすがり)
2014-12-30 14:21:06
管理人さん、こんにちは。

>あの写真は修整している恐れが高いです。

ええ?あの指原莉乃を「不細工」と貶したパラパラ茜嬢のあの写メの美女?顔が修整している??もとい!絶世の美女!
すると実物は、もの凄い・・・(自己規制)
それと自分で写メ撮るより、誰かに撮ってもらえばいいのに。 Mハラジャ内でも実は
浮いてる?存在ですかね?

あ、ジャニーズにも良く思って無い様ですので、そのうちア○シや平成なんとかやの大悪態ブログ書きまくって激怒した大ファン達からフェイスブックやツイッターやラインなどでかなりの有名人?にパラパラ茜嬢が
なったりして?・・・ああ、女は怖いよ・・・w
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通りすがりさんへ (作者)
2014-12-30 15:14:47
そうなんですよ。
やたら根拠の無いプライドだけが高く、闘争心無駄に強い人は困りますなぁ……。
そう言えばポリ銀さんが、朝鮮人の特徴の1つに上記を挙げていました。
しかもシタ朝鮮では、整形が流行っているそうですな。
まさかとは思いますが、偶然ですかね。
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