久々の投句です。先日の句会にて詠じたものに、いくつか加えました。 (冒頭の写真は、画家堀文子さんの画文集『命といふもの』より「散りゆく」です)
栗ご飯豆腐のおつゆ刻み柚子
(正岡子規が長塚節から送られた栗を喜んだエピソードにちなんで)
真心の虫喰栗をよろこべり
チンチロリン男ばかりの酒の夜
雨音も密やかになり虫の闇
秘め事のなき歳となり虫絶ゆる
秋風を懐に容れ男ゆく
角帯をきりりとしめて秋祭
今生の今が幸せ花野ゆく
人恋し灯ともしころの富小路
人恋し雨名月の富小路 (追加しました)
たとふれば墨香るごと涼あらた
栗ご飯豆腐のおつゆ刻み柚子
(正岡子規が長塚節から送られた栗を喜んだエピソードにちなんで)
真心の虫喰栗をよろこべり
チンチロリン男ばかりの酒の夜
雨音も密やかになり虫の闇
秘め事のなき歳となり虫絶ゆる
秋風を懐に容れ男ゆく
角帯をきりりとしめて秋祭
今生の今が幸せ花野ゆく
人恋し灯ともしころの富小路
人恋し雨名月の富小路 (追加しました)
たとふれば墨香るごと涼あらた
上五の語呂が気が効いていて、男と酒に軽妙な徘徊味を与えています。
秘め事のなき歳となり虫絶ゆる
虫絶ゆるを深読みしていくと、おもしろい句になります。どう読むかは後は読み手の勝手とか。
秋風を懐に容れ男ゆく
どこかで、お目にかかったような句のような気もしますが、手練の句ですね。
たとふれば墨香るごと涼あらた
清冽かつ品格のある句でとても好きです。
俳句モードにはならないと言いつつも、ハイレベルの俳人の句が並んでいます。
何れも味わい深いですが、敢えて以下の句をいただきました。
真心の虫喰い栗をよろこべり
このような心をつに持つようにしたいものです。本当の侘び寂びに通ずる心かも知れません。
秘め事のなき歳となり虫絶ゆる
悟り切るには早すぎるでしょう。せめて「虫絶ゆる」は「虫の息」で行きましょう。
秋風を懐に容れ男ゆく
浪曲天保水滸伝(侠客笹川繁蔵と飯岡助五郎の物語)の出だしの部分 "利根の川風袂に容れて月に棹棹さす高瀬舟 ーーーー"の名調子を思い出しました。今が男1匹、華やかに肩で風を切る刻、作者の意気込みが伝わってきます。
たとふれば墨香るごと涼あらた
なんと爽やかなそしていて心の清明なことでしょう。作者の日頃の佇まいが伝わってきます。
三句もおとりいただき、そしてそれぞれに過分なお言葉をいただき、俳句モードが低調な私めにとってとても励みになりました。ありがとうございました。チンチロリンは、松虫のことですが、この方がおっしゃるように俳諧味が出ていいのかと思っています。最後の”墨”の句ですが、習字の時に墨汁ではなく、墨を硯で磨っています。あの香りがとても好きなのです。
本当に俳句に関しては少々落ち込んでいました。しかし、こうして皆様に
拙句をご覧いただき講評をいただくと、とても嬉しくなり、またやらんかなの気持ちが湧きだしてきました。お付き合い「いただき、ありがとうございました。
「虫の息」は面白いですね。頂きます。「墨香る」の句ですが、即興で湧いてきました。自分でも気に入っています。たまたま前日習字の時に万葉仮名で詩文を書いており、墨を磨っていたらその香りに秋の涼しさのようなものを感じたことでした。
この週に合わせていたような、好天気続きのシルバー
ウィークでしたが、活動的なゆらぎ様の事ゆえ多忙で
あった事でしょう!!。
☆雨音も密やかになり虫の闇
秋霖雨は降るともなく降り、止むともなく止みただ虫の
声にのみ知るばかりですね?しっとりとした虫の闇を
詩情豊かに詠われました。
☆秘めごとのなき歳となり虫絶ゆる
小生もこの御句を句会似て頂きました。
人は自身の中に蠢く虫を持っているものですね?その
虫は欲とも言われますが、物欲、色欲、出世欲、名誉欲、権勢欲、長寿欲、などなど108もあると言われています。
拠って来るところを振り返り、平穏な心境になられた
現在の虫の御句に拍手です!!
☆今生の今が幸せ花野ゆく
男は社会に出れば7人の敵が居るとも言われた現職の頃とは違い、今生きて居るこの事が幸せとはとても
共感致します。カメラを抱え美しい花野へ出掛け花を
追い求める今が幸せですね!!
☆人恋し灯ともし頃の富小路
この御句には季語がありませんが、この古都の夜の
情緒が大好きでとても共感です。そこで僭越ながら
「人恋し宵の秋燈(あきひ)や富小路」などはいかがでしょう?これですと「人恋し宵の秋燈や先斗町」など
とも使えそうです。
4句も拾っていただき、それぞれに丁寧なコメントをありがとうございました。
「秘めごと」の句ですが、句会ではみなさんに様々に解釈をいただき愉しくなりました。本当のことは、これまでを振り返って詠嘆しているというのですが・・・あはは(笑い)想いに耽っていたら窓の外では虫の音もいつのまにか止んでしまっているというほどの句意なんです。あまりおもしろくありませんね。
「富小路」の句は実景です。前そこを一人で歩いていました。ちょうど柊家のまえあたり。小雨もぱらぱら。思わず句が口をついてでました。吟行句ですね、本人はとても気に入ったので季語なしでそのままにしました。時々、こういうことをやっています。でも、ご指摘にしたがって、もう一句詠んでみました。(上掲)
ありがとうございました。
コメントが大変遅くなり申し訳ありませんでした。
コメント打ち込み中に全文が消えてしまうというトラブルが2回あり、意欲をそがれてしまいました。(言い訳)
御句から2句を頂きました。
チンチロリン男ばかりの酒の夜
「チンチロリン」と「男ばかりの酒の夜」との取り合わせがなかなか難しいです。背景に松虫が鳴いていると考えるのは常識的ですが、虫とは関係ない何かわくわくするような話題で盛り上がっているように思われます。
秋風を懐に容れ男ゆく
ここでいう秋風を懐にとは、この男が人生で味わってきた様々な運命を取捨することなく受け入れていくという生き方を示しているように感じられます。こうありたいものです。
二句をお採りいただきありがとうございました。「チンチロリン・・・」の句ですが、おっしゃるように男だけで酒を飲んでいると、談論風発か今の世情への悲憤慷慨はたまた”昔は良かった”との回顧談。いずれにしろ賑やかです。そこへ、急逝した仲間の事が思い出され、妙にシーンとしてしまった。そこに松虫の音が響いてきた。こういうシーンにしておきましょう。しんみりするのもイヤなので、松虫でなくチンチロリンといたしました。
「秋風を・・」の句は、深川辺りの相撲部屋近くの光景です。浴衣姿の相撲取りがゆったりと歩いているのを思い出して詠みました。でも、四捨五入さんの句意のほうが深みがあっていいですね。そういたしましょう。 ついでですが、こういうブログへのコメントの書き込みは結構トラブルがでます。いったんメモ帳かエディターに書いてそれをコピペされることをおすすめします。