「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「夏菫・なつすみれ」

2006-08-22 18:46:12 | 和歌

 背の低い「なつすみれ」の花が、紫紺と薄紫と鮮やかな黄色を織り交ぜて咲いていた。





 この「夏菫」の花の色は赤、ピンク、青、紫などさまざまであるが、真夏の花枯れのこの時節に、華やかではないが咲き続けて、目を愉しませてくれる草花は貴重だ。

 念のため花図鑑で調べたら、「夏菫」の他にも花瓜草(はなうりくさ)、蔓瓜草(つるうりぐさ)、トレニアなどと色々な呼び名があるようだ。序に調べたら、花はごく小さいが「瓜草」という雑草が見つかった。「夏菫」の花や葉によく似ているので、ご先祖様ではあるまいかとルーツ辿りの想像を逞しくした。

 可憐な雑草の花を愛で、交配を重ねて、園芸種にまで育て開発した園芸家、或いは植物学者がいるに違いない。単なる想像ではあるが、その様な御仁は、金儲けのビジネス手段というよりは、多分、美しさの追及に人生を賭けて居られるのかもしれない。一つの花を作り出す歓びは、金には替え難いものに違いあるまい。






             名にし負う芙蓉と華を競はずも
   
             炎暑の陽射しに夏すみれ咲く   



             夏すみれのご先祖ならめ面影の

             相似る雑草 瓜草の花



             人の世も草花なれど尊くも

             血脈引き継ぐ定めなるかな