今日十日は中秋の名月。 昨夜、雲間の月を眺めていまたが、特別の感慨はありませんでした。季節感が合わないのか、世相が騒がしいからか。
とは言え我が町でも、月の輝きを感じることができます。大阪湾(茅渟の海)の海面を照らし出す月光です。高校が摩耶山麓にありましたので、遅く帰校するときこの風景を幾度も経験しました。
・月の照る茅渟の海を鏡とし
・鎌倉に大仏居ます爽やかに
・ごみ収集駆ける若者爽やかに
・我が家向け急ぐ肩先蜻蛉居り
・やんま釣り竿で大空かきまわす
今日十日は中秋の名月。 昨夜、雲間の月を眺めていまたが、特別の感慨はありませんでした。季節感が合わないのか、世相が騒がしいからか。
とは言え我が町でも、月の輝きを感じることができます。大阪湾(茅渟の海)の海面を照らし出す月光です。高校が摩耶山麓にありましたので、遅く帰校するときこの風景を幾度も経験しました。
・月の照る茅渟の海を鏡とし
・鎌倉に大仏居ます爽やかに
・ごみ収集駆ける若者爽やかに
・我が家向け急ぐ肩先蜻蛉居り
・やんま釣り竿で大空かきまわす
昨夜の中秋の名月は俳句の絶好の機会と思いながら、一つの句もものにすることが出来ませんでした。月を見ると、何時かは人間が住むのだろうとかあれこれと別の興味が先に来るようです。
次の三句を頂きます。
月の照る茅渟の海を鏡とし
大阪湾が月に照らされて鏡のよう景が摩耶山麓から見られる。まことに広い景を一望にする句をものにされました。古代の人も同じ景を見たことでしょう。中七が時間の流れをうまく表現されていると思います。
我が家向け急ぐ肩先蜻蛉居り
この句も時間の動きをうまく表したものだと思います。上五・中七の人間の忙しさと、下五の空中に止まったかのような蜻蛉、「動」と「静」の対比が鮮やかです。
やんま釣り竿で大空かきまわす
子供の頃を思い出しますが、「大空かきまわす」がこの句のポイントとなるのでしょう。怖い物知らずで、将来大物になるかも知れない子供たち! 世界に羽ばたいて欲しいと作者は願っています。
以上
昨夜の中秋の名月を小生も見ました。大部分の時間は雲に隠れつつあり、すっきり見える時間は短かった。それでも、大きな満月でした。
茅渟の海に映された月は、また格別に風情があったことでしょう。
思いの籠った御句の中から厳選、下記の句を頂きました。
・月の照る茅渟の海を鏡とし
波静かな大阪湾に移った月は、まるで鏡に映し出された月のようにきれいだったと、解釈しました。句からは湾の向こう岸の和歌山の山々まで見えてきて、随分スケールの大きな句になっているように思います。
・ごみ収集駆ける若者爽やかに
朝の限られた時間にごみ取集を行うのでしょう、大忙しのごみ取集の作業に頭が下がります。恐らく、若者がその作業に従事していて、素早い動作で走り回る姿に、作者は感銘を受けられたものと思います。
そこには自分の日頃の動作との差異に、羨望のまなこと称賛の思いが漂っているように感じます。
・やんま釣り竿で大空かきまわす
少年の頃の動作が強く浮かんできます。最初はやんまを静かに追いかけていたものの、うまく捕まえられないと、終いに大空をかき回すことになる。誰もがそのような経験がありそうですが、それをそのまま素直に表現されたのは、大変共感を呼ぶように思います。
少ない投句にも拘わらず、早々に三句までもお採り上げ頂き、うれしく思っています。
今月の俳句教室の兼題が「月・蜻蛉・爽やか」でありまして、いずれも小生に通っては不得意の最たる対象です。
・ 月の照る茅渟の海を鏡とし
お礼のコメントを考えていると、小生の通った高校の校歌に「眺むる茅渟の海面を」との一節があったのを思い出しました。これが下敷きになってこの句につながったと思います。
・我が家向け急ぐ肩先蜻蛉居り
・やんま釣り竿で大空かきまわす
