僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

残穢(小野不由美)

2016年02月09日 | よむ

映画のCMで

未だ冷めることのない

『仄暗い水の底から』の衝撃を思い出し

タイミングよく平積みされていた表紙に魅かれて

珍しくホラー物を手に取る。

そして恨みを発掘する旅に出る。

ドキュメントタッチで間取りの説明をするあたり

宮部みゆきの理由を思い出す。

1ページの情報量が多いこともあるが

何より

細かい描写や恐怖を噛みしめて楽しみたいので

敢えてゆっくりと読み進める。

郷土史を読み解いていくようで楽しい。

中盤から情報量についていけなくなり

ページをめくる指が重たくなってくる。

この辺りもまさに郷土史のよう。

なんだかんだと盛り上がらず

淡々としているうちに読破してしまった。

石田衣良さんによると

『この本を自分の本棚に置いておく気にならない』

くらい怖い本らしいのだが

一生懸命怖がってるつもりなのに

怪奇現象描写のくだりになると

『妖怪のせいなのねっ♪そうなのねっ♪』

脳内で流れ出し完結してしまうし

赤ん坊が出てくるシーンでは

鴨川ホルモーの小鬼が

可愛らしく走り回ってる姿しか

浮かばないし。

結局のところホラーへの想像力の欠乏を

思い知らされるにとどまる作品でした。