Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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監禁状態!?

2005-11-26 16:59:25 | 中東
こうなることはわかっていた。

自由に動けない。写真が撮れない。フラストレーションがたまる。。。

だから正直言ってまたイラクに戻ってくることには気が進まなかった。

それでもこの石油プロジェクトからイラクを外すわけにはいかないし、取材先が比較的状勢の落ち着いていたバスラだからまあ何とかなると思っていた。しかしアメリカ人ジャーナリスト、スティーブン・ビンセントが殺害された8月あたりから事態は急転し、現在バスラは誘拐、人質の確率がバグダッドを上回るほどの混沌に陥ってしまった。

2日前に空港のコンテナ宿から市内にあるアメリカ/イギリス領事館の敷地に移動した。こちらもおなじコンテナ宿だが、150ドルもぼったくられた空港のものとちがって宿泊は無料だ。インターネットの回線はさすがにないものの、トイレ、シャワーはついているので問題はない。政府関係者はもとより、技術者、警備関係などの人間がみな住んでいるので、規模は大きい。200棟以上のコンテナがずらりと立ち並んでいる。

この敷地内で、僕はいまほとんど監禁状態!?になっている。

外に出られないわけではないのだが、あらかじめ決めておいた取材地やインタビュー相手の家に、雇ったガードマンとともに車で向かい、人目をひかないようになるべく短時間で取材をすませ、また車に乗り込んで戻ってくる、という具合なので、街を自由に歩き回ることなどまったくできないのだ。

今回はひとつのテーマを撮影しているので、なんとか最小限のものは撮れているものの、これが一般のニュース取材だったらあまりの自由のなさに気が狂っているところだ。

今年1月の選挙取材のときもこんな状態で、結局米軍との従軍取材ばかりになった。従軍していれば、戦闘に巻き込まれることはあっても、誘拐される心配はないからだ。そのときに、こんな状況がかわるまではしばらくイラクには戻れないな、と思ったものだ。

今のイラクには、伝えなくてはならないことは山ほどある。しかしそれを僕ら外国人報道者の手でおこなうことは非常に難しい。限られた取材しかできないからだ。

現場にでなくてはならないカメラマンにとっては状況はさらに厳しい。レポータなら人目につかないようインタビューなどおこなえるが、写真を撮るのはそんなわけにはいかない。悲しいかなこの地は、僕らにとっては欲求不満のたまる、精神衛生上非常によくない土地に成り下がってしまった。。。

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4 コメント

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!? (大輔)
2005-11-26 20:32:41
タイトルが“監禁状態”だったので驚きました。

しかし、難しいものですね。報道しない訳にはいかないし、かといって自らの身をあからさまな危険にさらす訳にはいかない…。

何事も中道を行くのがベストです。
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Unknown (Kuni Takahashi)
2005-11-27 03:28:44
なんでもそうですが、なかなか中道、というのは難しいものです。特に性格上極端なので。。。
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unmistakable (大輔)
2005-11-27 08:31:12
実は俺も同じく、極端な性格の持ち主なので気持ち、凄く分かります。。

でも、どんな時も自分の信念に従っていけば…正しいって思う事をやれば必ず結果が伴うはずですよ!って…何も知らない俺が言うのも何ですけど(^^ゞ

日本にいる人間としては、ひたすら無事を祈るだけしか出来ませんが。。。ファイト~一発( ^ー゜)b
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Re: 監禁状態!? (dumbo)
2005-11-27 10:32:00
kuniさん、ブログ読みました。私も極端な性格の持ち主のまま中東で生活したことがあるので(私の場合とは状況は違ったけれど)、書いてあることにうんうんと頷きながら読みました。発狂しないように気をつけてください!(笑)
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