この二句は、いずれも父母とは別に、祖母と二人で出雲大社に疎開していた頃の思い出です。戦時中の最中にも拘わらず、平穏な日々を送れたのが不思議でした。
有難うございました。
葉有露拝
投句早々、つたない句にお目を向けて頂き感謝です。
・月の照る茅渟の海を鏡とし
大阪湾を一望するポイントは,摩耶山上と須磨浦公園頂上でしょうね。「茅渟の海」については、九分九厘様へのお礼文で触れましたが、高校校歌の作詞者は、吉川幸次郎京大名誉教授で、高校(旧神戸一中)の先輩でもあります。
・ごみ収集駆ける若者爽やかに
句意は龍峰様のコメントとおりです。この三年、「エッセンシャルワーカー」との言葉を使われましたが、彼等も当然目を向けられべきです。地の塩の役割を黙々とはたしています。
・やんま釣り竿で大空かきまわす
この句も龍峰様のコメントそのままです。少年の頃の思い出ではありますが、「大空をかきまわす」は、老生となった今もやってみたい気分です。
今回もお世話になりました。
葉有露拝
今日は!!。
9月9日の「待宵の月」、10日の名月(十五夜)、そして昨日11日の「十六夜」と、今年は珍しく美しいお月様を愛でる事ができましたね?例年この時季は台風到来、雨降りなども多く今年は天の神様の哀れみかと思った程でした。
僭越ながら、葉有露様の投句の回を追う毎に巧みになられ、驚いている次第です。
いつものように拙いながら佳句を以下のように鑑賞させていただきます。
☆月の照る茅渟の海を鏡とし
淡路島と大阪の間の海の大阪湾を、「茅渟の海」の海と云うようですね?又これは古の時代より好漁場でありチヌ(クロダイ)が沢山漁獲されたところからのようですね?その大阪湾を俯瞰すれば夜の海面を鏡のようにし、お月様が煌々と照って居るとは、何とスケールの大きな美しさでしょう!!。「鏡とし」との下五の措辞が効いています。
☆鎌倉に大仏居ます爽やかに
鎌倉の大仏様は良くお参りされましたでしょうか?現在NHKにより放映されて居ます「鎌倉殿の13人」なども良くご覧になって居られるのでしょうか?与謝野晶子の歌に「大仏様は美男におはす云々」の一首からも爽やかなお姿が想われます。
☆ごみ収集駆ける若者爽やかに
時折見かけますが、ごみ収集車より若者が降りたち、足取りも軽く何時もキビキビとした動作ですね?大変な仕事ながら見て居ても気持ちが良い程ですね!!。
☆我が家向け急ぐ肩先蜻蛉居り
外出からの帰宅途中でしょうか?概して蜻蛉の類(特に鬼やんまはそうですが)は、何故か人間に興味を示すかのように近づいて来ますね?よくある、思い当たる光景です。
☆やんま釣り竿で大空かきまわす
子供の頃、今の時季であれば蝶は「黒筋揚羽」であり、蜻蛉は「鬼やんま」が目標でしたね?竿出掻き回したことはありませんが、手網(たも)を持っていない時に限り大物に出会い、悔しかったことを覚えて居ります。
お礼がおそくなりました。午前中、俳句教室行っておりました。 今回は全句に目を通して頂き、丁寧なコメント有難う御座います。
・月の照る茅渟の海を鏡とし
浪花の商人は、明石の桜鯛より、チヌを好むとの話があります。商売が黒字で続くようにと縁起を担いでの話とか。
・鎌倉に大仏居ます爽やかに
与謝野晶子は「「美男におわす」と詠んでいます。小生が「居ます」と詠んだのは,親しみを込めてとの表現です。高徳院の境内におられますが、緑に囲まれ街中の住人のような風に座っておられます。
・ごみ収集駆ける若者爽やかに
かつら様のコメントの通りでありましたて、かれらは貴重な存在です。
・我が家向け急ぐ肩先蜻蛉居り
・やんま釣り竿で大空かきまわす
いずれも少年時代の思い出です。やんま用には竿の先端に「とり餅」を練ってつけておきます。これで音をたてないように、やんまの羽を狙います。
いつもながら、それぞれの句に注目して頂き感謝申し上げます。
葉有露