「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「紅白の槿」 

2006-08-18 19:32:20 | 和歌

 薄赤紫の「八重槿」と「底紅」が、遊歩道を挟んで相対して咲いていた。

 先ほどパラついた雨の雫が、「八重槿」の花びらに数滴残っている表情は、顔をくしゃくしゃにして泣き明かした乙女の風情だ。何とも人懐っこい槿だ。





 道の反対側に咲いていた「底紅」は、純白の大輪の花芯に、鮮やかな濃い赤紫と淡黄色の蕊が、見事な調和を保って、キリッと咲いている。カメラを構えていたらザワザワッと風が吹き抜けて、「底紅」の雫は振り払われてしまった。雫が無いこともあってか、こちらは歳若い貴公子然とした気配で、「八重槿」とはお似合いのカップルに見えた。

 「底紅」はお茶花としても活けられる故であろうか、「宗旦槿」とも呼ばれているようだ。蝉しぐれの喧騒の中で、心を鎮めて一服の茶をすするのも、悪くない趣向だ。






             紅白の槿の花と語らへば
   
             蝉はしぐれぬヤキモチ妬くにや



             蕎麦屋まで炎暑を避けむとゴルフ傘に

             妻寄り添えば「ご両人」の声


 
             一服のお薄に代えて 蕎麦湯割りを
  
             口に含みて蝉しぐれ聞く