「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「茗荷」

2006-08-08 12:42:45 | 和歌

 「うつろ庵」の裏庭の隅には茗荷を植えてあるが、虚庵夫人は朝方、片手に余る茗荷の花芽を摘んできた。

 既に薄く透ける花を付けているものもあって、「ふっくら」とふくよかな形が何とも言えない。
絵心があれば、早速に写生して一首を添えたいところだが、取敢えずカメラに収めた。

 立派な茗荷に触発されて、「素麺」が食卓に供された。朝取りの茗荷を薬味に、その香りが食欲をそそり、清涼な昼食であった。茗荷を食べると「忘れっぽくなる」と俗に言われるが、虚庵夫妻は元々「忘れっぽいタチ」ゆえ、茗荷の影響の有無は定かでない。

 この茗荷は、現在の住まい「うつろ庵」に引っ越して来た際に、お仲人の労をお執り下さったN様から、新居祝いに一株頂戴したものだ。思えばあれから既に三十余年、毎年の真夏の猛暑を凌げたのも、茗荷の恵によるところ大であった。深く感謝している。






             幼児をふところ深くにかき抱く
   
             母の姿を 茗荷に観しかな   



             乳呑み児は母のふところかき分けて
   
             顔のぞかせぬ夏の朝に   

 

             蝉しぐれ素麺すするこの夏も
  
             茗荷の薬味に猛暑を凌がむ