木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

締結か漂流か、TPPを巡る状況

2015-06-01 21:16:00 | インポート
 先日、東京都内での勉強会と理事会を終えて最終新幹線まで
の時間を利用して東京の南青山を散策していると見慣れたケン
タッキーフライドチキンの店舗があった。
 よく見るとケンタッキーフライドチキンは100%国内産の若鶏を
使用しているとの事であった。
 ちなみにこの南青山のフランチャイズ店は沖縄県、鹿児島県、
千葉県、茨城県、栃木県、福島県、宮城県、山形県、岩手県、
青森県、北海道の農場で育てられた若鶏を使用しており、当日
のオリジナルチキンは岩手県と鹿児島県の農場の若鶏の肉を
使用しているとの事であった。
 最近は食に対する安心や安全を求める消費者の目も厳しくな
り、このようなフランチャイズ店でも契約農場のような体制を取っ
ている。

 しかしTPPが万が一にも締結されたなら、このような契約農場
や地産地消も穀物メジャーの大資本によるISD条項の乱用で完
膚無きまでに潰されて、日本の消費者は国外の農薬や薬漬けさ
れた鶏肉ばかりを口にせざるを得なくなり、安全も安心も破壊され
健康を害していくのだろう。
 南青山辺りを散策しながらふと思った。

 基本的にテレビや新聞に露出する学者や評論家の中で本当の
事を国民の立場から唱えている人は極めて少ない。
 本当の事を述べる学者や評論家は決してテレビや新聞に出演
または掲載されない。
 本当に日本国民の事を思えば、例えば「TPPは阻止」「集団的
自衛権の行使は破滅への道」という視野にある学者や評論家、
政治家が本当に日本国民の立場に立った国士である。
 ところが国士を自称する人がTPPを推進し、集団的自衛権を
行使するべきと意見を述べている。これは国士ではなくどこかの
代理人かエージェントであろう。
 TPPが万が一にも締結されたなら外国資本が日本という国家
よりも上になる。この事実を伝えているテレビや新聞、学者や評
論家はいない。
 つまりビルゲイツ氏やザッカーバーグ氏のような外国資本家が
日本の法律やあらゆる取り決めを決定していく世の中になる。
 そうすると国会でのあらゆる審議は無意味になり、あらゆる日本
国内法は有名無実になり、日本国内法より上のTPPに合わせた
内容に改正しなくてはならなくなり、国会はその改正作業の場に
過ぎなくなる。
 この事実を伝えているテレビや新聞はない。

 TPPはあらゆる全ての物事を支配する。
 いかにして国家を外国資本が多国籍企業を通じて合法的に完膚
無きまでに支配するかというための全知全能を注いだシステムで
ある。それゆえに秘密交渉になるのである。
 万が一、TPPが締結されても4年間は締結内容を公表してはいけ
ないという理不尽な取り決めである。
 また国会議員でさへTPPの内容を閲覧する事が許されず、一握り
の多国籍企業顧問だけがTPP内容の閲覧を許されている。
 この事実を伝えるテレビや新聞はない。
 5年程前にトヨタがアメリカで不具合があったとされ、リコールの嵐
が吹き荒れた。トヨタ社長はアメリカの公聴会で吊るし上げられ大バッ
シングを浴びた挙げ句、結果はアメリカ人運転手がブレーキとアクセル
を踏み間違えた自損事故だった事が判明した。
 しかし訴訟を嫌がるトヨタは賠償金ではなく巨額の「和解金」を支払う
事になった。TPPが締結されたならISD条項により、トヨタがされたよう
な事例が日常茶飯事になる。
 日本車がよく売れると理由をつけては日本という国家を訴訟し、地産
地消が外国農作物の流通を邪魔しているとして国家を訴訟し、薬事法
が邪魔になると国家を訴訟する世の中にされる。
 またTPPにより自衛隊の機密も失われてしまう。
 資本の論理と国家、国民という視野は異なっており、地域らしさ国家
らしさ私達らしさを守るためにもTPPは阻止しなければならない。

 例えば企業関係者の方々はよく知らされないままに「TPP賛成」と
言っている人がいる。
 スズキ自動車の鈴木会長ですら最初はTPP賛成と言っていたが
TPPの中に軽自動車を廃止せよとある事に気付き、急に反対に転じた。
 日本に軽自動車があるために外国車が日本で売れない、軽自動車の
存在が公平な自動車販売を阻害している、だから軽自動車を廃止せよ
というのがTPPを通じた外国資本の意思である。
 このような背景に多くの人々が気付かない。
 またある日の産経新聞朝刊の正論における東洋学園大学教授の櫻田
淳氏の投稿には首をかしげた。TPP推進を唱え、集団的自衛権の行使を
唱える投稿内容を読む限り、櫻田淳氏はエージェントなのかと疑ってしまう。
 また櫻田淳氏は「日本はアジアではなく太平洋だ」と述べているが、その
ような二者択一の発想は良くない。
 日本は「アジアにも太平洋にも重要に関わっている」のである。

 身近な感覚から言えば万が一、TPPが締結されたなら小学校の給食で
「地元で採れた美味しい野菜や食材を使う」という地産地消がISD条項に
より訴訟され、日本政府から各自治体を通じて地産地消を廃止するよう
条例を改正される事になる。
 先にも述べたが軽自動車がアメリカ車の販売の阻害要因としてISD条項
で訴訟されるために軽自動車メーカーは甚大な被害を受け、渋滞などで
日本の道路交通法が欠陥だ、日本も右車線の走行に改めろ、等々何かと
理由をつけられては日本政府がISD条項で訴訟され、巨額の賠償金を支払
う事になり同時に日本が日本ではなくなっていく風景が次々と生じていく事
になるであろう。
 TPPが締結されれば主権国家としての日本は終わる。
 一人でも多くの人々がこの事実に気付くべきである。

コメント (1)
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