木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

お盆の時節に瀬戸内にて

2010-08-12 18:32:53 | インポート
私は故郷を離れてから瀬戸内海の美しさは映像や写真で
見る地中海に優るとも劣らないものだという自覚を持つ
ようになった。
刻一刻と海の色彩が変化していく。島々が合わせて刻一
刻とシルエットを濃くしていく。今、私は海沿いのカフ
ェテラスの眼前が瀬戸内海の内海と多島美の織りなす色
彩的美しさの中にいる。

少年の頃はこの風景しか知らなかったからこれが美しい
ものやらどうか、その良さに自覚が無かったものだ。外
の世界を知らなかったから例えそれが世界に誇ることの
できる美しさであっても、その価値に気付かないまま少
年の日々を過ごしてきたと今振り返ってそう思う。

賑わう店内で若い女性客が4人で談笑している。漏れ聞
こえくる会話から察するに大阪に進学か就職か何かで出
て暮らしており、このお盆に帰省してきて久しぶりに再
会した仲良し組のようだ。
年を重ねるに連れて帰省する度に同じように帰省してき
て大阪だの姫路だのと今生活している地名が会話の中に
散見される光景が増えてきた。

一度故郷を離れて外に出て暮らしてみて初めて今住んで
いる街の事や故郷の良さを認識できる。つまり故郷を離
れて暮らすという事は今の暮らしている街と故郷とを同
時に認識できる事になるのである。例えば大阪辺りから
尾道に来た人々の大抵は坂の街並みや千光寺から見渡す
尾道水道の眺めに感嘆し喜ぶ場合が多いが少年の頃の私
は毎度の日常の眺めの一つであり、この眺めや街のどこ
が外来者の心をつかむのか不思議だったが、私も大学進
学と共に瀬戸内海圏を出て関西に暮らすようになると、
時折帰省するその度に例えば尾道に旅情を感じ感嘆した
り、故郷一帯を改めて美しいと認識するのである。
やはり人間は一度その日常の外に出てみないとその日常
すら認識できないものかも知れない。

一度この瀬戸内海文化圏から外に出て今は大阪で暮らす
者として私は広島県、岡山県、山口県、兵庫県そして九
州、四国の瀬戸内海側の自治体とが一帯となって広域的
に瀬戸内海の観光資源の整備と連携と、島々も併せた世
界に誇れるこの美しい内海をプロデュースする試みと発
想が育って欲しいと願う。
外に出たからこそ見える。瀬戸内海は歴史や文化の宝庫
でもある。発想次第ではこの瀬戸内海が世界に冠たる美
しきマリンロード、マリンパークとして飛躍できる可能
性に満ちている。

コメント
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