礼服に眉と髭濃き雛かな
稚児二人阿吽と云へる雛飾
老桜の力込めたる蕾かな
自然光溢るる館春分の日
ふんだんに大谷石積む春館
大谷石にめり込んでをり春暖炉
過日、蘆屋川周辺で吟行句会があり、ヨドコウ迎賓館を訪れた。
この建物は帝国ホテルの設計者として有名なフランク・ロイド・ライトが1918年に設計したもので重要文化財となっている。灘の酒造家山邑太左衛門が別邸として設計を依頼したものである。
丁度この時期にはこの建物の和室に雛人形が展示されていた。山邑太左衛門が長女の誕生を祝って京都の老舗人形店に作らせたもので、100年を経てほとんど痛みのない豪華なものである。
建物と云い雛人形と云い当時の酒造家の財力には驚かされる。
写真は迎賓館4階のバルコニーである。ここからは神戸・芦屋市街と大阪湾を一望のもとに見渡すことができる。
普通の雛と全く違うイメージを現したものですが、最初礼服から読んでいって、最後に「雛かな」とドンデン返しを打つところが面白いです
老桜の力込めたる蕾かな
何か我らの年配層に共通する暗喩があり、この句から力を頂く気がします。
その時のこと思い出しながら、句を鑑賞させて頂きました。
老桜の力込めたる蕾かな
見るからに老大木の桜だったのでしょう。今にも弾けそうな蕾を付けていて、思わずこの老い桜の力を感じられたのでしょうか。筆者の感動が伝わってきます。
大谷石にめり込んでをり春暖炉
モダンなこの建物の部屋に暖炉が設えられていた。その暖炉は大谷石の壁にめり込んでいるようだと。何気ない光景でふっと通り過ぎてしまいそうな所を一句に仕上げられているのが、素晴らしい。
ようやく暖かくなり、桜の開花と共に春爛漫の様相と
なりました。芦屋川界隈の桜は美しい見頃となりそう
ですね!!。
神戸は関西でも、大阪、京都、奈良とは違い横浜と
同じように、明治の港町としての文明開化の香りが
しますね?
☆礼服に眉と髭濃き雛かな
雛人形は平安時代の礼装式服が標準とされていますが、中には武者姿の雛も飾られているようですね?
「眉と髭濃き」との措辞にどんなだろう?との想像が
ふくらみます。
☆老桜の力込めたる蕾かな
若木の桜は花も密に咲き、艶やかなものですが、老桜
ともなれば、短いひと時の開花もさりながら、幹の張り
などの存在感があるのです。
その僅かな蕾には確かに、力強さを覚えますね!!。
☆大谷石にめり込んでをり春暖炉
小生のような田舎生まれの田舎育ちは、暖炉のある
ような洋館はあこがれの的でした。しかも豪華に大谷石を使っているとは、さすが神戸の財閥の力には驚く
ばかりです。
2句にコメント下さり有難うございました。
お内裏様が天皇を表していることはうすうす知っていましたが、明治天皇がお雛様になるとは驚きでした。
「眉と髭濃き」で明治天皇を示唆したつもりでした。
蘆屋川沿いの桜はかなり老化しています。にもかかわらず、蕾はしっかりしていました。
今頃は満開に近いでしょう。
2句を取り上げて下さり有難うございました。
この桜は蘆屋川の土手の桜ですが、寿命なのか排気ガスの所為なのか痛みがひどくかわいそうでした。
以前、山梨県北杜市にある山高神代桜を見たことがあります。樹齢2000年と云われており、幹は古びて岩のようになっていましたが満開の花をつけており、感動的でした。
桜は種類にもよりますが長寿ですね。
建物を俳句に詠むのは難しいです。ご承知のようにこの建物は大谷石の暖かさを表現しているようなので、このような句にしてみました。
3句も取り上げて下さり有難うございます。
「眉と髭濃き」は明治天皇を表したつもりですがちょっと分り難いでしょうか。「礼服」も金モールの付いた洋装です。
ひところ明治天皇と昭憲皇太后の雛人形が流行ったそうです。
蘆屋川の土手の桜はかなり傷んでいますが、蕾はしっかりついていました(3/21)ので、今頃は満開に近いと思われます。
フランク・ロイド・ライトに別邸の設計を依頼するとは、なんと大胆な人だと驚きます。しかしその見識、先進性は誇るべきものと思います。勿論、財力も