根気

2010年12月17日 | 快楽への欲求を理性的に抑制(節制論3)
1-4-2. 根気
 困難な課題に、こつこつと取り組み、あきらめず、飽かず、これに耐えつづけるのは、「根気」である。ほかからの誘惑があっても、ことに嫌気がしても、まよわず、一貫して、その課題達成のための活動を続けていく。節制には、単純な食の抑制を、ねばり強く、どこまでも維持・貫徹する「根気」が不可欠である。
 根気の「気」は、身体に即して働く。意志の持続は、理想・理念への信念的な不動であるが、根気の持続は、身体的レベルからの支えをもち、反復をいとわず、手を抜かないで現前の課題との取り組みを黙々とすすめていく姿勢である。
 根気には何といっても忍耐力であるが、工夫・洞察力に富むことも大切である。飽きないように新規のことを加えたり、未来かなたまでを見通して反復の意義を高く評価することである。意志が高遠な世界を目指し高邁で堅固であればあるほど、根気もしっかりしたものになる。
 風雪に耐えて根っこをしっかり張った状態、ねばり(根張り=粘り)が、根気にはある。意欲や情熱を失い、いやになり飽いてきても、根気は、意志の命じた課題を断念することなく堅持しつづけ、身をもって困難に耐え続ける。節制の持続にふさわしい心身の構えである。