報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「御開扉妨害は重罪である」

2014-05-29 20:03:49 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月31日13:00.静岡県富士宮市郊外にある稲荷神社 威吹邪甲]

「人間界ではここが1番落ち着く」
「おう」
 威吹はこの辺を取り仕切る同じ妖狐の者を訪ねていた。
 因みに自動販売機でお茶を買い、人間が備えた油揚げを失敬するのは今時の常か。
「しっかし、お前さんも悪いヤツだな」
 威吹より年上だが、見た目はそんなに違わない地元の妖狐が笑い掛けた。
「何が?」
「“獲物”さんが日蓮信仰をしてるのなら、オレ達は完全悪だぜ?謗法ってヤツでな」
「それは内緒でござる」
 威吹は油揚げを食べながら、ペットボトル入りのお茶を飲んだ。
「よく騙し通せたもんだ。でも、“獲物”持ちもいいもんだろ?退屈しなくてさ」
「その通り」
「お前さんの話だが、ヨーロッパの魔道師もうろついて来たよ」
「さようか?それはイリーナとかいう者か?」
「いや。フードを被っていたからよく分からんが、1人は金髪で、もう1人は黒髪だった」
「別の者共か……」
「まだこの町にいる感じだな」
「なにっ?」
「オレ達は神社・仏閣ではなかなか悪さできないが、魔道師は厳密に言えば妖怪ではない」
「姿形で騙されたが、もしかして仙人みたいなものか?」
「まあ、それに近いな。だから、オレ達よりもより人間らしく振る舞うことができるし、つまり神社・仏閣の中に入って行けるということだ」
「そ、そうか」
「……つまりは、お前さんの“獲物”に危険が迫っているかもしれないという危機感を何故持たん?」
「今すぐ戻る!」
 威吹は急いでその場を離れた。

[同日同時刻 大石寺・奉安堂 稲生ユウタ]

〔「御開扉に先立ちまして、注意事項を申し上げます」〕

 ユタは1人、他の信徒達と共に奉安堂内部に入った。
 誘導係の僧侶の指示に従い、座席に腰掛ける。

〔「……御開扉は厳粛な儀式でございますので……」〕

 ユタは他の信徒と同様、小声で大御本尊が安置されている扉に向かって御題目三唱した。
 今度はまた突然数珠が切れてもいいように、予備をポケットに忍ばせている。
「ん……?」
 しかし、何だかユタは落ち着かなかった。
 何かむず痒いというか、そわそわするというか……。
(何だこれ……?)

[同日13:30.大石寺・奉安堂内部 稲生ユウタ]

 マイクで僧侶が唱題を始め、信徒達が合わせて唱題する。
 その間に、他の僧侶達や御法主猊下であるところの日如上人が出仕してきた。

 いつもの御開扉。

 何事も無く行われるはずの御開扉だ。

「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」
 ユタの右手がガクガクと震える。
 額に脂汗が浮き出て来た。
 右隣りの中年の信徒が気づいて、ユタの方を見た。
「扉が開かない……!」
 左隣の信徒が驚愕の声を上げた。
 いつものタイミングで開くはずの上下式の鎧戸が開かない!

[同日同時刻 同場所……の屋根の上 エレーナ・マーロン]

「全ては……あの御方の為に」
 エレーナは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「あとはこのスイッチを押せば……バイバイ」
 エレーナはリモコン式のスイッチを押そうとした。

 ドスッ……!

