金融庁は4月3日、外貨建て一時払い保険の販売で、購入4年間で約6割の解約が発生しているとの調査結果を発表した。
解約後に同種商品を再販売する乗り換えが多発し、販売手数料を二重に取る形となっていた。
金融庁は「顧客にとって経済合理性があるとは言えない」とし、保険を組成する生命保険会社や、販売している銀行に改善を求めた。
外貨建て保険は海外金利の上昇を追い風に人気で、米国債など外貨で運用する。
保険料は一括で支払う場合が多い。
保険会社が銀行に支払う販売手数料は初年度が高く、2年目以降は下がっていく。
顧客に短期間で乗り換えさせることで、手数料を多く稼げる仕組みになっている。
外貨建て保険には、目標の運用成績を達成すると自動的に利益を確定し、円建ての終身保険などに移行する「ターゲット型」と呼ばれる商品がある。
目標値を引き上げて解約しないで済むにもかかわらず、同種商品に乗り換えさせるケースが頻発しているという。
金融庁は地方銀行や主要行計19行と保険会社8社に調査を実施。
運用期間2年半の外貨建て保険は5年以上の同種商品より運用成績が劣つていることが判明。
解約に伴い費用が発生し、利幅を押し下げる状況もあった。
外貨建て保険は、円建て保険より高い利回りが期待できるとして、販売実績を伸ばしている。
円安になれば顧客の受取額が増える一方、円高になると受取額が保険料を下回る可能性がある。
金融庁は外貨建て保険の手数料二重取りに関し、生命保険会社や銀行に改善を求めた。
外貨建て保険は円高が進めば元本割れのリスクもある商品だ。
投資経験が少ない人に十分説明せず販売し、円高局面で「元本が毀損するとは聞いていない」との苦情も寄せられていた。
金融機関には顧客の立場に立った堅奈求められている。
金融庁が公表した調査結果では、外貨建て保険を契約した顧客情報を分析したところ、約2割で投資経験の不足や、安定運用を重視しているといった投資方針との不一致が懸念された。
金融庁は昨年、リスクの高い「仕組み債」の不適切販売で、千葉銀行などに業務改善命令を出すなど、金融機関の問題が噴出している。
業界団体の生命保険協会は4月3日、客が適切に金融商品を選べるよう、投資信託など他の商品と比較を可能にするよう指針を改定した。
現在は円安局面で、外貨建て保険が元本割れする事例は少ないとみられる。