報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

第3閉塞、進行!

2013-09-19 22:09:13 | 日記
 “ボカロマスター”より。まだ続きます。

[12:30.ラジオ局、政宗放送スタジオ MEIKO]

「政宗放送をお聴きの皆さん、こんにちは。MEIKOです。早速ですが、ここで1曲お送りしたいと思います。初音ミクで、“初音ミクの消失”」

[同時刻 市営中吉台団地駐車場 鏡音レン]

 平賀博士が来客用駐車場に車を止める。ミクの歌が聴こえてきて、もう少し聴きたかったんだけど、しょうがない。
「行くぞ!」
「はい!」
 博士が車を飛び降りた。そして、団地住民駐車場に向かう。
「すいません!」
 ちょうど由紀奈とお母さんは、車から降りてきたところだった。
「はい、何でしょうか?」
「失礼ですが、顕正会の方ですか?」
「!」
 お母さんは何かびっくりした様子だったが、
「はい、そうですけど?」
 と、答えた。
「私、法華講の平賀と申します」
 すると、お母さんの顔色が変わった。
「名刺をどうぞ」
 博士が名刺を出す。チラッとしか見えなかったが、法華講員としての名刺らしい。大学名や財団のことは書いてなかった。
「本当の正しい信心について、少しお話させて頂けませんか?」
「……法華講員の方と話すことなんてありません!」
「そう仰らずに。私もまた顕正会のことはよく分かっていない。で、あるなら私を折伏するチャンスなのではないですか?ただ、これだけは分かる。もうすぐ最終日なんでしょう?ノルマ……いや、“誓願”は達成できそうですか?」
「帰ってください!」
 博士は尚も食い下がろうとしたが、お母さんは由紀奈を連れて、建物の中に逃げるように入っていった。
「博士……?」
 博士は何がしたいんだろう?何故か、にやけた顔をしている。
「レン。今の、『見て』いたか?」
「えっ?あ、はい。それが何か……?」
「ご苦労。行くぞ」
「は、はい……」
 ボクはこのまま博士の言う通りにしていいのかどうか、心配になってきた。
 ボーカロイドだって、マルチタイプと同じく自分で考えて行動することはできる。そこは、七海などのメイドロボットと違う。
「ん?」
 駐車場に戻ろうとすると、何人かの住民の人達らしき集団が1号棟に入っていった。
「……作戦変更。戻ろう」
「は?」
「いいから、来てくれ」
「……はい」

[12:45.ラジオ局、政宗放送スタジオ MEIKO]

「ではこの時間、ニュースをお送りします。KAITO、よろしく」
 私は相方のKAITOに振った。
「はい、KAITOです。たった今入ったニュースです。今日午前11時頃、東京都杉並区に本部を置く日蓮正宗妙観講で、ロボット数体による襲撃事件がありました。当時中には信者が数多く訪れており、多くのケガ人が出ているもようです。尚、このロボット達は国際指名手配を受けているウィリアム・フォレスト容疑者が開発した“バージョン4.0”と見られ、侵入経路、また動機についてもまだ不明です。このロボット達はタイマー設定で機能停止するようになっており、日本ロボット研究開発財団が調査に当たっています」
「私達もウィリアム容疑者には、ほとほと痛い目に遭わされています。1日でも早い逮捕を望んでいます」
「では、次のニュースです」
 バージョンシリーズが宗教施設を襲った?珍しいこともあるものね。そんなとこ襲ってどうするのかしら?確か、ドクター平賀がチームを作って、バージョン達の全容を解明しているはずだけど……。

[同時刻 市営中吉台団地 鏡音レン]

 スマホのようなタブレット端末を見て、にやける平賀博士の姿があった。
 ボクはこっそり、その端末と無線LANを接続してみた。
 何だろう?東京都杉並区の地図が出てきた。そして、バージョン4.0が5機?何だ?あの悪名高いバージョン達が、東京に現れて暴れてるのだろうか?でも、どうしてそれで博士がにやけてるんだろう?
「池波さん、ちょっといいですかー!」
 住民の皆さん達が、由紀奈の部屋の前で何かやっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 妙観講の皆さん、ごめんなさい。あくまで、ボツネタです。リメイク後のOKネタでは、宗教色の全く無い違う話の流れになっています。
 で、平賀が何か怪しいけど、OKネタでは特段普通で、逆に影が薄いです。
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ダサク続行

2013-09-19 00:26:50 | 日記
 “ボカロマスター”より。 ケンショーコキ下ろし……?