「な……!」
 その直前、自分の背後から刃物が貫通したのが見えた。
 後ろを振り向くと、そこにいたのは威吹。
 持っていた妖刀……ではなく、普通の脇差の方を突き刺した。
 以前、魔道師に妖刀は効かないとマリアが言っていたのを思い出したからだ。
「きさま……!」
 エレーナは威吹を半分驚愕の目、もう半分は憎悪の目で見たが、その姿が煙のように消えた。
 その代わり、残っていたのは黒猫のぬいぐるみだった。
 それを妖刀で突き刺したのは、後から追ってきた地元の妖狐。
「やったか!?」
 威吹は金色の瞳をぬいぐるみに向けた。
「……いや、ただのぬいぐるみだ。依り代にしてただけのようだ。本体は別の場所にいる」
「くそっ!」
「だが、ここでの力は無くなったはずだ。この下の僧侶や信徒達も無事だろう」

[同日13:40.奉安堂内部 稲生ユウタ]

「開いた開いた!」
 電動鎧戸が開いた。
 信徒達の歓喜の声で堂内が包まれたという。

[同日13:45.大石寺・新町駐車場 威吹邪甲&鞍馬主斗]

 御開扉を妨害した魔道師見習を撃退した妖狐達は、取りあえず、自分達が滅される前に大石寺境内の外に出た。
 地元の妖狐で、威吹に加担したのは鞍馬主斗(くらま・かずえ)という中性的な男だった。
 威吹もそうだが、艶やかな姿と名前からしてよく女性と間違えられるという。
 人間に化けてもそんな姿だから困るとのことだった。
「後でうちの“獲物”に説明しておくよ。本当にかたじけない」
「いやいや。“獲物”持ちになるべく協力するのも、妖狐族の掟だからな。せっかくあと数人高レベルの人間がいるのに、妖狐族の手に入らなくて残念だ」
「他にいるのか?」
「ここは総本山だからな。全国や他国から信徒が集まる。その中にA級が何人かいる。S級はあんたが手掛けてる者だけみたいだな」
「そうか……」
「創価学会には何人もA級がいたんだが、破門になってしまったからな」
「街中の浅間大社はどうだ?」
「話にならんな。神職であっても、C級ばかりだ」
「景気悪いな」

[同日14:15.大石寺 売店(仲見世) 稲生ユウタ&威吹邪甲]

「びっくしたなぁ……もう。御開扉の時に、扉が全然開かなかったんだ。こりゃダメだと思った時、開いたんだよ。いやあ、当たり前だと思っていたことがそうでなくなる時って、ああなんだなぁって……」
「うん。そうか。それは良かったね。じゃあ、ちゃんと願い事はできたってことだね?」
「そう!」
 ユタは大きく頷いた後で、
「何だかね、また『マリアさんに会いたい』って願うようになったんだ」
「しかしあの魔道師達は、抗争を避ける為に避難中だ。ユタが巻き込まれては、元も子もないからね。キミが願うのは、あの魔道師の安全だろう?」
「それもそうなんだけど……」
「それなら心配無い。少しなら話ができる」
「そう上手く行くわけないさ。確かに結果的に、ボク達は……」
「やっぱり話が出来過ぎてるかな……」
 背後からマリアの声がしたような気がして、ユタと威吹は振り向いた。
「マリアさん!」
 本当にいた!
 しばらくの間、ユタは涙を堪えていた。

[同日14:30.大石寺売店(仲見世)“藤のや” ユタ、マリア、威吹]

