日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

一弦琴 新しい糸を本来の意図で使う

2010-05-21 16:47:21 | 一弦琴
5月15日にYouTubeにアップロードした一弦琴「夜開花」は琴糸屋さんで特別に作って頂いた糸を張ったものだった。特別に、との思いがあったものだから落ち着いた音色をそれなりに気に入っていた。ところがあることから、新しい糸を本来の意図とは異なる使い方をしていたことに気付いたのである。

一弦琴を習い始めた頃、開放弦の音を調子笛の「D」に合わせていた。音程が低くて私には唄いにくかったけれど、お師匠さんに訓練すれば低い声が出るようになります、と言われて少しは努力したが、しんどいだけであった。何年かたつうちに、「D#」で合わせることは認めていただいたが、私が唄いやすいのは「F]、歌によっは「F#]である。いつかは自分の声に合わせた調弦をしたいと思っていたが、お師匠さんから離れてそのチャンスがやって来たのである。

これまでの糸でたとえば「F」に合わせると、糸が細いだけにキンキンした音になってしまう。そこでもう少し太めの糸を使えば張りを少々強くしても余韻のある音が出るだろうと考えたのである。まず少し太めの三味線の糸を試してみたが、低音の魅力に惹かれとことと、太い糸を強く張ることへの抵抗感から、調弦の基準音は上げたものの現実には1オクターブ下の音を出すように調弦したのである。

このようなことがあったので、これまで長年使ってきた糸よりも太い糸をせっかく作ってもらったのに、張りを強くしてより高い音域の音を出すべきところ、かえって張りを弱くして目指す音域より1オクターブ低い音を出していたのである。そして声域は1オクターブ上げていた。ところが張りを弱くしたせいで、従来の糸で合わせた徽の位置とかなり異なるところに勘所が移ってしまう。何かがおかしいと思うようになったが、最初の意図をころりと忘れていたのである。ところがつい最近、これまでの糸に張り替えて演奏する機会があって、その糸の張り具合が新しい糸の張り具合と余りにも違うことに気がついたのである。肌の弾力にたとえると乙女と媼以上の違いがある。その瞬間、そうだ、張りを強くして高い音でもきれいに出せるように太めの糸を作ってもらったのだとの本来の意図を思い出したのである。下は新しい張りでの演奏である。以前の演奏もしばらくは比較のために残しておくことにした。ゆくゆくは、曲に合わせて糸の種類、張り方を選んでいくのもいいなと思いはじめている。





見事に錆びついた「魚雷の部品」の怪

2010-05-21 11:03:20 | Weblog

すでにネットで見ていたがあらためて朝日朝刊に掲載されたこの錆びついた「魚雷の部品」を見て、日本軍が南洋の島に置き去りしたままの兵器の残骸を連想してしまった。それほど年代を経たように見えたからである。となると私の想像力が掻きたてられる。Dan BrownやMichael Crichton、Frederick ForsythにKen Follet、とくにGlenn Meadeの愛読者としての悲しい性(さが)なのである。

見事に錆びついている。ただの焼けただれのようには見えない。韓国哨戒艦が沈没したのが去る3月26日で、浚渫船(dredging ship)が爆発の起きた場所でこの魚雷部品を回収したのが5月15日だから、ほぼ50日間海底に沈んでいたことになる。その期間でこれほど錆びるものなのだろうか。魚雷が爆発した瞬間にどのように分裂していくのか、シミュレーション可能のように思われるが、火薬の炸裂による高温がこの部品に伝わる時間的な余裕があるのだろうか。熱が伝わらなかったらこの部品はおとなしく海底に横たわったままであろう。それなのにこれほどまで錆びるのだろうか。仮に熱が伝わってかなり高温になったとしても、やがては海水で冷やされていく。その間にどれほどの「錆の種」が作られて、それがこのように見事な錆に成長するのだろう。いったい魚雷の金属部分はどのような材質なのだろう。とにかくいろんな疑問が湧いてくる。この魚雷部品が発見されてからThe Joint Civilian-Military Investigation Group(JIG)が報告書を出すまでは実質5日足らずである。錆の形成についての科学的調査が完了していたとは考えにくい。

この魚雷部品発見について、MSN産経ニュースは次のように伝えている。

 【ソウル=黒田勝弘】多数の犠牲者を出した哨戒艦沈没事件で厳しい世論の批判を浴びていた韓国軍が、原因究明でほぼ完璧な成果を挙げ、名誉を挽回したかたちだ。関係者の間では、原因調査にあたっての情報力や分析力が高く評価されている。

 とくに「北朝鮮の犯行」と断定する証拠になった、ハングルと数字が刻印された魚雷の破片を海底から回収できたことと、北朝鮮製の魚雷の構造資料を入手したことは大きい。

 関係筋によると、決定的な物証となった魚雷のスクリュー部分は、調査結果発表5日前の15日、現場海域で底引き網漁船によって発見された。それまでは「確実な物証」がなく苦悩が深かった調査団も、これで一気に真相究明が可能になったという。

 発表によると、回収された魚雷のスクリューなどの構造が北朝鮮の輸出用魚雷の構造図と一致し、部品に記されたハングルの字体も、韓国軍が過去に入手していた北朝鮮製の魚雷の表記と同じだったという。これは韓国軍が北朝鮮の魚雷に関する資料や情報をかなり入手しており、正確に比較・分析できた結果だ。(後略、強調は私))
(2010.5.20 19:56 )

この記者はよほど韓国に惚れたか韓国べったりの記事で、それだけに「眉につば」をつけてかからざるをえないが、それにしても強調部分がひっかかる。「底引き網漁船」であるが、この問題海域で早くも漁業を行っていて、偶然にも魚雷部品を引き揚げたのだろうか。そしてこの「底引き網漁船」がJIGの報告書ではなぜ浚渫船(dredging ship)になっているのだろう。魚雷部品発見の経緯についても疑問が湧いてくる。

これからはGlenn Meadeの世界に入って、魚雷部品発見の経緯について一つだけ憶測を逞しくする。

JIGの報告書にもあるように、爆発したのはシミューレションにより200~300kgの爆薬であることが分かった。それも機雷ではなく魚雷であるとすると、北朝鮮の保有するどのタイプの魚雷かは容易に想像がつく。そこまで分かってくると物的証拠の収集に苦慮している調査団に援助の手を差し伸べるのは至極簡単である。その昔、北朝鮮が魚雷発射訓練した際海中に残された「魚雷部品」がどう流れ流れてか、たまたま韓国の「底引き網漁船」の網に引っかかり、どこかに保管されていたとする。それを持ち出して今回あらたに爆発現場で回収されたように見せかけて、調査団をも騙せばよいのである。そのようなことは謀略のプロの手にかかればお茶の子さいさいである。

おわり