貧乏神は良い神様 朝日新聞1月6日 ひととき欄より
米俵にのり、打ち出の小づちを持った大黒様。タイを小脇に抱えた恵比寿様。お正月が近くなると、実家の床の間に飾られた木彫りの福の神だ。その人形は両親が亡くなるまで力を発揮することなく、ニコニコ顔で我が家に鎮座しておられた。みんなになでられて、ピカピカとつや光りして。
私は結婚して、和紙を使った人形を作る仕事についた。効き目がなかった七福神は作らないぞと思っていた。でも貧乏神はどうかと、ふと思った。落語「貧乏神」で、桂枝雀が「きれいな夕焼けやなあ」とつぶやくシーンに、笑いながら胸打たれたではないか。
貧乏神も神の仲間である。「きっとその貧乏には意味がある。恐れることはない、私がそれを引き受けちゃる」と言っているのではないか。貧乏神っていい神様と思えてきた。
結局、私が作った貧乏神の張り子の人形は売れず、ビを丸で囲った印をつけた前掛けをかけ、仕事場の棚の上にニコニコ顔で立っておられる。見るとなんだか幸福な気持ちになる。今年も私なりに頑張ろう、この神様が見ていてくれる、そんな風に思える。
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しかし、待てよ、この貧乏神、夫に似てないか?
東京都小平市 伊藤絹子 人形制作 62歳
家内は黙っていようと思ったようですが、友人がメールで知らせてきたのでばれました。
面白い文章なので転載しました。
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