木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

広島カープというプロ野球球団に見る世の中に通じる様々な要素

2015-06-11 21:39:45 | インポート
 球場のような数万人が集う場所の熱気は気持ち良いし、数万人
単位の観客が応援している球団の選手のプレーに一喜一憂する
様はまるで集団としての意思であり、野球そのものを楽しむ事以外
に世の中に通じる様々な人間的要素を発見し得て面白い。
 プロ野球と一言で述べても、球団からすれば経営である。球団
フロントからすれば組織であり、現場のチームの監督やコーチの
首脳陣からすれば指揮、管理、仕事であり、グランドでプレーをす
る選手達からすれば生活のかかった、年俸に一挙一動が査定され
影響する仕事である。また観客からすれば趣味としての観戦であ
り、また娯楽でもある。
 プロ野球もそれぞれの立ち位置でこれ程に風景が違う。
 しかし観客も娯楽や趣味で観戦している筈がいつしか我が事と
して選手や球団の勝敗やプレーを認識するようになり、一喜一憂
し時に喜び時に不愉快になっていく。

 いくらふがいない戦いをしてリーグ最下位にいるプロ野球球団で
あっても、甲子園で優勝した高校野球の選手と試合をすれば圧勝
する。プロ野球の水準はそのようなプロのレベルにあるプロ同士の
戦いであると観客も分かり切った上での愚痴であり、野次であり、
苦言であり、叱咤激励なのである。
 一昔前は今のように人々の娯楽の幅も多様でなく、会社員等は
職場から帰宅して妻の晩酌を頂きながらプロ野球中継を見るとい
う姿が圧倒的多数の世の社会人男性の娯楽の姿であった。
 この10年来は娯楽の幅が広くなり時間の過ごし方が多様になり
一昔前のようにプロ野球観戦があたかも自分達の自我であるかの
ような時代ではなくなりつつある。
 それでもたかがプロ野球、されどプロ野球である。

 私はプロ野球では広島カープのファンである。
 最近では「カープ女子」と表現される若い女性達が広島カープを
応援したり観戦に出かける姿がブームとなり嬉しい限りである。
 球場も爽やかな観客の姿が増えてプロ野球観戦スタイルも昔と
比べれば様変わりしている。
 カープ女子の成功と定着を他球団が傍観する筈もなく、多くの
球団が地方球団だった広島カープの「カープ女子」ブームによる
人気の全国的な広がりと浸透を参考にして女性ファンの開拓に
本腰を入れ始めた。
 オリックスはオリックスを応援する女性ファンを「オリ姫」と呼称し
てファン層開拓に躍起となっている。
 さて、その広島カープであるが今年はセリーグ開幕前には多くの
評論家やプロ野球OBから優勝候補に挙げられていたが、リーグ
のほぼ半分近くが経過した現時点でセリーグ最下位に低迷してい
る。ファンの私もストレスが溜まり携帯機種で試合の速報を見る度
に逆転負けや打線の沈黙で連敗を重ねる模様に何度も不愉快に
なった。
 
 広島カープの野球をウオッチする事はいつしか世の中の組織や
人間模様、人間心理、人模様にも相通じる要素を見出すことにも
なり有意義である。
 私はいつしか単に広島カープが勝った負けたという視点ではなく
広島カープの試合パターンや繰り広げられる選手模様、試合の動
向などに世の中にも通じる多くの人間ドラマや要素を見出し、有意
義に感じている。
 プロの野球選手が集まれば1つの集団となり、そこで集団として
の呼吸や意思が生じる。
 当然、対戦相手もプロ球団でありプロとプロとの試合において何
故、広島カープが競り負ける事が多いのか、またよく同じ連敗のパ
ターンを繰り返すのは何故かと興味を持ってウオッチしている。
 広島カープは時に4連勝や5連勝をする事があるが、連勝が途切
れた後に必ずまとまった連敗を重ねる癖がある。24年間このパター
ンを脱しきれない。これでは上位には浮上できない。
 そしてパリーグとの交流戦も11年目に入ったが例年、壊滅的に
パリーグに負け越して交流戦まではそこそこペナントレースを戦って
いても交流戦で壊滅的になりペナントレースまでが壊れてしまう年度
を例年のように重ねてきた。
 パリーグはセリーグと違って打者が破壊力があるバッターが多く、
パリーグ球団の打線もセリーグ球団より強力で、かつパリーグの投手
も実力派が揃っているためか広島カープはパリーグ球団になかなか
勝てない。加えてパリーグへの研究が不足してるのか、例年同じ大敗
を繰り返してきた。

