今回こそ「大変長らくお待たせいたしました」という
フレーズがよく当てはまるのではないかと思われるテーマ、
TSR2が読者の皆さんの熱いご要望にお応えして、いよいよ本日、
全国の書店さんおよびネットショップで発売となります。
実用化に至らず、それも試作機が1機しか飛んでいない本機を
はたして「傑作機」シリーズで取り上げてよいものかどうか、
いろいろと賛否両論、毀誉褒貶もあることでございましょう。
しかし、特徴的な主翼をもつあのダイナミックでシャープなスタイル、
当時最新の電子機器や高揚力装置といったかずかずの新機軸、
そして試験飛行で見せた高い飛行性能の片鱗などなど、試作機にして
すでに傑作機の貫録を充分備えていたといえるのではないでしょうか。
そもそも本機の開発が断念されたのは、その素性によるものではなく、
財政難にあえぐイギリスの時の政権が予算超過を嫌ったためで、
TSR2自身には駄作機だの欠陥機だのといったレッテルを貼られる
いわれはまったくございません。
もし、本機が実用化され多数の機体が部隊運用されていたならば、
得意の低空高速飛行での安定性と瞬発力、飛行場を選ばないSTOL性能、
かずかずの機器を駆使した偵察能力などを発揮して傑作機としての
名声をほしいままにしていた、と思いたいです、小誌編集部は。
そうした思いを託して佐竹先生にはカバーイラストの機体として
No.81 SqnのCode B、上面ダークグリーンとダークシーグレイ、
下面ミディアムシーグレイの迷彩塗装機を描いていただきました。
実際の同Sqnはキャンベラを装備してスエズ動乱等に投入されています。
こうした架空の塗装や運用を想像するのは楽しいのですが、
アニメの世界ではすでに有名になっておりました。
『ストラトス・フォー』という作品には地球に落下する隕石を破壊する
「メティオ・スィーパー」としてTSR2が登場しており、このアニメで
一躍本機の名前が全国津々浦々まで知れわたったようです。
本来、低高度高速侵攻攻撃機であるはずのTSR2がここでは何故か
高高度迎撃機として使われていますが、そこは置いておいて、
TSR2の飛翔感を楽しむにはもってこいの作品となっています。
DVDも発売されていますので、未見の方はご覧になってみてください。
同作品にはYak-28も登場してきます。Yak-28に興味を持たれた方は
小誌No.159のご購読もぜひどうぞ。
そんなこんなのTSR2特集号。この編集にあたっては、
BAEシステムズ、ロールスロイス、ブルックランズ・ミュージアムなど、
関係各方面から貴重な写真や資料を多数提供していただきました。
本家イギリスの文献にも載っていない初公開のものもございます。
日本ではおそらく空前絶後、唯一無二のTSR2特集号でありましょう
世界の傑作機No.164をぜひご購読くださいますようお願い申し上げます。
カバーイラストの候補としてさまざまなアングルの画を佐竹先生に描いていただきました。このBlog限定で一挙公開いたします。