 3人は大石寺売店内にある喫茶店に入った。
「マリアさん、本当に無事で良かったです」
「ああ。ユウタ君のおかげだ」
 店内にあるテレビではワイドショーをやっていて、長野県に落ちた隕石のことをまだやっていた。
 隕石落下によって起きた山林火災は、ようやく鎮火したらしい。
「電話を切って、すぐに外に飛び出した。その直後、隕石が落ちて来た」
「何でそんなことを!?誰が!?」
「やったのはポーリン師だろう。目的は私の殺害というよりも、むしろ保管している魔道書の処分だったかもしれんな」
「仇敵の魔道師は、魔道書とやらが欲しくなかったのか?燃やしてしまうのが目的だったようだな?」
「私の屋敷に保管してあった物は、師匠の更にその上の師匠がお持ちのコピーだ。コピーだから、同じ本を実は師匠も別の場所に保管している。ま、私にとっては人形がほぼ全滅してしまったのが痛い……」
 咄嗟のことだったので、当時動かせたミク人形とフランス人形の1体だけが脱出できたという。
 せっかく作った『ユタぐるみ』も全壊し、全焼した屋敷の中にいた。
(『ユタぐるみ』に命を吹き込まなくて良かった……)
 あくまでも観賞用に作ったとしてはいたが、もしいっそのこと……という思いもあった。
 だが、思い留まって正解だったということだ。
 もし命を吹き込んでいたら、キノぐるみと同じ運命を辿っていただろう。
「奉安堂の屋根の上に、敵の魔道師がいたぞ」
 威吹が言った。
「えっ!?」
「見た目、どことなく栗原殿に似てはいたがな。だが、栗原殿ではないよ」
「それ、エレーナ・マーロンだな」
 マリアは言った。
「ポーリン師の弟子で、どちらかというと、本当の魔女に近いタイプのヤツだ。よく黒猫に化けている」
「おう。殺したと思ったら、黒猫の人形になってびっくりだよ」
「魔道師には刃物は効かない。例え妖刀でも、普通の刀であっても……」
「一応、効いた感じはしたんだけどなぁ……」
 威吹は首を傾げた。
「ただ、依り代を失ったのだから、しばらくは行動できないはずだ。ポーリン師と同様、エレーナもな。だからこうして、私は少し出てきて話ができるようになったのだ」
「そうでしたか!でも、どうしてそのエレーナ・マーロンは御開扉を妨害しようとしたんでしょうか?」
「S級の霊力を持つ稲生さんが、ここで信仰していることに脅威を感じるのは妖怪達だけではないってことさ」
 マリアはズズズと紅茶を啜った。
「どういうことですか?」
「深く考える必要は無い。ユウタ君から見て、障魔が御開扉を妨害した。しかしユウタ君達の厚い信心で、それを跳ね飛ばすことができた。そう考えていいだろう。妖狐達の行動については、仏の手によるものと思えば……」
「ボクは仏の駒かい」
 威吹は苦笑いした。
「まあ、だったら威吹。きっと死んでも、特別扱いしてくれるってことだよ、うん」
「あんまり想像したくないけどなぁ……」
 威吹は苦笑を止めることができなかった。
「これからどうするんだ?」
「取りあえず、16時半からの六壺の勤行に出ようと思います」
「分かった。じゃあ、私は境内で待ってる」
 マリアは微笑を浮かべた。
 それは感情が高ぶって、相手を攻撃する時に見せる『狂った笑顔』ではなかった。
コメント (2)
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“ユタと愉快な仲間たち” 「バスに揺られて大石寺参り」

2014-05-29 16:02:23 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月31日09:35.東名高速足柄SA 稲生ユウタ&威吹邪甲]

〔「足柄サービスエリアです。こちらで10分の休憩を取らせて頂きます。発車は9時45分です。乗り遅れないよう、ご注意ください」〕

 バスは東名高速でも大規模な足柄SAに止まった。
 ここからでも天気が良いので、富士山がよく見える。
「ユタ、足柄だよ」
 ユタが目を覚ました様子なので、威吹が声を掛けた。
「そっかぁ……。じゃあ、降りてみるかな……」
 2人はバスを降りた。
 初夏の日差しが照らすので、何だか汗ばむ陽気である。
「何だか、変な夢見た」
「そう?」
「2人の魔道師が薄ら笑いを浮かべてる、薄気味の悪い夢だよ」
「それは予知夢?」
「いや……。マリアさんの屋敷が焼け落ちるシーンだったから、予知夢ではないね。きっとあれが、イリーナさん達と敵対しているという魔道師なんだろう」
「ふーん……」

[同日10:00.さいたま市中央区 ユタの家 威波莞爾&蓬莱山鬼之助]

