裁判員に選ばれた学生が講義や試験を休んで裁判に参加した際、不利益にならないよう配慮すると明文化した規則を設けているのは、全国の国立大学86校のうち33校(38%)だったことが10月13日、共同通信のアンケートで分かった。
28校(32%)は「特段の対応はない」としたほか、一部は個別に対応すると回答した。
市民感覚の反映を目的とした裁判員制度は昨年から18、19歳も選任されるようになっており、より参加しやすい環境づくりが求められそうだ。
文部科学省によると、学校教育法施行現則で出欠の取り扱いが定められている高校生については同省が2022年、欠席としないよう配慮を求める通知を都道府県教育委員会などに出した。
だが大学に対しては「通知を出す根拠法令がない」といい、各校が扱いを決めている。
アンケートでは、学生が裁判員に選ばれた際の対応を明記した規則の有無や規則を設けていない理由について尋ねた。
「規則を設けて対応している」とした岡山大や島根大、鳥取大を含む33校では、出席と同等の「公欠」とし、追試やリポート提出などの代替措置を定めているケースが多かった。
ただ「公欠として認めるのは3日程度」(宇都宮大)など、期間や対象を限定する例もあった。
33校とは別に恵只芸術大、山梨大、長崎大は「一部の学部のみ規則を設けている」とした。
また、教員に配慮を依頼するなどの「規則はないが個別に対応する」との回答も広島大など21校あった。「特段の対応はない」とした山口大など28校に理由を複数回答で尋ねると、最多は「学生から申し出がなく、検討したことがない」だった。
裁判員制度は開始から今年で15年。
最高裁によると昨年、選任手続きや公判などに出席する日数の平均は8・0日、今年7月末時点の裁判員候補者の辞退率は66・8%だった。