「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「むくげ」

2006-08-11 23:07:29 | 和歌


 暑さの夏には、槿が良く似合う。

 照りつける太陽のもとで、或いは木漏れ日に咲き、通り雨に濡れた槿など等、「むくげ」は様々な表情を見せてくれる。

 「むくげ」は、「木槿」の音読み「もくきん」が 変化したとも、或いは韓国名の「無窮花(ムグンファ)又は(訓読のムキュウゲ)」が変化したともいわれる。早朝に開花しても夕方にはしぼむ「一日花」ゆえ、「槿花一朝の夢」等と「人の世のはかなさ」に例えられるが、次々に花が咲くので、韓国では繁栄を意味する花として国花になっているそうだ。白花の蕾を乾したものが生薬の木槿花(もくきんか)。茎や根の皮を乾燥した木槿皮(もくきんぴ)は水虫の生薬として有名だが、虚庵居士は試してないので、効能のほどは知らない。

 人間様の思いを知ってか知らずか、「むくげ」は今日も爽やかに咲き続けている。






             蝉しぐれを涼やかに聞くむくげかな
   
             白妙の花 風にひらめき
   


             儚くもむくげの花は散りぬるに
   
             もののあはれは乱れぬ姿ぞ
   


             花も身も人に尽くすは槿かも
   
             すがしきなれの想ひを聴かまし