皆さんは先週、10月9日から14日まで(パブリックデーは12日から)、愛知県の
ポートメッセなごや(ポートメッセ会場)とセントレア中部国際空港(セントレア会場)で
開催されたJA2012―国際航空宇宙展にはお出かけになりましたか?
編集部神野は編集作業や諸般の事情により14日最終日のセントレア会場だけの
訪問となってしまいましたが、出かけてきました。
4年に一度の日本唯一の国際航空トレードショーで、29年ぶりに飛行場を会場とした
イベントとなるため、とても楽しみにして出かけたのですが…
結果は残念ながら不満の残るものでした。
せっかくの飛行場でのイベントにもかかわらず、飛行展示はブルーインパルスのほかは
ヘリコプターが4機種のみと、4年前にパシフィコ横浜で開催されたときよりも
規模は小さく、地上展示機にも新鋭のB.787やA380、XC-2やXP-1、US-2といった
機体はまったくなく、また民間空港での開催のためか、F-2などの自衛隊戦闘機も
米軍の参加もありませんでした。
こうした地上展示、飛行展示の情報は直前情報としては流れていたのですが、
加えてブルーとともに目玉だと思われていたボーイングB.747LCFドリームリフターは
セントレア会場初日の12日のみの参加。海外からの興味深い参加機もなければ、
国内の最先端航空技術が詰まった新鋭機もないという、「国際」航空宇宙展の名称には
疑問の残る内容だったと言わざるをえません。
「お金を払って見に行くイベントじゃなかった」という声も聞こえましたが、
まあこれに関しては異論もあります。日本の場合、自衛隊の航空祭はすべて無料、
ヒコーキファンの皆さんは、エアショーはただで見られるという考えができていますが、
実際には航空機の運用には場所代も燃料代を含めた運用費も膨大にかかります。
民間主催のイベントであれば、非常に希少な機体1機だけを見るために、有料の
イベントを開催することもあるのですから。
しかし今回のイベント、内容そのものも前回から4年の間にもっと詰めて
自衛隊も各官庁も民間も協力し合うことで、内容の濃いものにできたはずですが、
最大の問題は「航空イベント」以前に「有料の興行」としての稚拙さにあったと思います。
とくにオーガナイズ、スタッフの対応には多くの不手際を感じました。
まずは会場そのもの。エプロンに設けられた第1会場、航空機展示場は、
空港施設内のため限られたスペースしか用意できず、かなり狭い印象ですが、
そのエリアを区切るプラスチック製のフェンスは高さ約1mほどのものが二重に設置され、
エリア外に置かれた地上展示機を撮影するためには非常にじゃまなうえ、子供たちでは
そのフェンスをクリアすることさえできず、エリア外の航空機は見えません。
おまけに仮設のためもし大勢が押し寄せたら倒れてしまいそうな危うさです。
会場エリアまでには、セキュリティゲートを通らなければなりませんが、その内側では
ジュースなど飲料の販売以外はなく、航空機展示場はFOD(異物吸入事故)防止のため
飲食は厳禁。購入した飲み物さえ、セキュリティゲートと会場の間のエリアで
飲んでしまわなくてはなりません。保安とFOD対策は当然必要なのですが、
こうしたことについて事前の案内がほとんどなく、入場後にそれが判明するのです
(三脚、脚立、傘の使用禁止についても同様です)。
第1会場のほかに、屋内展示、ブース、ブルーのサイン会会場などとなった第2会場が
設置されていたのですが、この第2会場に行ってしまうと、第1会場に戻るためには
一度外に出て、セキュリティゲートを通って再入場しなければなりません。
そのシステムについても第2会場に入るまでなんの案内もなく、再入場の際に
また30分以上並ばされて立腹する観客も少なくありませんでした。
そのほか会場スタッフの不案内や報道対応のいい加減さなども気になりました。
セキュリティゲートの外にはフードブースも用意されていますし、飛行場は
特別区域なのでさまざまな制限があることは充分理解できるのですが、会場のデザイン、
案内板の設置などで、もっと円滑に運営することは可能で、とくにフェンスについては
安全面からも、サービスの面からも大きな問題だと感じました。
「地方の青年会議所主催のイベントでももっと上手に運営する」と今回の運営を厳しく
批判する人もいましたが、4年後の国際航空宇宙展では必ず改善をお願いしたいものです。
と、厳しいことばかり書きましたが、会場では同業者の方、読者の方や自衛隊を含む
出展者の多くの方々と楽しくお話もできましたし、イベントとしても
国際空港でのアクロフライトを実現したブルーの展示飛行に、観客の大きな歓声や拍手が
沸いたり、盛り上がりもありました。
また低調な飛行展示のなか、海上保安庁、名古屋市消防局、陸上自衛隊といった
官庁のヘリが救難展示やホバリングデモでがんばってくれたのも印象的でした
(ユーロコプター社も民間として唯一、EC135のデモを見せてくれました)。
そしてこの日一番人気の地上展示機、第1航空団第31教育飛行隊のT-4の前には
こんな人も。
ブルーインパルス前5番機の井川広行3佐が観客へのサービスに努めていました。
スペシャルヘルメットにも注目してください。