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共産法の体系(連載第25回)

2020-04-18 | 〆共産法の体系[新訂版]

第5章 市民法の体系

(2)市民権法①
 共産主義的市民法の中核は市民権法にあり、その内容は(1)住民権(2)公民権(3)親族権から成ると述べた。このうち、今回扱う前二者は公的な身分に関わる権利である。
 筆頭の住民権は、居住権と言い換えることもできる。具体的には各領域圏及びその内部の地方自治体への居住の権利である。国家の観念を持たない共産主義社会では当然「国籍」の概念も存在しないため、住民権が国籍に相当するような役割を果たす。
 こうした住民権の不文上位概念として、地球市民権がある。これは世界共同体(世共)に属する領域圏住民は世共内のどこにでも居住することのできる権利である。
 従って、この地球市民権の内実は移住の自由である。この権利については、世共憲章で定められる。地球市民権は住民権を基礎に発生するため、この地球市民権を行使して他の領域圏に移住するためにも、いずれかの住民権が要求される。
 一方、住民権を前提として、所定年齢に達した住民に公民権が与えられる。共産主義的な公民権とは、いわゆる選挙権ではなく、より積極的に代議員となる権利である。共産主義社会では、抽選制に基づく民衆会議が代表機関となるからである。
 こうした住民権は手続上、現住所を置く自治体に住民登録することで成立する。この登録によって、同時に各領域圏並びにその内部の広域自治体または準領域圏及び世共への居住権(移住権を含む)もすべて包括的に獲得される。
 このように、住民権は公民権、さらには上位権としての地球市民権の法的条件となるため、今日の無国籍に相当する住民権不保持という状態は法的に認められず、すべての人は必ず世界のいずれかの住民権を保持しなければならない。
 また住民権はいかなる事情があっても停止されることはないが、公民権は重大な犯則行為を犯した場合、一定期間停止されることがあり、また代議員として職務上の不正行為を犯した場合は永久剥奪されることもあり得る。こうした例外を除けば、公民権に関する制限は存在しない。


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