Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

またイラクへ

2007-06-08 03:29:30 | 中東
今日午前中イラク入りした。

2003年の米軍侵攻以来、早いものでもう4年。僕のイラク入国ももう6度目になる。



今回もこれまで同様、米軍に従軍しての取材になる。すでに何度も書いているが、現在のイラクでは外国人が自由に独立して取材するのは不可能に近い。誘拐事件があまりに多発しすぎていて、ひと目で外国人とわかる人間が、街に出てインタビューや写真撮影などできる状態ではとてもないからだ。(過去のイラク取材状況については以下のリンクへ)

http://blog.goo.ne.jp/kuniphoto/e/1fa2a3bd63004d4560370ed826075092

http://blog.goo.ne.jp/kuniphoto/e/bf04fcc409059e47e470b03aae098da5

従軍の始まる明日までの一日を、久しぶりにトリビューンのバグダッド支局のあるハムラ・ホテルで過ごす。


一昨年、昨年ともイラクには来たもののバグダッド支局に寄ることができなかったので、現地のスタッフ達と会うのも2年ぶりだ。みな元気そうではあるが、毎日のようにおこる爆弾テロや誘拐で治安の悪くなる一方のバグダッドで、彼らの生活も変わらざるを得なくなっているようだ。一人は家族をすべてシリアに非難させたし、残りのスタッフたちも今年中には同じことをと考えているという。



僕自身も毎年イラクに戻るたびに政情が悪化していることを実感せざるを得ない。2年前ならまだ空港に迎えに来てくれたスタッフ達と抱き合って再会を喜んでいるところを、今では挨拶もそこそこになるべく人目につかないようすばやく車に乗り込み走り出さなくてはならない。ドライバーも尾行されていないか神経をぴりぴりさせながら運転し、ホテルの部屋についてようやく一息つける、といった具合なのだ。



今回はこれまでのようにニュースの報道が目的ではなく、社のプロジェクトの一環でイラクにやってきた。米軍のひとつの部隊に焦点をあて、その兵士たち、そしてアメリカ国内に残された家族たちの1年を追う、というものだ。僕と一人のレポーターがイラクにいる部隊を取材し、もうひとつのチームが米国内の家族を担当する。だから、4週間ほどの今回の取材が終わっても、年内中にあと1,2回はまたイラクに戻らなくてはならなくなりそうだ。



プロジェクトの性格上、取材はもちろん米軍からの視点になる。いわば「侵略する側」からの視点だ。しかし現在のイラク情勢や、米新聞社のカメラマンという立場から考えてみても、従軍取材は自分に残された唯一の方法だし、こればかりはもう仕方がない。



たまたまこの時代に生まれたために戦地に送り込まれた米兵たちと、その家族の苦悩を取材しながら、同時に従軍という狭い窓口をとおしてでもイラク一般市民の視点が抜け落ちないような写真を探していくしかないと思っている。





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7 コメント

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Unknown (硝子)
2007-06-08 22:13:29
情勢や治安の悪化や取材上の制限もあり大変そうですが、高橋さんの視点での写真、報告をお待ちしています。取材のご無事と成功をお祈りしています。
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Unknown (miura)
2007-06-09 09:27:38
テーマがちがうと、また見えてくるものも違うかもしれませんね。
報道する方々のご家族もいろいろな思いをお持ちでしょう…。
ご無事で戻られたご報告をお待ちしております。
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Unknown (Unknown)
2007-06-10 01:22:16
能書きはええからええ写真撮ってこいや!!能書きたれるカメラマンは基本的に写真が下手だ!!
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いってらっしゃい。 ()
2007-06-11 11:11:15

いろんな事情があると思いますが 心を強くもって、自信を持ってのぞんでください。
シャッターを押す瞬間に 自分が出ます。

誰に何と言われようと、高橋さん、私はあなたの写真が好きです。
期待していますよ!

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Unknown (ゆうこ)
2007-06-11 13:06:43
気をつけて行っていらしてください。
そして、帰ってこられて発表される写真をお待ちしています。
写真を見るときは、その写真を見ていますし、高橋さんの文章を読むときはその言葉を受け止めています。
私はカメラマンとしての高橋さんを見ると同時に一人の人間としての高橋さんを見ています。
共感できることの多い同じ時代に生きる人間として、受け止めています。
私も期待を持って、帰って来られて発表される写真と、このブログでの書き込みを待っています。
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新しいプロジェクト (**kom)
2007-06-11 15:45:22
大統領選の風に乗ったブロジェクトなのかな、と思いながらそれでもチャンスではあると思いました。

最近、日本では研究者やジャーナリストや起業家のなどの個人のサイトに罵倒を入れるコメントが流行っているようです。イラクでこんなことを読まれたら、がっくりすると思いますが「お前の母さんでべそ」的発言とのことなので(笑)、お母さんがでべそかどうか確認してからしか答えられないこともあるので(日本とイラクでは遠かったりして)、その程度のことみたいです。暇があるだけ幸せなもんです。私も彼らも(笑)。


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Unknown (Unknown)
2007-06-13 21:52:46
やっぱもう出発したのですね。またイラク。。。もう米軍にこの変わらぬ状況で従軍するのは気が進まないって言ってたのにね。ずっと、一生応援するけど現地の状況は悪化する中、毎回心配度が増えます。体に気を付けて。。。無事戻って来ることを変わらず祈っています。
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