秋晴れの10月17日、三井寺へ行ってきました。
紅葉にはまだ早く、薄薄紅葉程度でした。
有名な弁慶の引き摺り鐘を見ましたが、引き摺っただけではできないような疵が残っています。
面白い伝説が言い伝えられていますが、本当の疵の原因は何でしょうか?
秋日差しあらはなりけり鐘の疵
擦り疵といへぬ深手や秋の鐘
古鐘の凶事知るとや秋の風
誰が撞くや秋風揺する三井の鐘
(これは現役の鐘です。お金を払えば撞くことができます。)
明治より絶えざる流れ疎水秋
隧道に吸ひ込まれゆく疎水秋
(すぐ近くに琵琶湖疎水の取水口がありました。)
石磴を上り詰めれば薄紅葉
動くとも見えぬ白帆や秋の湖
三井寺へ以前一度だけ行きましたが、残念ながら引き摺り鐘は見ませんでした。
何れの句からも、秋の気配を強く感じるばかりでしたが、次の句を頂きました。
摺り疵といへぬ深手や秋の鐘
謎めく言い伝えに興味が湧きますが、この鐘にも秋が覆いつつあると。
古鐘の凶事知るとや秋の風
今やこの言い伝えは風の知るところのみとのこと。遠い祖先は一体何を考え飛躍したストーリーを作ったのであろうか。是非伺いたいものである。
隧道に吸ひ込まれゆく疎水秋
疎水が隧道に流れ込み、消えてゆくその流れの光景に秋を感じられたと。鋭い感覚ですね。
感心しました。
疎水というのは明治に人工的に掘削されたものですが、今はもはや歴史すら感じる存在となりました。ついこのあいだも京都の東、地下鉄の御陵駅まででかけました。天智天皇陵を見にゆくためでしたが、そこのアプローチの手前に疎水につながる小径がありました。疎水というのは何かしら魅力を抱かせます。そんな訳で親近感すらいだいている疎水の句を頂戴いたします。
”明治より絶えざる流れ疎水秋”
”隧道に吸ひ込まれゆく疎水秋”
この最後にある季語ですが、秋でなければならないのか、という疑問もあります。しかし、明治以来の歴史を超え、実用性は失っても未だに流れ続ける疎水を見ると、やはり何かしらの秋思のようなものを感じます。したがって、「秋」は動かないように思います。いかがでしょうか?
3句を採りあげて下さり有難うございました。
弁慶鐘にまつわる面白い伝説はだれか頭のいい人が創作したものと思います。本当の疵の原因を考えるのは無粋と思いますが、どうしても推測したくなります。
一部に小さな穴が開いていることから想像すると、激しい兵火に焼かれたのではないかと思います。
琵琶湖疎水は三井寺のちょっと南の山腹のトンネルに流れ込み京都まで延々と流れていきますが、トンネルの入口上部に扁額が掲げられており、トンネル掘削の重要性が感じられます。
疎水の2句をお採り下さり有難うございます。
疎水春と云えば川べりの桜並木を想像しますし、疎水夏と云えば川べりでの夕涼みを想像します。おっしゃるように疎水秋と云えばものも言わずに滔々と流れていく様から時の流れを感じます。やはり疎水秋が一番落ち着くようですね。
気付くのが遅く、コメントを入れるのが遅くなり大変
失礼致しました。過日の芒の会では欠席投句された
お二人の作品が素晴らしく、話題になりました。
三井寺と琵琶湖の疏水見学へ行かれたのですね?
皆、良い御句ながら以下の句を敢えてとり上げました。
☆秋日差しあらはなりけり鐘の疵
☆擦り傷といへぬ深手や秋の鐘
三井寺の梵鐘は弁慶伝説ばかりではなく、色々な物語があるようですね?梵鐘に疵痕のあるものは珍しく
古い歴史と謂れのある鐘は一度訪れてみる価値が
ありそうですね!!。
☆誰が撞くや秋風揺する三井の鐘
京都の近在の山裾の寺では、夏季は夕方6時、秋から冬は夕方の5時に寺の鐘が鳴ります。
♪夕焼けこやけで日が暮れて山のお寺の鐘が鳴る♪のイメージそのもののなり、大変風情を覚えます。
「秋風揺する」との措辞が特に素晴らしく、鐘の音が
殷々と秋風に乗って響いて来るようです。
☆隧道に吸ひ込まれゆく疏水秋
隧道の吸い込み口は、小生の田舎では子供頃「どふ」
と呼んでいました。溜め池に行っても「どふ」の近くには
絶対近寄るなと親から強く言われていました。
今頃になって「どふ」とはどのような字を書くのか
改めて知りたくなりました。
☆動くとも見えぬ白保(帆?)や秋の湖
有名な琵琶湖の淡水魚もろこ漁の光景でしょうか?
白保とは(白帆)かと想いますが、煌めく琵琶湖の秋の
日差しが想われ、清々しい光景ですね!!。
5句もお採り下さり有難うございます。
弁慶鐘の伝説も面白いですが、何故あのような疵が付いたのか原因を知りたいです。もしなにか情報を掴れたら教えてください。
現在、三井寺の晩鐘はお金を払えば誰でも何時でも撞く事ができます。というわけで時を定めずゴーンと響いてきます。現実はちょっと興ざめですね。
琵琶湖疎水の取水口が三井寺の麓(ちょっと南)にあるとは知りませんでした。流れが速いし吸い込まれたら大変ですね。
三井寺の境内に展望台があり、琵琶湖の展望が素晴らしいです。白保の間違いのご指摘有難うございました。
疎水入り口の付近から高台に登られ琵琶湖を眺められたものと思います。まさに湖の大きさに包み込まれる白帆が点々として、雄大且つ泰然とした景色の雰囲気が伝わってきます。
古鐘の凶事知るとや秋の風
動くとも見えぬ白帆や秋の湖