岩国基地のR/W02からの離陸、通称“岩国上がり”は、
戦闘機本来の機動性を表わすようにバックリと背中を見せて
空に駆け上っていく姿が魅力的で、
写真撮影マニアには人気の基地でした。
しかし今回の滑走路の沖合移転で1km移動した滑走路の運用が始まったことで、
これまでも三角州の中にあり、撮影ポイントの少なかった岩国基地が、
より撮影の困難な基地となりました。
5月29日の式典では米海兵隊のF/A-18D、
海上自衛隊のUP-3Dがそれぞれ新滑走路(R/W02)に着陸、
運用開始のセレモニーとなりましたが、この新滑走路のオープンで、
パイロットたちは少しは運用に余裕をもつことができたのでしょうか。
じつは、新滑走路に移っていわゆる岩国上がり、
右への旋回離陸は姿を消すと思っていたところ、
新滑走路でも現時点ではその離陸方式は続けられているとのこと。
これまでは北側にある工場の直情通過を避ける措置として
岩国上がりが使われていましたが、
この方式はすぐには変わらないということなのでしょうか。
どちらにしても、岩国の一般市民にとっては事故の危険性も騒音も軽減されており、
歓迎されているのではないかと思いますが、やはり気になるのは2014年を目処に、
岩国に移駐してくる米海軍CVW-5の戦術機だといいます。
これまで使われていた滑走路の跡地の開発を含め、
まだまだ岩国基地からは目が離せません。
ちなみに旧滑走路、現在はC(チャーリー)タキシーウェイとして
連絡誘導路の役目を果たしていますが、
今後はCVW-5の支援施設などが建設されると思われます。
そしていまも使用中の海兵隊エプロンから滑走路まで、
しばらくの間パイロットたちは離着陸のたびに
長い“ドライブ”をしなければなりませんが、
これを監視する新管制塔、高さは約70mで、
岩国市内でもっとも高い人口建造物だそうです。
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