3月16日(土) 14時から尼崎市立中央図書館で平家物語を読む会がありました。出席者は35名でした。
巻十一 遠矢の続きです。前回は遠矢で源平の武勇でしのぎを削る部分だったが、平家物語はその背景にある戦功をたてたいという関東武士の心、義経がなぜ没落したかなどについて描かれていないない。砂川先生は書き手、読み手の問題かも知れないと説明される。関東武士(特に千葉一族)を詳しく書いた平家物語「源平闘諍録」もあるのだが、全ては残っていないのだそうだ。
慈円の記した愚管抄や吾妻鏡にも壇ノ浦の合戦の記述はあるのだが、リアルな目で書いており、武士の軍の細かいことは書いてない。それが書かれているのは平家物語のみなのだ。
今回は壇ノ浦の合戦時に不思議な話(奇瑞) ①虚空から白旗が舞い落ちた ②1~2千のいるかがぱくぱく口を開けて平家の方に向かってきた と清盛の右腕だった阿波民部重能が息子の田内左衞門が生け捕りにされて源氏方に寝返ったため大将軍の乗った舟を攻められてしまった という段まで進んだ。
奇瑞について史実との関係を資料により検討する。梶原景時が頼朝に送った書状には壇ノ浦では大亀の話、白い鳩の話が書いてあり、また別の軍では白旗の話が書かれている。
なぜ源氏が勝ち、平家が破れたのかについて、平家物語では神様が味方したこと(奇瑞)と恩愛の情(平家物語では出処進退の理由の源泉として書かれることが多い)に駆られ阿波民部重能が平家を裏切ったことを挙げている。砂川先生は「当時は武士たちが味方する側を選べたはずなのに、平家物語は裏切りと鉄槌を下しているのは、武士階級のイデオロギーでは無く、支配階級のイデオロギーで書かれた作品だから」と仰る。
庄下川沿いの道を散歩しながら帰りました。ボケ、ユキヤナギ、桜の花が咲いていました。