「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「屁糞葛・へくそかずら」

2006-08-24 21:32:01 | 和歌

 炎天下の草原は、草いきれしていた。

 はびこる草叢に、足を踏み入れてほどなく、あれ「おなら」かな、と思われる匂いがして辺りを見渡した。もとより人影は見える筈もないのに、と思いつつ数歩進んで、はたと気がついた。「へくそかずら」だ! 案の定、つつじに「屁糞葛」が絡み付いて花を咲かせていた。





 離れて見れば可憐な小花が、あちこちに咲いている。もっとよく見ようと近づいたら、あの「おなら」とは少し違うが、何とも個性的な「匂い」が鼻をついた。カメラに収める間だけ我慢したが、それにしても「花の香り」とはとても思われない異臭である。「屁糞葛・へくそかずら」とは、誰が付けたか誠にヒドイ名前ではあるが、匂いからすれば当に「打って付け」の名前だ。

 例によって、念のため花図鑑のお世話になった。別名を「灸花・やいとばな」、また「早乙女花・さおとめばな」と書いてあった。






             誰ならむ 花の名前を付けかねて
 
             余りに酷し「屁糞葛」は
 


             さは言えど花の香りにあらずにや
 
             人くさきかな屁糞葛は
 


             いと惜しき小花なるかも紅の
 
             こころを壺に秘めて咲くとは