竹と遊ぼう。伊藤千章の日記、

小平市と掛川市の山村を往復して暮らし、マラソン、草花の写真、竹細工、クラフトテープのかご、紙塑人形の写真があります

貧乏神

2014-01-06 18:41:39 | 日記
貧乏神は良い神様   朝日新聞1月6日 ひととき欄より
 
 米俵にのり、打ち出の小づちを持った大黒様。タイを小脇に抱えた恵比寿様。お正月が近くなると、実家の床の間に飾られた木彫りの福の神だ。その人形は両親が亡くなるまで力を発揮することなく、ニコニコ顔で我が家に鎮座しておられた。みんなになでられて、ピカピカとつや光りして。
 
 私は結婚して、和紙を使った人形を作る仕事についた。効き目がなかった七福神は作らないぞと思っていた。でも貧乏神はどうかと、ふと思った。落語「貧乏神」で、桂枝雀が「きれいな夕焼けやなあ」とつぶやくシーンに、笑いながら胸打たれたではないか。
 
 貧乏神も神の仲間である。「きっとその貧乏には意味がある。恐れることはない、私がそれを引き受けちゃる」と言っているのではないか。貧乏神っていい神様と思えてきた。
 
 結局、私が作った貧乏神の張り子の人形は売れず、ビを丸で囲った印をつけた前掛けをかけ、仕事場の棚の上にニコニコ顔で立っておられる。見るとなんだか幸福な気持ちになる。今年も私なりに頑張ろう、この神様が見ていてくれる、そんな風に思える。

 
 しかし、待てよ、この貧乏神、夫に似てないか?
 
東京都小平市 伊藤絹子 人形制作 62歳
 
家内は黙っていようと思ったようですが、友人がメールで知らせてきたのでばれました。
面白い文章なので転載しました。