[12:00.南里ロボット研究所 敷島孝夫]

 どーれ。昼休みの時間だ。本当はバック・オフィスである事務員は日曜日は休みなのだが、ボーカロイド・プロデューサーなんか始めちゃったせいで、休めなくなってしまった。今日は赤月先生が、ミクとルカの仕事に付き添ってもらっている。平賀先生がいる間は七海がいてくれるので、彼女に事務作業は任せてもいい。メイドロボのはずなのだが、ここ最近は事務作業ロボットとしてのイメージが強い。実際、率なくこなしてくれるし。
「敷島さん。お昼ごはん、何にしますか?」
「そうだなぁ……。それより、平賀先生はいつ戻ってくるんだ?はっきり言って、謹慎中のレンを勝手に連れ出したりしたらマズいだろ?」
「南里博士とエミリーが出かけていて良かったですね」
 そう。所長とエミリーは財団事務所に行ってしまった。おおかた、昼食会でもやっているのだろう。もしいたら、さすがの所長も平賀先生の勝手な行動に怒っていたんじゃないかな?それとも、もう付き合いも長いから呆れて苦笑いか?
「ミートソース・パスタなんかどうでしょう?」
「お、いいね。頼むよ」
「はい」
 七海は席を立って、台所へ向かった。
「あっ、そうだ。12時から、MEIKOとKAITOがラジオに出るんだった」
 私はスマホのアプリで、ラジオを点けた。
〔ポロロロン♪「そうか~♪がっかい~♪」〕
「! びっくりした、CMか!……真っ昼間に宗教のCMかよ……」
 私はチャンネルを変えた。
〔「せいきょうしんぶん♪」〕
「んっ!?」

[同時刻 市営中吉台団地入口付近・車中 鏡音レン]

〔「……あなたのあしたをあたらしく」「そうか~♪がっかい~♪」〕
 ボクは平賀博士の車の中にいる。ラジオから聴こえて来た、よく分からないCMが流れてくると、途端に博士の機嫌が悪くなった。
「博士、ボクのお使い、お役に立てませんでしたか?」
 ボクが聞くと、アンパンをかじる博士は潜めた眉を元に戻した。
「いや、いいんだよ。アンパンと牛乳なんて、ベタ過ぎるチョイスだ」
「前にリンが、『張り込みの基本はこれだー!』って言ってたものですから……」
「やっぱりな」
 平賀博士は納得してくれたようだ。但し、仕方なくといった感じだったが。
 そう、ボク達は今、張り込みをしている。最初、顕正会仙台会館に行こうという話もあったのだが、入れ違いになると面倒だし、とっくに朝の勤行や浅井会長なる教祖の指導もとっくに終わってるだろうから、ここで待つことにしたのだ。
「レン、ここ最近、仕事の方は順調だそうじゃないか」
 牛乳を飲み干した先生が、仕事のことについて聞いてきた。
「敷島さんから聞いたぞ」
「あ、はい。おかげさまで」
「でも、逆にリンと一緒に仕事をする機会は減ったそうだな?」
「ええ。まあ、しょうがないです。本当はリンと一緒に仕事したいけど、リンも単独でレギュラーの仕事とっちゃったですし……」
「健気だな。実は自分も本当はリンとレン、2人で一ユニットだと思ってる」
「えっ?」
「まあ、自分はただの研究者で、プロデューサーじゃないから何とも言えないんだけど……」
 その時、ボクは博士の言葉を遮った。
「博士、来ましたよ!」
 由紀奈を乗せた、白い軽乗用車が団地内に入って行くのをボクは見つけたからだ。
「よし、行くぞ!」
 博士は急いで車を動かし、団地の中へハンドルを切った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 地方のAM局じゃ、昼間でも創価学会や聖教新聞のCMをやってることがある。
「少しは仏法の話をせんかい!」
 とは、私の顕正会入信当初の上長の言。創価学会のCMを聴いて、全力で突っ込んでいたのを今でも覚えている。
コメント (2)
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