先日、本ブログでリバプールの災害派遣DVD『絆~キズナノキオク』を紹介しましたが、
自衛隊ものDVDの制作で実績のある
あだちビデオもオリジナル作品として
『心ひとつに』と題した東日本大震災での自衛隊災害派遣記録をまとめたDVDを
発売中です。
あだちビデオは陸上自衛隊を中心に多くの映像を記録、さまざまな作品を
リリースしていますが、今回の作品はそうしたつながりから制作され、
部隊の記録した映像、スタッフみずからが現地に入って撮影してきた災害派遣中の映像、
関係者のインタビューなどがまとめられています。
活動を行なう自衛官しか撮影しえない当時の緊張感に満ちた映像も必見ですが、
この作品の核にあるのは「人」。派遣された自衛官ひとりひとりの顔が
見えてくるような作品の流れが見どころです。また被災地での救難活動に従事した
陸海空の航空機(ヘリ)ももちろん登場、海上自衛隊の艦艇なども紹介されますし、
当時最前線航空基地となった霞目駐屯地の映像、状況偵察に出て津波を撮影した
東北方面隊のヘリクルー、原子力災害派遣として福島第一原発で作業にあたった
第1ヘリ団の隊員らの貴重な肉声も聞くことができます。
また、あだちビデオの得意分野である陸自については、災害派遣活動での給食支援や
入浴支援といった、一見地味な任務にまでつぶさにスポットを当て、
当時の現場の様子を紹介していますが、これが映像的には決して派手ではないのに、
観ていて中だるみするようなパートにはなっていません。また、どの部隊がどの地域に
派遣されたのかといった資料的な部分も、ビジュアル的に分かりやすく紹介しています。
作品中では、JTF-THを指揮した当時の東北方面総監、君塚陸将の言葉が紹介されます。
「我々の前には道はない。ケモノ道もない。でも後ろには道がある。
その道の善し悪しは後世の人たちに判断してもらうしかない。
そうであれば、自らの考える道を信じてやって行こうと決断した」
自衛官が、被災者が、ふとしたときに被災地で見せる明るい笑顔が印象的な作品です。
収録時間は106分、価格は2,500円で、売り上げの一部は牧浜獅子風流保存会(石巻市の
小学生が参加する獅子舞の会で、今津波で獅子を流されてしまったとのこと)に寄付されます。