「あ、何だって?ユタとイブキは留守だぁ?」
「稲生さんなら大石寺参りだ。先生も護衛として御一緒だ。用件なら、オレが代わりに聞くが?」
 玄関先で舌打ちをするキノと、ポーカーフェイスを崩さないカンジの姿があった。
「1人で行ったのか?」
「だから、先生と御一緒だと言ったはずだが?」
「他の信者と一緒じゃねーのかって聞いてんだっ!」
「それは知らん。で、何の用だ?」
「オレ達がユタの予知夢に助けられたようだから、姉貴が礼と非礼の詫びを同時にしてこいって無茶ぶり&ハードルがん上げの命令しやがってよ」
「ああ。マリア師に復讐しに行ったら、別の魔道師についでに全滅させられるという夢か。とどのつまり、それ自体が大きな罠だったってことだな。良かったじゃないか。まんまと引っ掛からなくて」
「ユタをボコしたことも詫びて来いってさ。いや、オレ的にはよ、最初にケンカ売ったのはあいつだから……」
「いや、そうなるように仕向けたのはお前の方だったぞ?」
「イブキがそこで止めなかったのが気になるがな」
「……咄嗟のことで、先生も動けなかったのだろう」
 カンジはそう答えた。
(稲生さんに危害が加えられたことを口実に、こいつを粛清するおつもりだったのかもしれんが……)
「いねぇんならしょうがねぇな」
「まあ、お前がその件で来たことは伝えておく」
「じゃ、これが落とし前の品な」
「中身は何だ?」
「地獄界で仕入れた人肉のミンチだが、ユタ食うのか?」
「……オレと先生しか食わんと思う。てか、人間に合わせた侘びの品持ってこい」

 以上、妖怪同士の会話であった。

[同日11:00.大石寺・第2ターミナル 稲生ユウタ&威吹邪甲]

 

 新しくできたバスターミナルで、2人はバスを降りた。
「威吹はどうするの?布教講演聴いてく?」
「ボクを滅するつもりかい?やめておくよ」
「それは残念」
「ボクはこの辺を取り仕切る同族と会ってくるよ。街中は神社(浅間大社)、山裾は寺があって、随分とやりにくそうだし」
「う、うん……」
 威吹は手をヒラヒラさせて、国道の方に歩いていった。
 ユタは反対方向の登山事務所に向かった。

[同日11:50.大石寺・総一坊 稲生ユウタ]

(それにしてもあの人達、よく見かけるなぁ……。さすがは塔中坊の人達だ)
 布教講演に参加したユタ。
 前方には特盛くんとエリちゃんがいた。

〔「……これを持ちまして、本日の布教講演とさせて頂きます。ご清聴、真にありがとうございました」〕

 布教講演が終わると御題目三唱を行う。

〔「講師が退場します」〕

 顕正会の“アデランス”と違い、柔らかな口調の僧侶の司会であった。
「お腹空いたよぉ……」
「ちょっと、あんた!正座椅子!」
「んー?」
「んーじゃない!あんたの体重で、畳に食い込んでるっつーの!」
 エリちゃんが巨漢の特盛くんに突っ込む姿は、もはやお約束である。

[同日12:10.大石寺・売店(仲見世)“なかみせ” 稲生ユウタ]

「うーん……!ゴハンが止まらなーい!……てか、ちょっと足りない」
「少しはダイエットしろっつの!これくらいで十分!」
「えー……」
「えーじゃない!」
「だってぇ……」
「だってじゃない!」
 夫婦漫才に笑いを堪えつつ、ユタは“大白法”に目を通していた。
 つか、この2人、結婚したのか。
「はい、お待ちどうさま。豚汁定食です」
「あ、どうもー」
 ユタは“大白法”閉じ、定食に箸をつけた。
「オバちゃーん、ゴハンおかわりー」
「おかわりじゃねーだろ!つか、おかわりすんなよ!」
 特盛くんのおかわり要求にも、快く応じてくれるオバちゃん。
「すいません。後でよく言っておきますから」
 エリちゃんは、おかわりを持ってきてくれたオバちゃんに恐縮する。
「あー、ほらもう!ゴハンつぶ付いてるし!」
「ゴハンが止まらなーい!」