 野球のプロが何故、同じパターンを何度も何度も繰り返すのだろうか。
 野球のプロが集って1つの集団となった時の集団メンタル、集団意思、
球団体質の要素が大きいのではと一人のファンとして感じている。
 対戦相手もプロの球団である。
 当然ながら相手球団も毎年、補強を行い連日、練習やミーティング、研
究もしているのであるが他球団と広島カープとは何が違うのだろうか。
 野球のレベルや野球の技術は似たようなもので同じプロのレベルである。
 では何が違い、なぜ差がつくのだろか。
 この24年間、優勝から遠ざかって一昨年と昨年の3位がやっとのような
低迷した状態を重ねる中で広島カープも広島カープファンも、
「広島カープには資金力がなく補強ができないから。」
「広島カープは選手を育ててもフリ-エージェント制度で他球団に良い選手
を引き抜かれてきたから。」
という理由に胡坐をかき、安堵してきた節がある。
 しかしパリーグで当初は弱小球団だった楽天イーグルスが球団創設9年
目にしてパリーグ優勝、そして巨人との日本シリーズも制し堂々の日本一
になった。更に今年は長年下位に低迷してきたDeNAがまさかのセリーグ
首位争いを快走してる。
 DeNAも選手の年俸は広島カープとほぼ同じような水準であり、大型補強
もしていない例年通りの補強とチーム編成の中でもしも今年、DeNAが優勝
争いを最後まで行うなり、セリーグ優勝でもしようものならば、広島カープも
広島カープファンも従来の言い訳が通用しなくなる。

 私はファンとして私なりに長年に渡り広島カープをウオッチしていて感じる
のは、広島カープは野球の練習だけしかしていないのではないかという懸念
である。
 打つ練習、守る練習、走る練習、その他諸々の連携プレー等のような野球
に関する物事ばかりしかしていないのではと感じている。
 野球のプロ集団なのだから野球の練習や野球の研究ばかりするのは一見、
自然に見えるかもしれないが他球団もプロとして同じように補強、練習、研究
をしている中においては野球の練習や研究をしているだけではいつしか置き
去りにされる。
 まさに今の広島カープがそのような状態であろう。
 広島カープはプロ野球12球団の中で最も練習量が多い事で有名である。
 広島カープの猛練習、猛特訓は他球団の選手が語り草にする程に有名で
ある。
 しかし、練習量の多さに酔っていないだろうか。
 野球漬けのキャンプ、練習量の多さだけに満足していないだろうか。
 練習量が多い事が野球レベルの向上や他球団との競り合いに勝つ事に
つながっていない。
 また練習量が多過ぎて広島カープの主力選手が他球団の選手よりも頻繁
に怪我や故障をしている。練習ですり減らして試合本番でへばっている、精
彩を欠いているという事例がよく見られる。
 野球だけの練習でなく、競り合いに際して競り勝つためのメンタル、勝負所
で競り勝つ強さの研究が足りないように見受けられる。

 ある広島カープの投手は練習で300球を投げてフラフラになり、投球練習場
ではコーチや関係者が練習量の多さに酔ってベタ褒めをして喜んだが、結局そ
の投手は疲労が蓄積したのか肘を痛めたのか、試合本番で精彩を欠き相手に
打たれて大量失点をして降板した。
 今ではその投手を1軍の試合で見ることはない。
 根性根性、ど根性というだけではプロ同士との試合には勝てない。
 野球を取り巻く様々な要素、環境の研究と何より生身の人間である選手の
身体とメンタルの訓練、その最適調和の研究と実践が不可欠に思われる。
 広島カープはあらゆる取り組み内容を見直すべき局面にあるのではなかろ
うか。
 この要素は何もプロ野球球団に限ったことではない。
 企業でも営業マンでも、多くの世の中の組織や人材において相通じる要素
ではなかろうか。
 そのような視点から、広島カープの野球や諸々をウオッチする事は様々な
世の中に通じる物事を見出せて有意義である。

コメント (1)
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