竹と遊ぼう。伊藤千章の日記、

小平市と掛川市の山村を往復して暮らし、マラソン、草花の写真、竹細工、クラフトテープのかご、紙塑人形の写真があります

どうして童謡は哀調をおびてるの?

2009-09-03 02:55:16 | 日記
木から垂れ下がった葛。
 
明治の初めから音楽教育はヨーロッパ音楽が中心です。
デイサービスで歌集作りをして気がつきましたが、明治の初めごろはイギリス民謡とかスコットランド民謡が歌われ、それから文部省唱歌が出てきます。
 
大正になると学校教育外で、西条八十や野口雨情の童謡が生まれてくる。
それがみんな哀調をおびてるんですよね。
「唄を忘れたカナリア」とか「月の砂漠」とか「青い目の人形」「赤い靴」。
 
私はその哀調は失われた民間文化への哀しみだと思っています。
 
キンミズヒキ
 
田舎にはそれでもまだ、伝統的な生活文化が都会よりは残っています。
 
小学校以来昔のものは全て封建的、だから悪いと教わってきました。
ここに住んで驚いたことは、村の自治単位、区会が、
昔から問題が起こったときは、徹底的な話し合いをする場なんですね。
夜中の二時三時まで話し合うことがあります。
 
室町時代に惣村という村の自治組織が生まれ、
それが山村では今まで続いてきているのです。
私も区会に出るといろいろ発言しました。
当時の区長がS氏だったこともありますが。
 
区の財産になっている山があります。
簡易水道が区に引かれたとき、各戸の負担を減らすために、
区有林を伐って負担を軽減しました。
 
その時、区に加わったときからすぐさま区の一員で、
区有財産も平等の権利を持ち、区を離れたら権利を失うと聞かされました。
その代わり夏は区有林の下刈りに出ます。
 
ミズヒキソウ
 
イギリスの湖水地方には14世紀に建てられた農家が、
今B&Bになって残っています。
日本の山村には建物は無いけど、14世紀の共同体が残っているのです。
 
日本の過去に目を開かせてくれたのは渡辺京二の「逝きし世の面影」です。
彼は歴史学にはアマチュアの編集者です。
面白くなければ歴史ではない、は誰が言った言葉でしょうか。
英語のhistoryの語源、ラテン語のhistoriaは物語という意味です。
歴史って本来面白い物語なんです。
 
この本は私の教わってきた近代史観を叩き潰しました。
幕末から明治の10年ぐらいまでに、日本に来た欧米人の記録を基にして、
当時の日本人の様子と庶民の生活文化を美しく描き、
明治10年ごろをもって終わってしまった文明があった、と語っています。
 
似たような古い日本についての印象は、
著者も参考にしているイザベラ・バードの「日本奥地紀行」を読んで感じました。
「逝きし世の面影」は、歴史学者には到底書けない、魅力的な本です。
 
オトコエシ、黄色い花のオミナエシは、野山ではめっきり少なくなりました。その代わり町の家の庭先見かけるようになりました。
 
ついでに専門家でない人の書いた歴史の書をもう一冊、
かってべ兵連で活躍した鶴見良行の「なまこの眼」も、
私の歴史についての枠をぶっ壊す力と魅力を持った本です。
日本国内を歩き回った宮本常一の、東南アジア版でしょうか。
鶴見良行は、東南アジアの島々を実際に歩いて書いています。
 
宮本常一もイザベラ・バードもそうでした。
 
異文化を感じるには今でも歩くことが一番ではないでしょうか。
旅で見知らぬ人たちと話すこと、私にはそれが一番の楽しみです。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (shigeta)
2009-09-03 17:39:05
「逝きし世の面影」
チャレンジしてみるか!
貴殿はいつもながら浮世離れ、小生の世界とは
異郷の領域を紹介してくれる貴重な畏友!
 万人が見るBlogコメント、少しお世辞交じりで!(^-^*)
返信する
お世辞ありがとう。 (いとう)
2009-09-03 18:08:02
お世辞なんて久しぶり。ありがとう。この夏は変な夏でした。今頃になってウシアブが出てきた。夜遅くなると鈴虫が鳴いています。夕方からしばらくはアオマツムシの世界。木の上で鳴いている。鈴虫は真夜中。いつもそうなのかな。
返信する

コメントを投稿