ザ・コミュニスト

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年頭雑感1994

1994-01-01 | 年頭雑感

昨年1993年における最大の画期的出来事は、日本の政権交代であった。いわゆる55年体制が初めて崩れ、この間一貫して与党だった自由民主党が初めて下野した。大袈裟に言えば「革命」に近いことである。

実際、筆者が生まれてから今日まで一貫して自民党政権であり、それ以外の政権のもとで暮らしたことがなかった。自民党に恨みはないが、このような惰性的長期政権はやはり民主的とは言えなかったのではないだろうか。

とはいえ、よく見れば、自民党は過半数を割りながらも比較第一党ではあり、新たな細川政権は長年の野党第一党社会党を含めた八党派連立という寄り合い所帯である。自民党が過半数を割ったのも、敗北したというよりは、自民党が選挙制度改革をめぐり分裂したからであった。また細川新首相も元来は自民党出自である。

自民党優位の構造は変わっていないから、これですべて変わるとは思えず、いずれ自民党の復帰もあり得るかもしれない。特に、社会党が惨敗しながら連立入りし、55体制以前以来の与党となったという奇異な状況はどう理解すべきかわからない。

一方、海外ではカンボジアの選挙監視に当たっていた日本人ボランティアや初のPKOに参加していた文民警察官の殉職という悲劇もあった。激論の末、PKOに初参加した自衛隊が直接巻き込まれたわけではないとはいえ、紛争地帯での「国際貢献」の難しさを示す事件である。

紛争と言えば、奇しくも日本の細川政権誕生と同じ8月、中東最大の火種であったイスラエルとパレスチナの歴史的な和平と自治政府の創設が合意されたことも画期的であった。これも冷戦終結後の和解的な雰囲気の醸成が後押ししたものなのであろう。

11月の欧州連合発足も合わせ、1993年は内外で時代の大きな転換を予感させるような年度であったように思う。ちなみに、筆者の年齢的にも一つの節目となる歳であり、人生における転機に達したようである。


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