熊本熊的日常

日常生活についての雑記

「松ヶ根乱射事件」

2007年03月07日 | Weblog
途中で席を立ってしまおうかと思った。でも、立たなくてよかった。正常と異常というものが連続しているということがよくわかって面白かった。誰でも性格とか考え方には他人の理解を超えた部分というものが多少はあるものだ。社会は多くの人々の最大公約数的な規範によって律せられ、そこから極端に外れた人を変人として排除し、病的に外れた人を犯罪者や精神病患者として排除することで平和を保っているのだろう。「正常」に属する人の微妙にズレた性向を寄せ集めるとこの作品の世界になる。

今、多和田葉子の本を読んでいる。ここに登場する人たちも、少しズレた感じがする。何かが変な感じがするからこそ生々しい。まるで人の心象をそのまま描いたような話なのである。

最近、銀行のキャッシュカードを生体認証付きにした。そして気がついたのだが、私の指はまっすぐでない。曲がっているというのではなく、ねじれているのである。そのねじれを意識してしまうと、うまく認証できない。ズレていることが現実なのである。私なのに私であると認めてもらえない私がいる。私は誰なのだろう。

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