己が身の闇より吼えて夜半の秋 蕪村
句は蕪村の自筆であり、黒犬は応挙の絵である。夜更けの帰途、黒い犬に吼えかけられるが姿は見えず、声だけが闇に響く。暗闇に怯える犬と、蕪村自身の内面に潜む闇とが微妙に重なることが感じられる。蕪村の句には黒い犬が現れていないが、傍に黒犬の絵が添えてあるところに俳画の趣があるようだ。それにしても、この黒い犬の見事な描写は流石に応挙の作品といえる。台風18号が不気味に近づいている。御嶽山の噴火に続き災害の続かないことを祈りたい。野分の句を下記に四句。
山冥し野分の不安ひろがれり 九分九厘
野分来て豪雨の刃凶々し
狼藉のかぎりをつくして野分去る
野分去る忖度なしの次第かな
以上