現役顕正会員のブログ“巌虎独白”において、謗法行為のボーダーラインについて取り上げられている。全く。息苦しいことこの上ない。はっきり言って、前のブログと“あっつぁブログ”じゃ、東方Projectの“博麗神社”の話をしただけで、すぐ炎上するような状態だ。
日蓮大聖人が鎌倉の腰越で死刑執行される前、鶴岡八幡宮に立ち寄られて、そこに在住する八幡大菩薩に対し、記事のタイトルから始まる叱咤の言葉を強く投げられたというのは有名な話である。その為、いざ処刑されようとした時に江ノ島の彼方より、強い光を放った光球が現れ、恐れおののいた武士達は大聖人を処刑することができず、結果その場での死刑執行は中止になった。そのため、この光球は諸天善神が大聖人を助ける為に放った奇跡であるというのが宗内において、また顕正会内部において一般的な意見である。
しかし私はこの大聖人の行動について、違和感があった。その当時の大聖人は神社参拝を信徒に禁止していなかったのだろうか。その当時の諸天善神を奉った神社には、悪鬼ではなく、まだ善神が在住していたのだろうかと。だとすれば、どのタイミングで善神達は人間界から離れて行ったのだろうか。一斉にか?それとも順次か?
“顕正会版人間革命”には、その謎を解こうとする描写がある。この時点で主人公ユタは、顕正会からの離脱を考えている頃であっため、そういう余所事を考える余裕ができたのである。
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“妖狐 威吹伝”より。
「何で今まで黙ってたんだ!」
ユタは威吹の胸倉を掴んだ。
「だ、だって、人間にとっては八幡菩薩が起こした奇跡ってことにした方が都合がいいんだろうと思って……」
威吹はユタの剣幕に気圧されながら答えた。腕力、体力ともに劣るユタだが、彼が一たび霊力を放てば、威吹は大ケガでは済まないだろう。これが彼がユタに付き従っている理由である。
「……威吹。行くぞ」
「ど、どこに!?」
「まだいるんだろ?キミの仲間が。鶴岡八幡の近くに」
「も、もういないよ。あそこも人間の手が及んで、棲めなくなったから、“妖狐の里”に帰ったよ……。ユタ、これ以上はやめておこう。このままじゃ、キミの信心が……」
「俺の信心が下がったところで、キミの都合が悪くなるわけじゃないだろう!」
「いや、そんなことないさ」
威吹はユタの手を振り解くと、肌蹴た着物を直しながら言った。
「ユタの今の強い霊力は、信心のおかげだと思ってる。ケンショー会というところじゃキリ無く、無駄に霊力が上がっていただけだと思う。だけど、今のお寺では適度に霊力が調整されてるんだ。ボクがキミに付いているのは……」
「もういい」
ユタは威吹の発言を遮った。
その時、ユタのケータイが鳴った。
「はい、もしもし」
同じ法華講支部の班長からだった。
{「今度の支部登山の話なんだけど……」}
「ああ。自分は参加できます。また部ごとにバスで行く形ですか?……ああ、そうですか。それなら……」
ユタが電話している間、威吹は落ち着かない様子だった。長い銀色の髪をいじったり、袴の帯を結び直したり、足袋を履き直したりしていた。
「……はい。では、後ほど。……はい、どうもです」
ユタは電話を切る。
「ちゃんと大石寺に行って、功徳は積んでくるから安心しなって」
「う、うん……」
「どうせ鎌倉時代の話だ。俺も含めて、裏の真相なんかどうだっていいよ。結果的に光球が発生したのが事実で、それが大聖人が起こさせたことであればそれでいい」
「そ、それは間違いない!」
威吹は大きく頷いた。