 ガラッ!(店のドアが開く音)
 ザシャアァァァッ!(ポテンヒットさんゴメンナサイ)

「ああっ!?のんきに飯だとっ、クソ法華講員ども!」(ケンショー・ブルー)
「私の分析によりますと、危機感が全く足りませんね」(ケンショー・グリーン)
「他国侵逼は近いのよ!何度も言わせないでちょうだいっ!?ねぇっ!」(ケンショー・ホワイト)
「いいですかー?ここは昔、ソッカーのダイ・サークによって、ケンショーを怨嫉した謗法の地なのですね。見てごらんなさい。ここにはかつてケンショーの精鋭だった者が騙されて、ここに連れ込まれています。かつての同志を救うのは今しかないと考えまするが、皆さんどうでしょう?」(ケンショー・イエロー)

 パチパチパチパチパチ……。

「うわっ、出たーっ!ケンショーレンジャー!」
 ユタは目を剥いて、テーブルの下に隠れた。
「特盛っ!あんたも釣られて隠れない!地震じゃないんだから!つか、お前ら!ウゼぇっての!」
「ぇでもぉ、お嬢さん。ぇ正しいのはぇケンショーだけだよ」(ケンショー・レッド)
「うるせぇんだよ!平成25年の誓願ブッちぎったくせに!」
 ユタと特盛くんが防御態勢に入る中、エリちゃんだけが立ち向かう。
「私の分析によれば、それは無かったことになっていますね」
「つーかよ、クソビッチ!オメーもよ、特盛に『平成25年の誓願はただの目標』って言ってたじゃねーかよっ、ああっ!?」(ブルー)
「イエローの壮大過ぎる誓願は所詮凡夫には理解できないのよ!何度も言わせないでちょうだいっ!ねぇっ!?」(ホワイト)
「その通り。いいですか?私の誓願は正に壮大なものであり、その場しのぎのものなんですね。大聖人様とて、目が点になるほどのものなのです。しかし、おかげで魔が競うことはない。顕正会員は凡夫の集まりです。魔が競わないように計らうのも……むっ!そこのキミ、何をしておるのかね?」(イエロー)
 ユタはどこかに電話していた。
「ああっ!?テメー、まさかサツに電話してんじゃねーだろうなぁ!?」
 レンジャー達はユタに近づいた。
「ぇ警察に通報されたら、ぇまたケンショー本部に、ぇ家宅捜索が入っちゃうよォ」
「いかん!あの青年から、電話を取り上げるんじゃ!」
「おうっ!」
 イエローの号令に、ユタに向かって行くレンジャー達。
「警察には電話していない!」
 と、ユタ。
「私の分析によりますと、警察ではなく……」

 ザシャアァァァッ!

「おとなしくしろ!ケンショーども!」
「何度も御山を荒らしやがって!」
「今度という今度は許さんぞ!」
 駆け付けた黒スーツの男達。
「げぇっ!?お、お前達は……みょ、みょ……妙観講!?」
 声が裏返るイエロー。
「このクソ野郎!サツよりメンドくせぇとこに通報しやがって!」
 ブルーがユタを睨みつけるが、もう後のお祭りドンドコショである。
「今日は大草講頭が直々に御登山しておられる!今日はみっちり講頭の折伏を受けてもらうからなぁっ!!」
 ズルズルと妙観講員に店の外へ連れ出されるケンショー・レンジャー達であった。
(駐車場に大草講頭のベンツが止まっていたの、確認しておいて良かった)
 ユタはホッとして、再び豚汁定食に箸をつけた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 妙観講の皆さん、勝手に登場させてごめんなさい。
 でも一応、山内の警備を行っていると聞いたもので。
 きっと、ケンショー・レンジャーみたいな輩どもなんぞ、厳しく取り締まってくれるのだろうなぁと……。
コメント (3)
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