「夜のピクニック」ー４０年前の青春

作家・恩田陸さんの「夜のピクニック」を通勤の行き帰りに読んでいる。２００４年７月に発売されてから「本の雑誌」が選ぶ2004年度ベスト10で1位、 第2回本屋大賞受賞、第26回吉川英治文学新人賞受賞ーと大変な人気ぶりでベストセラーになった。さらに映画化されてこの秋にロードショーだという。

この小説は、恩田さんの母校の茨城県立水戸一高の「歩く会」が舞台になっている。それを人づてに聞いて、懐かしくてすぐにでも読みたかったのである。というのも私の母校でもあるからだ。

私の青春の思い出は遠くの彼方にあり、いまさら読んでも・・・という気持ちでいたのだが、やはり懐かしさのあまり、いまごろになって手にとり、読み進んでいる。

私にはストーリーよりも、「歩く会」の道々の描写や登場人物の「歩く会」へ感想や構えなどが、私の思い出とそんなに変わらずに語られていて、４０年前のことを「そうだったな」と膝を打つほどに鮮明に思い出させてくれた。

こ れで終わらなかった。突然に４０年前の私が姿を現したのである。この稿を書こうとしなければそれはなかった。いまの「歩く会」を見てみようと、インター ネットで「水戸一高　歩く会」で検索した。その中のひとつの写真が目に飛び込んできた。なんとなく見たような写真だ。見て驚いた。そこに４０年前の私がいたからである。

秋になったら映画館に行こうと思っている。