イスラエルの招待を見送った長崎市への抗議として、日本を除く先進7力国(G7)と欧州連合(EU)の大使がそろって欠席した8月9日の平和祈念式典。
被爆者や遺族の心は、祈りの一日を政治的に利用した核兵器保有国の振る舞いに大きくかき乱された。
原爆投下時刻の午前11時2分に黙とうのサイレンが響く。
会場の平和公園が静まり返る。
しかし、被爆者で長崎原爆被災者協議会の田中会長の心中は穏やかでなかった。
「厳かな慰霊の雰囲気が吹き飛んだ」
米英仏などが大使の参加を見送った。
「核保有国が一地方に圧力をかけた」と田中会長。
パレスチナ自治区ガザの多くの女性や子どもの命を奪うイスラエルには「虐殺同然。
血に染まった手で核使用をちらつかせる国は来なくていい」と憤る。
被爆した父を2月に亡くした佐世保市の司法書士深江さんも「ロシアとベラルーシを招待せず、イスラエルを呼ぶのは筋が通らない」と長崎市を支持した。
市の対応を残念がる人たちもいた。
両親を含む家族6人を長崎の原爆で失った八木さんは「分断を深めたのではないか」。
大阪府東大阪市から訪れた近畿大3年坂東さんは、鈴木・長崎市長が平和宣言で発した「地球市民」になぞらえ。
招待しないのは同じ地球市民を区別しているかのようだ」と話した。
鈴木市長は、イスラエルの招待見送りで「政治的な意図」は否定する。
長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村准教授は「中途半端な対応で、不要な反発や臆測を招いた」と指摘。
ロシアやベラルーシを含む全ての国を招くことが被爆地の役割だと主張した。
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