木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

食と人

2004-03-05 00:49:39 | インポート
 各地の養鶏場を鳥の伝染病が襲っている。意図的に社
会不安を煽るような憶測や推測は慎むべきだが、しかし
客観的でかつ予防的な情報は必要でもある。
 今日、細菌学や免疫学及び保健衛生の普及と進歩により
家畜や鳥などの動物の伝染病なども明るみになるように
なった。おかげで多くの人々は予防線を張ってある程度
は対応できるようになった。
 
 鳥インフルエンザも確認されたのは1996年辺りとのこと
であるが、それまでの時代に全く存在しなかったというよ
りも、医療や検疫などの向上により最近になって認知され
るようになっただけで、かなり昔から存在していたと見る
ほうが自然かもしれない。
 家畜や鳥は太古から存在している。

 思えば中世の時代、中世欧州で実に多数の人々が病に倒
れて命を失う疫病が蔓延した。原因不明の疫病であるとか
ペストであるとか、そういう視点で当時の世の中を見てい
たが、実は今日のような動物から動物へと感染する感染病
であったという可能性はないのだろうか。
 古代や中世の社会には抗生物質や消毒はほとんど無く、
病に苦しむ人々に呪文や祈りの儀式をするくらいしか当時
の医者も為す術が無かった。医療というよりも教会の力が
求められるような、そういう世の中であった。
 放牧や移牧のような生活様式を持つ生活圏なら、医学の
未発達な時代には多くの犠牲を出していたという可能性も
全く否定はできないだろう。

 鯉ヘルペス、牛の病、鳥インフルエンザ等、養殖用の存
在となった動物ばかりであることに気付く。肉食品用途の
ために人工的に受精させられ、生まれてきて、そして化学
肥料や人工飼料などを常に食べている動物は免疫力が著しく
低いのかもしれない。
 これが本当に最近生じた病気なのだとすれば、養殖や大量
飼育に原因があるとも言える。

 消臭や抗菌、冷暖房完備の空間や気密性の高い居住空間に
なれた人間もやがては免疫力の著しく低い存在になっていく
のか。人が動物のような人間というものから、無機的な存在
になった時、意外な症状や病気に悩まされるのかもしれない。

 食の安全のみでなく、食の健全や安定供給、食糧自給率
などについて考えさせられる日々が続いている。

コメント
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