政府が米国の離脱した環太平洋連携協定(TPP)に関し、米国以外の11力国による協定発効を模索する方向に軸足を移すことが4月15日、分かった。
このままでは枠組みが空中分解する恐れがあり、政府内でも米国抜きTPPの推進に慎重な姿勢を転換する必要があるとの意見が強まった。
5月に首席交渉官会合と閣僚会合を開き、実現可能性を探る。
合意した有志国だけにTPPを適用する案も浮上している。
菅官房長官は4月15日、共同通信のインタビューに応じ「11力国の枠組みを大事にしたいという思いを持っている」と述べ、米国の理解を得た上で本格的な検討を進める考えを示した。
日本政府はこれまで、巨大市場の米国抜きでは日本企業にとって魅力が少ないとの意見が強く、推進に慎重な立場だった。
しかし、トランプ米政権の誕生で世界的に保護主義の動きが強まっており、日本が‥11力国での発効に向けた協議を主導し、自由貿易の機運を維持すべきだとの声が大きくなっている。
米国は当面、TPP参加にかじを切る望みがなくなったため、日本は11力国での枠組みを進めて、米国が将来復帰するのを待つ狙いもある。
4月18日に初会合が開かれる麻生副総理兼財務相とペンス米副大統領による日米経済対話での議論も踏まえ、日本政府として最終的なTPPへの対処方針を固める。
TPPの首席交渉官会合は5月初めにカナダで、閣僚会合は5月下旬にベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に合わせて、それぞれ開かれる。
11力国によるTPP発効はハードルが高いため、協定とは別に合意が議定書を結ん適用する案も検討している。
参加したい国だけで暫定的にTPPを始める手法だ。
発効要件か漂流しかけた戦後の多国間協定「関税貿易一般協定(ガット)」は、この方式で動きだした。
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