Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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ハリケーン取材

2008-09-05 02:56:23 | 北米
ハリケーンの取材のため、先週土曜に出発しルイジアナへ行ってきた。

すでに空港は閉鎖されていたので、シカゴからメンフィスまで飛び、そこから車で6時間ほどかけてニューオリンズにはいる。この町は前回のハリケーン・カトリーナ以来3年ぶりだ。

ハリケーンのような災害取材は、撮影そのものよりも、その準備に手間がかかる。ビジネスがみなシャットダウンしてしまうので、ガソリンや水、食料をあらかじめ調達しておかなくてはならない。カトリーナの直後に上陸したハリケーン・リタのときなど、ヒューストンに到着してから、ガソリン・タンクを探して3時間も走り回る羽目になった。すでに住民の避難が始まっていたので、どこの店でも売り切れになっていたからだ。

今回はメンフィスで資材を買い込み準備万端でニューオリンズにはいったのだが、カトリーナよりも強力になるといわれていたグスタボは結局勢力を弱め、予想されていたほどの被害をだすには至らなかった。

カトリーナの悲惨な被害経験に加え、「退避勧告を無視して町に残った人々は助けない」という市長の深刻な脅かしもきいて、今回は多くの市民達がハリケーン上陸前に町から避難した。そんな市民達にとっても、駆けつけた僕らのような報道陣にとっても、ちょっと拍子抜けした顛末ともいえるが、まあ被害が少なかったにこした事はない。

しかし、今回も例の如くテレビの過剰報道には少々うんざりさせられる思いに。。。

ハリケーン上陸の日にも、例の如くアナウンサーがわざわざ風の強い通りにでて、マイクに向かって騒ぎ立てるわ、堤防からの中継では今にも堤防が欠壊するかのように危機感をあおり立てるわで(確かに水かさは大分高くなっていたが)、これでもかといわんばかりに大袈裟な報道を繰り返す。

CNNは、一番の看板レポータ、アンダーソン・クーパーまで投入してきたが、彼もホテルの前の通りから吹き飛ばされそうになりながらさんざん騒いだあげく、被害がそれほどでもなかったとわかると、翌日にはとっとと共和党大会の開かれているミネソタの方へ飛んでいってしまった。

「なんか違うんだよなあ」とは思いながらも、結局のところなるべくドラマティックな見せ方をしないと視聴率がとれないのだろうと、彼らに少々同情も感じてしまう。

まあそういう僕自身も、はじめの予定を大幅に短縮して、5日目にはシカゴに戻される事になったのだが、住民達にとってはこれからが大変なところだ。

被害が小さかったとはいえ、多くのコミュニティーでは木や電柱がなぎ倒され、浸水の被害が出た。まだ電気が復旧していない町も多く、避難先から自宅に戻ってきた人々が「普通の生活」に戻れるまでには、しばらく時間がかかるだろう。

(強風でなぎ倒された屋根とポンプを建て直そうとするガソリンスタンドのオーナー)









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