垣根 涼介 著 「君たちに明日はない 」を読みました。
村上真介は33才。
一般企業から依頼を受けて、社員の退職斡旋を請け負う、リストラ請負会社『日本ヒューマンリアクト(株)』に所属している。
依頼先の企業の会議室を借りて、先方の人事部になり代わってリストラ対象者との面接をする。
面接とは名ばかりで、実際は自主退職の督促をする職業だ。
退職斡旋をする相手は、辞めさせられて当然の人から、能力があるにもかかわらず派閥争いの都合で辞めさせられてしまう人まで多種多様。
あるものは予期し、またあるものは予期し得なかった宣告である。
プロ意識をもって冷徹に自分の仕事を進めようとする主人公だが、色々な人間関係のしがらみで、どうしても自分の役割に徹しきれない・・・。
世界的不況の昨今、派遣社員切りに始まり、大企業の正社員もが人員削減され一大社会問題となっていますね。
この小説は、リストラされる人間と直接対峙し、リストラを斡旋する側の心の機微が描かれています。
リストラする方も、される方も必死
生きていく現実の厳しさ
自分が生き残るためには一体何をすべきなのか?
内容は切実です。
しかし、その話の中にも、
涙あり、笑いあり、男と女のドラマあり。
読んでいて、
「どんな時でも、誰にでも、明日は必ずやって来る!」
そんな気持ちにさせられるストーリーです。
山本周五郎賞 受賞。