「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「浜木綿・はまゆう」 

2006-08-05 23:00:10 | 和歌

 浜木綿の自生北限は三浦半島だという。虚庵居士の住む三浦半島の横須賀では、自生ではないが彼方此方で何時も見かける「市の花」だ。

 浜木綿はかなりの期間にわたって咲き続けるので、細い花びらが枯れて纏わり付き、大抵の浜木綿は見苦しい姿を晒すのが常だ。時期的には遅い筈なのに今日出会った浜木綿は、珍しく新鮮なままの姿で、思わずカメラに収めた。






             浜木綿の白妙初しき花びらの 

             細きが絡みてぼんぼりなすとは 



 「はまゆう」といえば、宮城道雄の最後の作品が、歌曲「浜木綿」であった。図らずも今年は、彼が事故でお亡くなりになって、ちょうど五十年になる。虚庵夫人が琴を嗜み、お稽古を続けているので殊更に身近に思われ、彼の感性の鋭さには何時も痺れさせられる。

 浜木綿は花を咲かせ、人々にひと時の感動を与えて、やがて枯れて散る。今週の初めに若くして亡くなった友人も、爽やかな笑顔を残して旅立った。
宮城道雄に、そして友人にも浜木綿を手向けて、しずかにご冥福を祈りたい。






             はまゆうに琴の調べの聞こえ来て 

             宮城道雄を偲びぬるかも 



             か細くも紅そむる雄しべかな

             白き花びらゆかしく守るは